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伝説の竜の息子  作者: 旭桜
プロローグ
4/12

慈愛の女神

 やっと書き終わった。

 完全な説明回です。

 リルファはすっ、と立ち上がり何もなかった様に駆け寄って来て開口一番


 「ザラ君! 大変なんだよ!」

 「言わなくても分かってるよ。というよりお前の顔の方が大変だよ。」

 「!! それ言っちゃダメだよ! ザラ君」


 リルファは床に打ち付けてない顔も真っ赤にして、赤ん坊を抱いていない方の手でぽかぽか叩いてくる。ふはは、効かんわ。

 さて、いきなり現れたこの女神について説明するとしよう。

 彼女の名はリルファ、慈愛の女神リルファだ。何千年も前に俺と一緒に神化した第3世代の神で、今は神としての権能を封印して孤児院を営んでいる。

 

 リルファの神としての仕事はひどく曖昧で、具体的にする仕事はなく、精々が治癒系統のスキルを誰かに与える位だ。それも、アルブの創ったシステムのせいでやらなくて良くなった。

 それでリルファは要らない子扱いされ始め、拗ねて神の力を封じて(返上はしてない)下界に降りて、孤児院を始めたそうだ。それと、俺の所にちょくちょく来る。


 因みに、リルファの権能は「果てなき慈愛の精神」、愛する者が居る時に真価を発揮する、贈り神君の権能の様に、尖った権能だ。

 ......まあ、それはいい。

 

 「どうして、ここに来た?」


 今は神としての権能を封じているが、リルファは神だ。それに「創世祭」でも無いのに神の力を解放している。当然緊急事態だからと推測出来るが、ここに来る理由にはならない。

 

 「あはは、そんなの決まってるじゃん、ザラ君の所に来た子が心配だったんだよ」


 なにおう、でも否定出来ない。

 リルファは床に寝そべってた赤ん坊に近寄る。


 「わ~可愛い、ザラ君にはもったいないね」


 地味に俺の心を抉ってきたリルファは、床の赤ん坊を見下ろす。すると見る見るうちに顔が険しくなる。どうしたんだ?


 「ザラ君! この子死にかけてる!」


 はあっ!? どういう事だ? 俺はすかさず赤ん坊に「鑑定」を使用した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前:未登録

 種族:ヒューマン

 LV:1

 性別:男

 年齢:1

 状態:飢餓 存在希薄

 HP:3/8

 MP:0/4

 SP:0/10

 筋力:3

 耐久:4

 魔攻撃:2

 魔防御:3

 俊敏力:1

 器用:5

 知力:4

 精神:1

 幸運:26

 [装備]


 [スキル]

 [固有スキル]

 「存在強化」

 [戦闘系スキル]

 

 [耐性系スキル]

 「威圧耐性Lv3」「飢餓耐性Lv2」

 [通常スキル]

 

 [特殊スキル]

 「生存本能」

 [魔法]

 [固有魔法]


 [属性魔法]


 [特殊魔法]

 「回復魔法Lv1」

 [適性]

 [戦闘系スキル適性] 

 「剣術の天才」「槍術の天才」「投擲術の才能」「鎖鎌術の才能」「弓術の才能」「盾術の才能」「格闘術の才能」

 [魔法系スキル適性]

 「水魔法の天才」「空間魔法の天才」「光魔法の才能」「土魔法の才能」

 [通常スキル適性]

 「解体の才能」

 [特殊才能]

 「努力の天災」

 [称号]

 「伝説の竜の息子」「贈り神からの贈り物」

 [加護]

 「贈り神の加護」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ッッッッ!!!!!!

 これは! 


 俺は自分に冷静になれと言い聞かせる、そして直ぐに思考を巡らした。


 まずは状況の把握、今この子はHPが0になりかけている事と、状態異常になっている事により、死にかけてる。先ずこの子の状態をしっかり把握しよう。HP以外にこの子を死に至らしめようとしているのは、この子の状態にある飢餓と存在希薄だ、飢餓は分かるが存在希薄はどういうものだ? 


