神々の子等 2
なんかもう色々がばがばになっちゃってます。ご指摘等ありましたら、感想欄にてお知らせください。
リ、から始まる同サイト内の作品を読んでいたら、こんなに遅れちゃいました。
反省はしています。でも後悔はしてません。
とある鉱山の一角で、屈強な肉体を持つ男達が、岩の撤去作業をしていた。
先日、鉱山で落盤が起きたのだ。
しかも、その鉱山はただの鉱山ではなかった。
迷宮だったのだ。
迷宮とは、何らかの原因で膨大な魔力が結晶化し、自我を持った状態になった時、防衛本能によって造られた巣であると言われている。
迷宮は、結晶を守る為に様々な手段を弄する。罠を張ったり、魔物を生み出したり、迷宮の構造を複雑にして来る者達を撹乱したり。
一般的な迷宮がこれで、鉱山の迷宮もこれに該当する。
この他に、強大な魔物が大量の魔力を意識的に放出し、結晶を造り、結晶が創った迷宮に住むというものもある。
余談だが、結晶は迷宮にとっての核なので、迷宮核とも呼ばれている。
鉱山の迷宮からは、魔力を帯びた特殊な鉱石が採れた為、開拓者や、開拓者達から素材を買い取っていた商人にとって、名所。領主にとっては、希少な鉱石が採掘される重要な拠点となっていた。だが、岩盤が脆く、何時崩れ落ちてもおかしくない状態だった為、迷宮の管理を任されていた者が、何度もその事を迷宮の管理を統括している組織に進言していたのだ。しかし、状況を甘く見ていた組織の人間は、なんの対処もせずにいた。その結果が唐突に起こった落盤事故だった。
組織の人間達は、迷宮の管理を任せていた男に、管理不行き届き故に起こった事態だと、身勝手に宣ったが。
迷宮の管理人の旧知の仲である特SSS級開拓者と、管理人に世話になっている開拓者達の訴えで、管理人は無罪放免、寧ろ組織のほうがなんの対策も行わなかったとして弾劾され、組織の人間は上からの処罰を待つ形になった。
さてはともあれ、無罪放免となった管理人だが、組織との論争の渦中に居ながらも、あるいは居たからこそ何も出来なかった彼は、沸々と溜まりゆくストレスとフラストレーションに追い詰められていた。
対抗策として、ワーカーホリックの気がある管理人が講じたのは、復旧作業の監督を務めて全力で打ち込む事でストレスを発散しようというもの。
その姿は正に鬼、彼の前では特SSS級の友人も戦き、萎縮したまま流れに任せる様に復旧作業の作業員の一人になった。
§
鉱山に野太い怒号が響き渡る。
「なぁに駄弁ってやがるっ、ぶっ潰されてぇのかぁ!?」
声の主は、何を、とは言わなかった。それで伝わると分かっているのだろう。
実際、無駄話をしていた作業員は、ビクッと硬直し作業へ戻っていった。その時、何故か作業員達は内股だった。
この声の主こそ、「テハン鉱山迷宮」管理人であるディリアス・ヒューガである。
服装は他の作業員と同じグレーの長袖ジャンパーにグレーのカーゴパンツで、その容貌はアッシュグレーの髪、銀色の瞳を収めたつり目、顔全体は整っているも、何時も何処かが痙攣している。肌はそれなりに焼け、健康的だ。
彼に必要以上に近づく者は居ない。彼は基本的にあの怒号で応対するからだ。
そんな彼に近づく影があった。
「親方ぁ~大変だぁ~!」
「親方って呼ぶなって何ぃ時も言っってるだろ、......?」
親方こと管理人ディリアスは、近づいてきた作業員に叱責を飛ばそうとして、息に詰まった。顔つきでどうにそれどころでない事が見てとれたのだ。
作業員は息を切らしてディリアスに近寄り言った。
「親方、空から女のk「吹き飛べぇぇぇっっ!!」グハァッ!?」
ディリアスの飛び蹴りは、巨峰に風穴を空ける程だと言う。
それを食らって尚、断末魔をあげれるのは、ディリアスが手加減したからに他ならないだろう。但し、作業員を気づかったからではなかったが。
作業員は赤ん坊を抱き抱えていた。その為、蹴る途中で力を抜いたのだ。
華麗に空を舞う作業員、その後ろで確り赤ん坊を抱き抱えたディリアス。
その風景を見ていた特SSS級の冒険者は、呆然と呟く
「......なんだこりゃ」
§
とある活火山の頂上にて、一柱の龍神がある出来事に狼狽していた。
