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サンタにだって、愚痴はある

作者:socks
~十二月二十四日~

フィンランド某所にて、サンタクロース総勢十五名が、出撃準備を整えていた。
その中に、この道六〇年のベテランサンタと、今年が初陣の、新人サンタがいた。

「おい、新人サンタ。お前はどこにプレゼントを届けるんじゃ?」
「僕は日本です」
「日本じゃと?あの国は、キリスト教国家じゃったか?」
「さあ、なぜだか分かりませんが、クリスマスが大きなイベントに…」
「そうかそうか。大変じゃな」

ベテランサンタに言われ、「ほんと、迷惑な話ですよ」と返す新人サンタ。だがしかし、ベテランサンタはもっと過酷なクリスマスを知っていた。

「しかし、いくら日本が地球の裏側じゃとて、オーストラリアよりはマシというものじゃ」

新人サンタには、それが何故なのかわからなかった。ベテランサンタが解説する。

「わしが若い頃じゃな。一度、担当を任されたことがある。オーストラリアは、文字通り世界の裏側じゃ。南半球じゃからこの時期は真夏。しかも、市民はサンタクロースにパフォーマンスを求めてくる」

なんだと思う?と訊くベテランサンタ。新人サンタは、「さあ?」

「サーフィンじゃよ」
「サーフィン?あの、波乗りの?」
「その通り。しかも、向こうまでソリで行って、昼間にサーフィンパフォーマンスをしたら、夜にプレゼントを配るんじゃ」
「それは、大変ですね」

ベテランサンタは、そうだろうと言う顔を作った。

「大航海時代に、ヨーロッパ人どもがキリスト教を世界に拡散したからのお。昔は、ヨーロッパだけで済んだものを、世界中に配るハメになったんじゃな」
「迷惑ですねぇ、布教されたほうも、サンタにとっても」

「ところで新人サンタ。プレゼントには、何を配るんじゃ?」
「とりあえず、日本なので『大正義ニ○テンドー』を」
「そうか、『大正義ニン○ンドー』か。ならば、間違いなしじゃな。
 あれはアメリカ人にも受けるから、サンタとしても大助かりじゃ」
「ですねぇ。しかし、軽いのは良いんですが、高いんですよね、値段が」
「万人受けとのトレードオフじゃよ。諦めるんじゃな」

ベテランサンタは、昨今の日本の住宅事情を思った。

「我々サンタクロースは、煙突からプレゼントを投げ入れるじゃろう?」
「はい」
「今思い出してみると、昔の日本は難所中の難所と言わせておったわ」
「と言うと?」

「あの国の家には、煙突が無いんじゃな。少なくとも、ストーブの上にはな
 ようやく煙突を見つけたかと思うてプレゼントを投げ入れたら、風呂場だったこともあるそうじゃわ」
「そうですか。気をつけなければなりませんね」
「じゃが最近は、どこにも煙突が無い家が多いそうじゃ。お前は、何か聞いておらんか」
「去年、日本を担当したサンタクロースに聞いたんですが、ソリの高度を落として『ゆうびんうけ』か『えあこんのしつがいき』を狙えと。そのどっちかなら、住人は気づくそうです」
「『えあこんのしつがいき』とはなんじゃ?」
「さあ、よく分かりませんが、それを詰まらせればストーブが止まって、外を確認しに行くとか」
「日本のサンタは、よく考えたものじゃな」

ベテランサンタは、初期のサンタのことを新人に話す。

「わしがサンタになる前のことじゃ。あの頃はまだ、サンタクロースが少なくてな。サンタクロースは三人、ソリをマッハ二〇くらいで飛ばしておったそうじゃな」
「マッハ二〇⁉」
「そうじゃ。今はせいぜい、マッハ五程度じゃから、四倍じゃよ」
「まったく、なんでサンタクロースはフィンランドから出なきゃならないんですか」
「それは、誰もが思ったじゃろうが、実行しなかったことじゃ。昔、アンデスから飛ぼうとしたサンタクロースがおってじゃな。
 アンデスにはトナカイはおらんから、代わりにアルパカを訓練したそうじゃ。そうすると、トナカイよりも速く飛べたそうじゃ」
「じゃあなんで、今はトナカイなんて使っているんですか」
「アルパカは、少々燃費が悪かった。そのサンタクロースは、オーストラリアに向かう途中で墜落したらしくてな。プレゼントにする予定だったサーフボードでもって、何とかオーストラリアに着いたらしいんじゃ。サーフィンサンタは、それが由来と言われておる」

「待って下さい、サーフボードって、煙突から投げ入れられるんですか?」
「さあな。アルパカで飛ぼうとするサンタのことじゃ。そのあたりはよくわからん。」
「はあ。しかし、そのサンタクロースのせいで、サーフィンサンタができたんですね?」
「じゃな」
「なんと言う迷惑な」
「まぁまぁ。
 お前、日本まで行くんじゃったら、もうすぐ飛ばねばならんぞ」
「もうそんな時間ですか。では、行って参ります」

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