 答えはこの子が取得したスキルが教えてくれた。

 

 威圧耐性だ、これは相手を怯ませるスキル「威圧」に対する耐性を得るスキルで、「威圧」の他にも、相手の意識を刈り取る「覇気」や、相手の存在を消滅させる「神威」にも若干の耐性を得る。恐らくこの子は俺の放つ「神威」に対応して「威圧耐性」を取得したのだろう。

 だが、それでもまだ、存在希薄という状態からは抜け出せない。だから俺が無意識に発している「神威」をどうにかして、後は、この子に何か食べさせればこの子の状態は正常になるだろう。

 さて、考えたら後は、行動に移すだけだ。

 

 「リルファ、その子に回復魔法をかけててくれ」


 リルファは、予想していたのだろう、俺の言葉に頷き、床に寝そべってた子を抱いて回復魔法をかけ始めた。

 さて、俺は俺でやれる事をするか。

 俺は無詠唱で空間魔法を使い、俺の住んでいるこの迷宮「神竜王の迷宮」の4958階、「苦行の層」、「虚無の階」に転移した。

 「虚無の階」は一面真っ白の空間が何処までも続き、階層主以外の魔物が一切出ず、此処に来た冒険者は、その不変に呑まれ精神を壊すという、俺の性格に合わない階層だ。

 では、何故こんな階層が在るのかというと、この迷宮の性質から話さないといけなくなるので、割愛する。

 さて、それでは何故俺は此処に来たのかを説明すると、先ず俺の持つスキル、「神威」について説明する必要がある。


 「神威」というスキルはある一定以上の威力を常時放出している。

 何故かというと、そもそも「神威」は、神という、下界のものとは存在からして違うものが、下界に降りる際に、下界のものに過剰な影響を与えないように、ある程度自分の力を制御(抑制は不可能らしい)出来る様にするスキルだからだ。

 自分の存在を一定以下に弱体化してしまえば、その存在は消失してしまう

 だが、神、という存在強度の高いものが周りの事を省みず、好き勝手やっていたら、周りへの被害は甚大だ。

 その制御の為に「神威」があるのだ。

 

 さて、前口上が長くなってしまった。つまり、それがどういう事なのかというと、

 「神威」は自身の力と存在制御するスキル。力を抑えれば存在が薄れる、存在を通常の状態にしていたら、周りへの影響は計り知れない。ならばどうするか。それは、


 「神威」で力を限りなく抑えて、かつ、存在が薄れない、そんな環境を作り出せば良い。


 どういう事かというと、俺の持つスキル「神域創成」というスキルがある、これは「神威」による周りへの影響を無くす為に創られたスキルで、神域という領域を創り、存在の根幹をそこに定着させる事で、周りへの影響をほぼ皆無にする事が出来る。

 だが、この迷宮「神竜王の迷宮」は既に神域になっている。

 俺がこれからしようとしているのは、神域を更に神域化する、謂わば二重神域を創り出そうとしているのだ。 

 そうでもしないと、あの子に悪影響を与えない程に、力を抑えられないからだ。

 

 俺は日々の力を、思い切り発散出来ないフラストレーションを、鬱憤を、ストレスを、全て晴らすするつもりで「神威」を発した。

 「神域創成」は「神威」を自分の存在全てをもって発する事により、その空間に自らを溶け込ませる事により成り立つ。

 俺の発した「神威」が、辺りに放たれた、が、此処は「虚無の階」、こういう時の為にも用意した階だ、放たれた「神威」は虚空に消えていく。


 ............おい、大丈夫だよな?


 何か空間が軋みをあげている気がするんだが。

 頼む! 持ちこたえてくれ!







