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基礎の基礎

タイトルをちょっと変更しました。

変えなくてもいいんじゃない?という意見もいただいたのですが、悪役令嬢要素がほとんど出てこないので旧題をサブタイトルに(^^;

もっとよさそうなのがあればまた変える可能性があります。こんなのどう?というのがあればぜひ感想欄もしくは活動報告に。

「ぐぬぬぬ……」



 魔素は体内に流れているものらしい。つまり血液みたいなものか。

 魔力は、魔素が体外に放出されるときに変換され、特殊特性の持つ属性のものへとさらに変化する、と。



「ふぬぬぬぬぬぬ……」


 特殊特性については現時点で火の属性のものを使えるのが分かっているけれど、他が使えるかどうか分からない。

 自分にあった属性は何か、先天的に持って生まれた才能スキルは何か、魔力量はどの程度かといったことは街にある教会の『鑑定水晶』で見ることができるらしいが、今のところ街どころか村に降りる気はないし、まず人里さえ見かけていない。

 そのためとりあえず他の魔法が使えるかよりも、現段階で分かっている火の魔法を使えるようにしていくことを優先させた。


 ついでに特殊特性は魔法を使えること自体、属性はその中でさらに七つに分かれる種類一つ一つのことを言うらしい。また、専門的な本にはその七属性に分けた後、一般的な五属性は力の強さ順にさらに六段階も階級が変わるんだとか。

 ぶっちゃけ『鑑定水晶』を使う機会のない今言われてもよくわからないので、鑑定するときにカウィールに聞くことにした。



「うぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!!!」



 そして、スライムを倒した日から二日たった今。

 魔法を使うための基礎中の基礎、体内にある魔素を意識して流れを理解する、ということをやっている。


 ぜんぜんコツをつかめないけど。



「っだはああぁぁぁぁ…………分からない、分からないよ!」

「大丈夫ですよ、エルミシア様。偶然とはいえ一度は特級に近い魔法を行使されましたし、一般の人より魔素の流れを汲み取りやすいはずです。気長に行きましょう」

「うぅ……頑張る……」

「普通でも一月以上、知識を色々と入れられた俺も感覚をつかむまでに二週間かかったんです。エルミシア様は始めてまだ二日でしょう?あせる必要はありません」

「うん……」


 差し出された、木に刺さった焼き魚をかじる。うん、捕れたての魚だからすごく身がやわらかくて美味しい。

 できれば塩焼きで食べたいけど、塩なんてここにあるわけないしカウィールだってそう思っているだろうから言わないお約束というやつだ。




 ここ二日間、カウィールが率先して食べ物の確保をしてくれるから私は魔素の流れを詠む事に集中できている。そして魔法について教えてくれているのもカウィールだ。

 年齢は今年で十三らしいのだが、カウィールは十三歳ってここまで博学多識だっけ?と思ってしまうほど多くの知識を持っている。


 それについて聞いたら、「マオー様、いえ、エルミシア様は賢いものを好まれると言われて育てられてきましたので」と返された。

 ちょっと……意味がわかんないかな。

 つか誰が私の好みを知ってたんだ。コエーよ。本気で意味が分からないよ。まあ今そのカウィールの知識が役に立っているので特に何も言わず「へー」といって受け流した。カウィールは満足そうに元気よく「はい!」って言ってたからいいよね?


 たいていこういった話を振ると「マオー様、いえ、エルミシア様は~」から始まり「ところで俺はいつ食べられるのでしょうか?いえ、エルミシア様には俺の考えも及ばないようなことを考えていらっしゃるのですよね。差し出がましいことを言いました」で締めくくられるからめんどくさい。

 今回は何も言ってこなかったからそろそろ聞くのを諦めたんじゃないかと期待している。いちいち食人嗜好カニバリズムじゃないって言い含めるのも面倒になってきたし。本当、彼の頭の中で私はどんな魔物なんだ。



 そうそう、魔物で思い出したけれどこの世界には魔物がいるらしい。動物が魔力を使えるようになって出来た後天的な種の魔物と、最初から魔物として種が成り立っているものの二種類だ。スライムはこれの後者に含まれる。

 また、知能を持ち人と意思の疎通を図ることのできる魔物の主を『魔人族』、動物に近い性質を持ちながらも人の姿を取ることができる種族を『獣人族』、魔人族と獣人族の間に本来生まれないはずなのに生まれてしまった出来損ない・・・・・を『魔獣』というらしい。

 勝手に子どもを作っておいて出来損ない扱いとかどうかと思うけど、この世界ではそれが常識で当たり前のことのようだ。

 可哀想だと思うけれど、魔獣として生まれた子からすると髪や瞳が『黒』の私たちのほうが迫害レベルが上だから可哀想なやつらだと思われるのだろう。



 ……それにしても、ほんっとに魔素やら魔力やらがつかめない……。

 ≪あーるぴーじー≫の≪げーむ≫の世界では始めたときから既に弱い魔法とかぐらいならできるようだったのに。私に才能がないのか、それとも≪げーむ≫の彼らは物語が始まる前に訓練を受けていたという設定なのか……。


 ………………?

 

 なんか今、引っ掛かりを感じたような気がする。

 なんだろう? よくわからないな。


 ……うん、よくわからないことは後回しにするに限る。

 よし、もっかい頑張るぞ!







  *  *  *  *  




 そうして日が暮れて、今日もまだ魔素が分からなかったと嘆く頃には、感じた引っかかりなんて彼女は忘れてしまっていた。

 ここが既に知っていた・・・・・世界だと彼女はまだ、気付かない。

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