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第一章 麻薬と記憶と脅迫 第一話

 

 「昨日、最高気温32.7度を記録したここ東京では今日もプールや海水浴場に人がいっぱいです。今日も東京では最高気温30度以上になる見通しです。」

 今日この日も暑い。今年の3月は偏西風が北海道あたりに吹いており、なぜか夏の季節風が強く吹いているため温帯低気圧が関東上空に停滞している。しかし、月間予報では偏西風の吹く位置は少しずつ南に来ているため4月には平年並みの気温に下がるという。つまり4月のほうが3月より涼しくなるということになる。そしてもっと重要なことを聞いた。

 「今年は気温が異常に高いため、桜前線が一日で九州から青森へ移動し、桜の花は3月初めにすべて散りました。」

 このニュースを聞いて愕然とした一人の少年がいた。少年の名は東野原天空ひがしのはらあまぞら。彼は中学1年で今年は桜の下で告白したいと思っていた。相手は同級生で同じクラスの佐伯桝美だった。彼女は決して美人ではなく色気があるわけでもないが、普通に可愛く頭もよく優しかった。彼女には桜の木の下で告白したいと思っていた。

 そんなある日、彼の友達が言った。

 「ねえアマ、春休みに海いかない。」

 アマとは東野原の下の名前から取ったあだ名だ。

 「メンツは。」

 「西野と三井と佐伯と俺とお前。」

 「ちょっと待って、佐伯って。」

 「一人しかいないだろ。行くのか行かねえのかどっちなんだよ。」

 「…行く。」

 「じゃあ、放課後みんなで集まって計画建てようぜ。6時限終わったら校庭の桜の下な。」

そうか、桜にこだわる必要性はなかったんだ。春だろうが秋だろうが冬だろうがその時に与えられたカードで勝負すればいいんだ。今持っているカードは真夏、これを最大限利用すればいいだけだ。

 6時限が終わった。教科書の類を鞄の中に投げ入れ桜の木の下に急いだ。桜の木の下には彼を呼んだ張本人である松島と女子テニス部に所属していた西野と男子バスケ部に所属していた三井みついがいた。後者の二人は部活の監督が嫌になり退部したのだ。東野原と松島と佐伯はPC部に所属していた。PC部と言っても人数が30人を超える大所帯だった。

 「あとは佐伯だけだな。おっと噂をすれば。」

 佐伯が歩いてきた。東野原の心臓はバックバクだった。

 「じゃあ始めようぜ。どこ行く。」

 「九十九里浜とかいいんじゃない。」

 「でもめっちゃ混んでんだろ。」

 「ねえ、私の少し遠い親戚のおじさんが海辺に住んでてそこが海水浴場としてはめっちゃいいんだけど今年は季節外れだから開けないっていってるのね、でも私が友達連れて幾分には遊びに来てもいいって。」

 佐伯がそう言うとみんな喜んだ。そして松島が言った。

「そんなとこがあるなら早く言えよ。ヨッシャそこで決まり。」

その後もまた色々話し合い、3月21日から2泊3日でそこに行くことになった。みんなはキャッキャとはしゃいでいたが東野原だけそんな気になれなかった、というよりそんな気にならなかった。もし、自分もはしゃげば思わず「おれはコクるんだ」と叫びかねなかった。はしゃぎそうな気持ちを抑えて、3月21日を心待ちに待った。


 日暮里駅は東京駅に比べはるかに小さいがそれでも迷う人はいるんだなと思った。迷ったのは松島だった。北口のJRの改札内で待ち合わせだったのに間違えて京成線の改札に入ったのだ。彼は窓口で処理を受ける羽目になった。

 「まったく、何やってんのよ。」

 「すまん、あんまりにも浮かれていた。」

 彼らは山手線で東京まで行った。そしてまた迷ってしまった。

 「俺らって東京に向いてないのかな。」

 「馬鹿なこと言ってないで誰かに聞いてみてよ。あ、すいません。」

 西野が聞いたのは駅員だった。

 「総武線はどこですか。」

 「ここからエスカレータを降りて左にまっすぐ行くとまたエスカレータがあるからそこを降りてまっすぐ行くとまたエスカレータがあるからそこを降りると総武線ホームです。方向を間違えないように気を付けてください。」

 「何個エスカレータを降りるんだ。」

 総武線に乗り千葉まで行くと今度は内房線に乗った。

 「アンボウショウザンって初めて聞く名前。」

 「違うよ、アワカツヤマって読むんだよ。」

 「へえ安房って書いてアワって読むんだ。」

 東野原は佐伯が音楽を聴いているのに気付いた。

 「何聴いてるの?」

 てっきり最近のアーティストの歌だと思っていた。

 「えーと、サザンって知ってる?」

 「僕、大ファンだよ。」

 カラオケに行くといつも歌っている。特に「真夏の果実」が好きだ。

 「真夏の果実。」

 「あ、僕も好きだよ。」

 内心すごく驚いていた。

 「結構古いから古臭いって言われるかなと思ってたの。」

 「それ分かる。」

 (でもサザンって古いのかな。)