 ......俺の懸念は良い方に外れた。

 なんとか持ちこたえてくれたようだ

 なんかバキバキって音がするけど、きっと気のせいだよな。


 さ、さあて、最深階に戻るか、

 あっ、その前にあの子に食べさせるもの持っていこう。

 ええと、お粥で良いかな、

 俺は植物魔法を無詠唱で発動した、すると、俺の眼前の空間から、砂塵が出てきて集まり、柔らかそうな土の塊が俺の前に出来上がり、何処からか現れた水で覆われた。水で覆われた土の塊の中には種籾が入っていて、時間魔法により、凄い勢いで芽を出し大きくなる、水は何度か入れ替わる。やがて、収穫出来る程に大きくなった、これを風魔法が刈り取り、風魔法は刈り取った稲を脱穀し、胚芽も一緒に取る。

 これで米の出来上がり、大体一合だ。うん、我ながら良い出来だ。

 後はこれに水魔法と熱魔法を使い、お粥が出来るまでの間に、土魔法で陶器の器を作るだけだ。 

 俺は米が沸騰している水に覆われているのをつぶさに確認しながら、陶器の器を作る、指標は頑丈で長持ち、理由はあの子供がしばらく此処で養わなければならないから。


 ........................よし、どっちも出来たか。器は俺の印象に残っている魔物をデフォルメした絵図だ(色付き)、我ながら良い出来だ。其では、最後に出来上がったお粥を器に移して。と、

 よし、そろそろ戻ろう。

 

 俺は転移魔法を波動して、最深階へ転移した。



   §



 この時の俺が知る由もない事だが、俺があそこを二重神域化してしまった事で、ある世界の冥王が冥王の位から引き下ろされたそうだ。


 まあ、自業自得らしいけど。




   §



 「あっ! ザラ君」


 最深階に転移してきた俺に、リルファが駆け寄って来る。

 

 「リルファ、その子は大丈夫か?」


 リルファに質問する。


 「うん、異常はないよ、体力も少し回復してるし。あ、でもザラ君、「神威」を使ったでしょう」

 「ああ、そうだけど」

 

 何か問題があったのか? 怒り心頭な様子だ。


 「ザラ君がそれをやった時、この子が凄い泣いて大変だったんだよ!」

 「あ、うん、ごめんなさい」

 「もう、気を付けてよね」


 リルファの怒りも少しはおさまったのだろう、表情が緩んだ。

 おっと、それはそうと。 

 

 「リルファ、これをその子に食べさせてくれないか?」

 

 俺は左手(左前足?)に持ってたお粥の入った器を、リルファに見せた。


 「うん、良いけど、その器をザラ君が持ってるとシュールだね」

 「ん? そうか?」


 自分の姿がリルファにどう写っているのか、少し怖い。

 俺は自分の姿を確認するため、錬金術で巨大な鏡を作った。きちんと形を作らず、下の辺りを鋭くして、地面に立てるようにした。

 ドスンと音をたて地面に突き刺さった鏡は、俺の姿を写した。

 そこには、


 カラフルでかわいい器を持った、白銀と漆黒の鱗の竜がそこに写っていた。


 ............成る程、此は奇っ怪な姿に見えようぞ。


 はっ!! キャラが崩壊してた。精神を鍛え直すそうかな。

 それにしても、確かにこの姿はシュールだな。

 ......まあ、いい。取り敢えず、これをこの子に食べさせるか。


 俺はリルファから子供を受け取ろうとして、リルファが子供を抱く手を引いた事により失敗した。


 「何でだ?」


 意図が読めない、俺はもう、この子に悪影響を与える状態ではないのに。


 「何でだ? じゃないわよ! その鉤爪でこの子が傷ついたらどうするの!?」


 あ、そうだった、俺は竜だった、そりゃ鉤爪もあるわな。

 だけど、どうしようか、これじゃあこの子に触れられない。それは勘弁だ。

 俺は結構子供が好きなのだ。どうにかして抱きたい。あ、そうだ、「人化」を使えば良いじゃないか。

 俺は「人化」を使った。その効果は直ぐに現れた。

 体が見る見るうちに縮んでいく、体中を覆っていた鱗も薄れ、半透明な鱗の向こうに人の肌が見える。って危ない、このままじゃ全裸になる。長い間使ってなかったから、留意すべき事を忘れていた。

 俺は「魔力操作」を使って即席の服を創った。俺の魔力を固めた物だ。Tシャツに膝丈程度のズボン、どちらも黒で染められている。

 何時かちゃんとした物作らないとな、さて、「人化」して鉤爪とかの危険な部位も無くなったから、今度こそ抱いても良いだろう。


 「リルファ、この姿なら大丈夫だろ?」


 返事がない、何かぽ~ってしてる。


 「リルファ、大丈夫か?」


 リルファは、はっ! となって目を逸らしながら、俺に赤ちゃんを渡した。

 顔が真っ赤だ、どうしたんだ?


