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伝説の竜の息子  作者: 旭桜
プロローグ
3/12

質問タイム

 若干説明回です。

 「!! はっはい、何でもどうぞ」

 

 贈り神君はビクビクしながら俺の質問を待っている

 ハハッ、そんなに畏まらなくてもいいのに。

 まあ良いや、ではまず最初の質問


 「まず、この贈り物は最高神全柱に贈ったのか?」

 

 一番聞きたかった質問だ、最高神、つまり神位階第一位全柱に贈ったののなら、贈り神君への対応が変わってくる。放置か、神様会議か


 「はいっ! 全柱に贈らせていただきました」


 ......全柱、ダルファは封印されているから俺を含めて12柱か、あの2柱はきっと贈り神君を消そうとするかな。


 「......贈り神君、短い付き合いだったな」

 「はい......え?」


 どうやら解っていないらしい、


 「だって、全柱って事はレヴガードとかレイオルとかにも贈ったって事だろ?」

 「あ......」


 贈り神君の顔から血の気が引いてゆく、2柱の逸話を思い出したんだろう。


 「レヴガードは修行中で、邪魔する奴らは片っ端から焼いていくって言ってるからな。まあ、贈り神君の居場所は分かっていないだろうけど」

 「......そうですか」


 俺の言うと、贈り神君がホッとした様に息をはく、けれど続く言葉でまた青ざめる。


 「けどレイオルは君の居場所を把握して狙いを定めているだろうね」

 「そんなぁ!!」


 贈り神君は助けて欲しそうにこちらを見ている、助けてあげたいけど。


 「申し訳ないけど、俺は君を助けられそうにない」


 贈り神君は今にも泣き出しそうな顔で此方を見ている、何で解るんだろう、もしかしたら彼方からは此方を見れるんだろうか。

 まあ、いい取り敢えずアドバイスはしておくか。

 

 「まあ、どっちも誠心誠意謝れば許してくれるよ、きっと」


 言った途端に華麗なる土下座を披露してくれた、


 「調子に乗ってました! どうか寛大な処置を! どうかぁ!」


 おぉ、潔いね、まあ、これだけやったらきっと許して......くれるかな? それにしても贈り神君に感じていた、胡散臭い雰囲気って俺の知り合いとおなじ馬鹿な事ばかり考えてるからかもしれないな。まあいいか 


 「まあ、きっと許してくれるよ、さて、次の質問をしても良いかな?」

 「ええ、はい、どうぞ」


 贈り神君は少し不安そうにしながら俺の問いに答えようと身構えた。


 「全柱に同じ様な贈り物(者?)を贈ったのか?」

 「はい、そうです」


 そうなのか、質問を重ねる前にこの質問をしておこう。


 「さて、次の質問だ、君の権能について教えてくれないか?」

 

 結構聞きたい質問だ、答え如何によってはダルファの封印を解かなければいけなくなる。

 贈り神君は待ってましたとばかりに説明しだした


 「まず、私の権能は贈り物を贈りたい任意の対象に、相手の意思に関係なく贈りつけると言うものです。返却はさっき聞いていたと思いますが、出来ません」

 「フム......贈り物は君が設定出来るのか?」

 「はい、かなり細かく設定出来ます」

 「因みに、設定しないとどうなるんだ?」

 「贈る対象が一番欲しているものを贈ります」

 

 俺は贈り神君の答えを聞いて、一つ気になった事を質問した。 


 「何で子供を贈ってきたんだ?」


 贈り神君の話をきけば、子供を贈る必要性を感じない、設定しないで贈って、最高神たちが一番欲しているものがを贈れば、最高神たちの機嫌もそれなりに良かったろうから。態々子供を贈って機嫌を損ねる意図が解らん。

 贈り神君は言いにくそうにしながらも答えてくれた。


 「実は、その、設定なしでやったらああなりました」

 「ん? それじゃあ最高神たち全柱が子供を欲していたって事か?」

 「ええと、いえ、少し違うみたいです」


 それはそうだろう、最高神達全柱が子供を欲しがるなんて、有り得ないからな。


 「子供を欲していた最高神様達は5柱程居りましたが」


 そんなに居たのか!? ......でも、まあ有り得るのかもしれない、ニュジュルは弟子が欲しいって言ってるし、レイオルも後継者が居ないとか言ってるし、女神連中は母性愛の塊だからな子供を欲するのも無理はない。