それもこれも、自分の目の前に悠然と横臥する者が原因なのだが、気性の荒いその龍神、焔龍神レヴガードはその者の前に、ただ狼狽える事しか出来なかった。
彼の目の前にあったのは、赤ん坊だったのだから。
そして彼は、気性は荒いものの基本的に善良な、最高神にしては珍しい常識的な神だったのだから。
赤ん坊に自分の鬱憤をぶつけるなど、彼は考えもしなかった。
ただ、こんな場所に文字通り年端もいかぬ子供を贈りつけた、贈り神という神にはぶつけさせてもらう、そう決めたレヴガードであった。
§
最も強い権能を持つ神、最高神は十二柱いるのだが、この他に一柱のみ、最高神の位につく神がいた。
聖邪神ダルファ
かつて大罪を犯し、世界を混沌に陥れた邪神である。今は、とある禁域に封じ込められている。
この神の下にも赤ん坊は贈られてしまったのだ。
「ナンダ、コイツ? ニンゲンノガキカヨ」
十字架に無数の杭で貫かれた人のシルエット
甲高い声で発せられる独特のイントネーション
その目はギラつく火を灯し、自分の足元に眠る赤ん坊を睨み付ける。
聖邪神は嘆息混じりに言った
「アァ、マタナニカオキヤガッタカ」
§
何処からか現れた力ある者は、時代の変遷を知らず知らず予知していた。
それが、自分にどのような影響を与えるかには興味を示さず、その存在にのみ興味津々になっていた。
その力ある者の名はグラン・フィーラート
異世界より来る最強である。
§
「あ」
「どうしたの、ザラ君?」
「いや、ちょっと気になる事があったんだけど」
「何々~、どんなの~?」
「この子の才能なんだけど」
「フムフム」
「ここの部分絶対おかしいと思うんだ」
「ん、見せて」
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「努力の天災」
才無き者が才有る者に対抗出来る、ただ一つの手段
効果:全適性を一段階下げる。全能力取得可能化。能力の取得、修練に際し、「負荷極大」「不滅」「スキル熟練度極大」を付与
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「え、これは」
「どうだ、凄いだろ」
「なんでザラ君が胸張るのか分からないけど、確かに凄いね」
「俺の息子になるんだ、これぐらいやってもらわないと」
「息子になるの確定なんだ」
「ああ、この子は俺が責任もって育てるさ、......名前どうしよう」
「早急過ぎない!?」
「う~~~~~~~~~~~~~ん」
「凄い考えてる!」
「う~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん、............そうだ! 」
「名前決まった?」
「ああ、ラートだ」
「ラート?」
「ああ、ラート」
「ふーん、いい名前じゃない」
「だろ? ......あ、姓も付けなきゃ」
「え~!? 姓? 何処から持ってくるの?」
「う~ん、良し! 俺の名前を分割しよう」
「えぇっ!? どうするの?」
「俺の名前のザラヴェリオンのヴェリオンを姓にする、だからこの子の名前はラート・ヴェリオンだ」
「そうなると、ザラ君はザラ・ヴェリオンになるんだ」
「ああ、そもそもヴェリオンの名は、神化したときに付けられた神名だからな、俺の名はザラで十分だ」
「ふ~ん、あ、私そろそろ戻らなきゃ、じゃあね、ザラ君」
「ああ、じゃあな」
「......」
「............」
「..................あ、この子、いや、ラートは俺が育てるんだよな」
「どうしよう、俺、戦士の育て方は知ってるけど、子供の育て方なんて知らねえや」
「............まあ、そこら辺はリルファに任せよう」
「....................................フフフ、ラート、お前を最強の戦士にしてやるぞ」
§
伝説の竜の息子、ラート・ヴェリオン。
彼は、十四人確認された神子の中で、最も才能が無かったと言われる。
だが、神子の中で最も大成した人物とされている。
その背景に何があったのか、それを知る者は数少ない。