 「はい、どうぞ。それにしても、やっぱりザラ君はカッコいいなあ」 

 「おいよせ、いきなり褒めるなよ、照れるだろ?」


 実際、結構照れてる、いきなり言うもんだからビックリした。

 さてと、俺はリルファから受け取った赤ちゃんに、お粥を食べさせる。

 匙が無かったので、即席で植物魔法を使って創った匙で食べさせている。匙に食らいついて食べてる様子を見て、もっと早く作って持ってくれば良かったな、と反省する俺であった。

 


   §



 さて、そろそろ色々説明するべき時だろうか、先ずは、ご待望のステータスからだ、


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前:命名神に名を刻印され儀式「名付けの儀」にて肉親、あるいは名付け親が付ける名


 種族:文字通り、種族、ハーフの場合はハーフ***(***:+++)となる、尚、##一族等の詳しい情報は映されない


 LV:生命の格を表した値、自らの魂を強化するか、他の魂持つ存在を殺し、魂の抜け殻を吸収する事によって上がる


 性別:無性や性別不明等も映される 


 年齢:満年齢で映される、女性がこの項目を隠蔽してもらおうと隠蔽師に依頼すると、大幅な割引をしてくれるらしい


 状態:様々な状態を映す、肥満とか高血圧とか。普通の状態は健康と映る


 HP:生命力を数値化した値、勿論ヒットポイントの略、0になると大体死ぬ


 MP:魔力量を数値化した値、今度はマジックポイントの略、MPが25%以下になると倦怠感が生じ、0になると気絶する、魔法を行使するのに必要


 SP:体力、持久力を数値化した値、スタミナポイントの略、SPが50%以下になると疲労し、25%以下になると過労になり、0になると気絶する


 攻撃力:筋力と装備した武器の攻撃力を足した値、何も装備していなければ、その値は筋力と同等になる


 防御力:耐久と装備した防具の防御力を足した値、何も装備していなければ、その値は耐久と同等になる


 魔攻撃:魔法攻撃力の略、これが高ければ、魔法による攻撃のダメージ倍率が上がる 


 魔防御:魔法防御力の略、これが高ければ、魔法による攻撃のダメージを減衰する


 敏捷力:SPを消費せずに走れる最速の値


 器用:自分の体をどれ程上手く扱えているかを数値化した値、これが高ければ、弓等の遠距離武器、物の作成等に役立つ


 知力:頭の良さを数値化した値、これが高ければ、魔法の詠唱を早めたり、咄嗟の判断が早くなったり、記憶力が上がったりする


 精神:精神強度を数値化した値、これが低ければ、些細な事で混乱したり、精神魔法に弱くなったりする


 幸運:運の良さを数値化した値、普通の人の運は5~10程度


 [装備]:装備品を映す欄


 [スキル]:人が持つ能力を可視化したもの、スキルはそれに関した行動をとり魂に刻み付ける事により成る


 [固有スキル]:通常の行動では取得出来ないスキル、先天的に取得するか、血を吐くような修行で手に入る以外に取得する方法は極少ない


 [戦闘系スキル]:戦闘に関するスキル、戦闘系スキルは特に派生スキルが多く、派生スキルは、例えば、「剣術LV.1」という剣に属する武器全般に影響するスキルを短剣、という剣に属する武器で成長させ、ある一定の熟練度に成長させると、派生スキル「短剣術LV.1」を取得するのだが、この時スキルの熟練度は「剣術」「短剣術」どちらにも加算され。更に「剣術」の影響も受ける。