 「一応聞くけど、子供を欲しがってたのが誰か分かるか?」

 「はい、技巧神様と魔法神様、それと、慈愛の女神様と豊穣の女神様と水神龍様です」


 よし、大当たり、でもそれじゃあ最高神全柱に子供が贈られた理由にはならない。子供が欲しい神が多いってだけだからな。

 

 「それで、なぜ全柱に子供が贈られたのか分かるか?」

 「それが......分かりません」

 「......そうか、分からないか」

 「もっ申し訳ありません!」

 「いや、責めている訳じゃないんだ、出来れば憶測でも良いから何故そうなったか、検討は付くか?」

 「はい、とても強い願いがあったのでは、と」

 「とても強い願い?」


 どういう事だ?

 

 「ええと、つまりですね、最高神様の中の誰かが私の権能を上書きする程強く、子供を欲したと言う事です」


 最高神達の誰かが? でもそれなら。


 「でも、それなら君が分からない筈が無い、だって君は何らかの方法で最高神達の願いを把握出来るんだろう?」

 「はい、設定無しで贈った場合、対象の名前を知っていれば、対象が欲していたものが分かります」

 「......そうか.....一応聞くが13柱の名前を知っているか?」

 「はい、勿論」


 短く返された、だが、13柱の名前を知っているのに強く子供を欲した誰かは分からない。

 ......これってヤバくないか? ......いや、ヤバくないか、別に最高神にだけ贈ったとは言ってないもんな。

 ......聞いておこう

 

 「贈り神君、君は最高神以外の神、例えば神位階第2位の神達とかには贈り物を贈ったのか?」

 「いえ、今回は最高神様達にのみ贈らせて頂きました」

 「間違って贈ってたなんて事は無いか?」

 「いえ、それは有り得ません、私の権能は贈る対象に条件を付けて、それに該当する対象に贈り物を贈る、というものですから」


 やっぱりヤバいらしい、贈り神君の説明を咀嚼すれば、最高神ではない最高神に類する存在がいる事になるからだ。それに、最高神達は他の神達の誕生や神化を知覚できる、それで13柱しか存在しない最高神が14柱目の最高神なんていうイレギュラーを知覚出来ないってのはちょっと有り得ない。では、贈り神君の権能に干渉して上書きでもした存在が..................いや、待て、この子のステータスに掛けられたロックの権限は第3位、恐らく贈り神君は神位階第3位の一能突出型だそんな彼に干渉出来る存在が最高神以外に居るか? 居ないだろう。

 俺はこの時ある存在を思い出した、神々の権能の行き届かない者達、運命を掻き乱す真のイレギュラー


 異世界からの漂流者、輪廻に紛れ込んだ異分子、人は彼らをこう呼ぶ。異世界人、あるいは転生者と。


 まあ、厳密には違くて、異世界人は文字通り異世界から此方の世界にやって来た者の事を言って。転生者は異世界で死んだ生物が、偶然必然問わず此方の世界の輪廻に紛れ込んだ者の事を言う。  

 転生者は、大抵前世の記憶を保有しておりこの世界に何度も文化改革を起こしている。異世界人も同じく。

 因みに、異世界人を此方の世界が召喚したりするのは大体ご法度だ、というのも異世界人はこの世界の運命から外れた存在で、彼らが来ると運命が乱されて大変なのだ。その為この世界では例えば、悪魔の王とかが出てきてやむを得ずに、勇者として異世界人を召喚する時は、運命を司る神ディリアスにお伺いをたてて、許可を賜ってから召喚するのだ。

 転生者は異世界人よりも世界に与える影響が大きい。何故なら、単純に生まれた時から異世界にいるからだ。

 それ故、輪廻に干渉するのはまたディリアスの許可がいる。但し、神が無責任に運命を乱す事を良しとするディリアスではないから、余程切羽詰まった事が無ければ許可しない。

 ......まあ、それは兎も角、そういう存在が最高神並みの力を持っているってのは結構ヤバい。

 此方で行動の把握が出来ないのだ、大問題としか言い様がない。

 ............これは、「神々の円卓」に集まるのも覚悟しなければならない。非常に面倒だが。

 ......まあ、俺がどうこう出来るものではないから、今は保留だ。

 