 [耐性系スキル]:自らの身体に悪影響を及ぼすものに耐性を得るスキル


 [通常スキル]:戦闘系スキルと耐性スキルに属さないあらゆる技術的スキル


 [特殊スキル]:種族的に取得されるスキルが主で、「人化」や「神威」がこれにあたる、自分の種族のスキル以外を取得する方法は、その種族の神、あるいはそれに準ずる存在に授けられるしかない


 [魔法]:魔力を消費して行使する術、魔法という項目だが、魔術もこの項目に映される、又、魔法と魔術の違いは、魔法が自己完結、自らの魔力を繰り、発動する、いわば魔力さえあれば誰でも出来るのに対して、魔術は魔術学園に通う等、学を深めて特殊な加工や、下準備等をしなければならない、学問として存在する。魔術は魔法より多くの過程を経て発動し、魔法より格段に威力が違う。因みに魔法は、詠唱魔術という体系として存在するのだが、区別が困難な為、魔法、と一括りにされている


 [固有魔法]:魔法、魔術の極致に至る者が取得する魔法、あるいは魔術


 [属性魔法]:属性を持つ魔法全般がこれに属する、属性魔法はそれぞれに苦手とする属性がある、火なら水、風なら土の様に、だが光と闇、あるいはそれに近い属性は互いを苦手としている


 [特殊魔法]:魔法、魔術の体系から大きく逸脱したものや、魔術全般、属性を持たない魔法がこれにあたる


 [適性]:スキルや魔法に対する才能を映す、因みに、適性は、才能、天才、鬼才、奇才、の4つで表記される。それぞれの適性をスキルに置き換えると、才能=LV.1~5 天才=LV.6~10 鬼才=上位スキルLV.1~5 奇才=上位派生スキルLV.1~10 の様に表記される。又、適性に応じた成長率の補正もある


 [戦闘系スキル適性]:戦闘系スキルの適性を映す欄、戦闘系スキル適性には奇才の表記がない、だが、奇才としての才を持って生まれる者はままいる


 [魔術系スキル適性]:魔術系スキルの適性を映す欄


 [通常スキル適性]:通常スキルの適性を映す欄


 [特殊才能]:スキルではない、元来の性質のようなもの。先の4つのみではなく他の表記もある、例えば天災など

 

 [称号]:自らの行った事に伴い神、或いはそれ以上の何かから与えられる。命名神の権能を元に創られた能力を介して与えられる


 [加護]:神が自らの気に入った者に自由意思で与える、その神の権能に寄った加護が与えられる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ステータスはこんなところだ、因みに名前だが、命名神に付けられる名前以外に、真名というものがある。これは自らが自らに名付ける名で、その名を教える事は自分の全てを捧げる事になる。それというのも、真名というものは自らの全てを表したもので、それを知る者に自分に対する支配権を与える事となる。

 これが転じて、あなたに一生を捧げます、という意味でプロポーズの常套句になっている。

 

 「さて、と」


 リルファは嬉しそうに続けた。


 「ザラ君にこの子を育てるのは、星が逆に回ってもあり得ない、という事が証明されたので」


 今、猛烈に嫌な予感がする。どうか外れて欲しい。


 「私がここに通い詰めて、この子を育てます」


 リルファが胸を張って言い放った、それに釣られて大きな胸がプルんと揺れる。だが、今はそれどころではない。


 「そんなああああああああああああっ!!??」


 俺の楽園が、たった今崩壊の兆しを迎えた。きっとこれは始まりなんだろう、崩壊はますます進行して、楽園は影も形も残らず消えてしまうだろう。それは歓迎すべき事かも知れない、崩壊の予兆は、違う何かの予兆でもあるのかも知れない、だが、今だけは叫ばせてくれ。


 「あああああああああああああああああああああああああああっ!!??」

 「そ、そんなに嫌なの!?」

 


   §



 後に、伝説の竜の息子は語った、曰く

 「父さんでも敵わなかったひとが居る、母さんだ」

 と、



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