 気を取り直して、贈り神君にあと少しだけ聞きたい事がある。何時神化したのかだ、


 「贈り神君、大体予想は着くが、......君は何時神になったんだ?」

 「はい、恐らく神竜王様の予想の通り、30年程前です」


 まあ、予想通り30年前だったよ。

 30年前に何があったかと言うと、異世界人が勇者としてある国に召喚されたのだ。


 その時、この世界恒例の文化改革が起こったという事だ。どうしてそれで神が生まれるのかと言うと、異世界人の文化はこの世界にない物もままあるので、その文化を司る神が生まれるのだ。

 何故かと聞かれれば、まずこの世界の神というものから説明しなければならない。

 神というのは端的に言えば世界を操るものと認識されている。それは文化も含まれておりそれを司る者は文化改革が起こると必ず生まれる。だが、贈り物というのはこの世界の文化にも勿論ある、それを司る神は居なかったが。その事を聞いてみよう。


 「贈り物という文化はこの世界にもある筈だが」

 「はい! 私は丁度その時神化しましたので」


 嬉しそうにそう言う贈り神君を見て、俺は少しだけ複雑な気持ちになった、そうか、神になって嬉しいのか。結構、その通り神は何かしらの権能を持っていて、生きとし生ける者に敬われる存在だ。そういうミクロな視点から見ればそう見えても可笑しくはない。


 だが、実際は違う、神とは世界の代行者、世界を象るもの全てに神という管理者が付属する。言ってみれば凄いものだが、実は違う。

 神とは世界の代行者、つまりそれだけなのだ、代行者でしかない。世界そのものを扱うのではなく、世界にはいどうぞ、と権能を与えられ、その権能に沿った役割を果たす存在でしかない。 

 勿論それは凄い名誉だと思う。世界を操る力を与えられる訳だからな。


 だが、俺はそれで満足出来なかった、世界に本当の意味で干渉しようとした。結果は失敗だったが、俺は諦めない、必ず世界に干渉してみせる!

 ......さて、決意を新たにしたところで。最後の質問だ、


 「何故、その時挨拶せずに30年も経った今挨拶しに来たんだ?」

 

 神達の暗黙のルールだが、神化した者は最高神達に挨拶しなければならない。もししなければ、知らなかったで済まず(神化した時に無理矢理神達の常識を詰め込まれる)、大抵説教(と言う名の私刑)される。

 

 「ええと、その......」

 

 贈り神君は言いにくそうにしている、が、意を決して喋り出す


 「システムをハッキングして新しいシステム、メッセージ同封を創ってました」


 ヤベエコイツ殴リタイ。

 ............はっ!! 危なかった、危うくダークサイドに堕ちてしまう所だった。

 でも、贈り神君結構ヤバい事しているな。アルブのシステムにハッキングだとか正気とは思えない。てか、アルブそこに居るんじゃないか? そうだったら胆力凄いな、


 「何でまたそんな事を」

 「何かインパクト有るじゃないですか」


 いや、有るけども。


 「やっぱりそう言うインパクトを着けて覚えを良くして貰おうとしたんです」


 それは今言ってしまって良い事なのか!? 確かに覚えや良くなりそうだよ、多分贈り神君の思ってるのとは違うけど。


 「うわ!? アルブ様止めて下さい!」


 いきなり、プツンと音をたてて贈り神君の姿が消えた。

 何ガアッタンダロウネエ。

 

 

   §


 贈り神君が去った後、俺は一人考えていた。

 この子をどうするか。

 他人へ押し付ける事は出来ない。贈り神君に返す事も出来ない。と、なると


 「俺が育てるしかないのか? 少なくとも自立出来る年齢になるまで」


 そうやって考えていると、また、空間が歪んできた。だが、歪みが少なく、放出される魔力も段違いに少ない。この魔力は......リルファか。

 そうこうしているうちに、段々歪みが大きくなって、そこから赤ん坊を抱いた修道女の服装をした金髪の女が出てきた。慈愛の女神リルファだ。

 

 ......あ、こけた。



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