 東野原は天に浮く気分だった。誰だって好きな子と趣味が同じならうれしいだろう。安房勝山まで二人はサザンの話で盛り上がった。


 五人を乗せた電車は安房勝山についた。そこから徒歩30分のところに海岸があった。

 「わあ、きれい。」

 「早く泳ぎたいなあ。」

 「でも泳ぐよりも…」

 東野原以外の4人が彼に目を向けた

 「泳ぐよりも何。」

 「あ、いや何でもないよ。」

 5人は佐伯の叔父がやっているという民宿へ向かった。

 「そういえば今は三月なんだよなあ。いつもなら今頃桜の下で弁当食ってたんだなあ。」

 松島がそういうとみんながうなずいた。ついた民宿はなかなか新しくきれいだった。

 「あら、いらっしゃい。こんな辺ぴな場所によく来たね。お昼御飯も準備できてるから。」 

 部屋に入ると荷物を置き食堂へ向かった。

 「お客様、昼食のご用意ができております。」

 敬語を使うということは旅館の従業員なんだろうと全員が悟った。

 「お客様、ご食事がお済みになりましたら海岸へ行かれますか。」

 もちろんと松島が答えた。

 「海岸の奥のほうに岩場があるのですがそこには決して行かないでください。隙間が大きくあいていてそこに落ちると確実に溺れて死にます。いままで何人も亡くなられております。」

 食堂の窓からも岩場が見えた。そこに花が供えてあるのがかすかに見えた。

 食事を終えると彼らは海に出かけた。海は透き通っていて砂は真っ白だった。例の岩場のほうから佐伯の叔父さんが歩いてくるのが見えた。

 「おじさん、なんであそこに行ったの。あそこは危ないって。」

 佐伯一人で叔父によっていった

 「死んだんだ。」

 ほとんど聞こえない声でつぶやいた。

 「えっ…もしかしてミキが。」

 佐伯が悲しげな声で言った。 

 「去年、彼女に告白するとか言ってあそこに相手と二人で登ったんだ。そしたら幹雄だけすべって岩のはざまに落ちて…」

 「…」

 「今日はちょうど1ヶ月なんだ。」


 「ねえ、ミキ待ってよ。」

 「追いかけられるものなら追いかけてごらん。」

 「ねえミキ、だれが一番好き。」

 「そりゃ、お前に決まってるじゃん。変なこと言うなよ。」

 そういって二人は抱き合った。

 「ねえ、あそこ登っていいの。」

 家から出てきた幹雄に彼女は聞いた

 「大丈夫だよ。」

 二人は岩場の上に登った。

 「ねえエリ、将来を一緒に進まないか。」

 中学生のくせになかなかくさいセリフを吐くやつだなとエリは思った。

 「私は全然かまわないよ。」

 抱き合おうとしたその時だった。幹雄がバランスを崩して岩の隙間にするっと落ちた。彼は必死に水面に上がってこようとしたが落ちた後岩がずれ落ち水面に顔を出すことができなくなった。落ちた場所は深かった。足もつけられずもがきながら死んでしまった。エリはその場に泣き崩れた。

 幹雄の葬式は本当に近い身内だけで行われた。幹雄の叔父の妻の兄弟の娘である佐伯はこのため呼ばれなかったし、幹雄の死を知ることはなかった。


 佐伯は自分がどう歩いているかさえ分からなかった。

 (あんなにやさしかったミキがなぜ死んだんだろう。)

 ミキは自分より年上だったせいか恋愛感情などは抱かなかったがすごく好きだった。お兄さんとして好きだった。

 「どうしたんだよ、佐伯。」

 松島はどうも空気が読めない。ほかの全員は事情を知って黙っているのに。佐伯はうなだれたまんまだった。耐えられなくなったのか西野が松島に耳打ちした。事情を知ったかのように彼はうなずいた。

 彼ら全員がその後どう過ごしたか覚えていなかった。異変に気付いたのは宿に帰ろうとした時だった。

 「あれ、佐伯は。」

 全員が海岸を見渡したが彼女の姿はどこにも見えなかった。もしかしてと岩場に登り岩の隙間をすべて覗いた。すると佐伯の姿があった。探し当てたのは東野原だった。彼は幹雄の二の舞を想像した。彼のようにしてたまるかという心だけが頭の中を支配した。彼自身何をしているかわからなかったが、叫ぶ声が聞こえ、すぐサイレンが鳴った。そしていつの間にか病院にいた。そこでさっきの叫び声は自分が出したということを思い出した。そして自分がベッドに横たわっていた。横には佐伯が横たわっていた。時計に目をやった。日付は4月1日になっていた。そして今まであった事を思い出してみる。

 (あれ、思い出せない。)

 叫ぶ声が聞こえたとき以前の記憶がなかった。ただ佐伯というクラスメートの存在だけ覚えていた。その時、佐伯が起きた。

 「さ、佐伯…」

 「あれ、どうしたのアマくん。」

 佐伯も東野原のことを覚えていた。彼は佐伯にいろいろと質問してみた。

 「君はどうしてここにいるの。」

 「えっと、たしか岩場の間に落ちて…」

 「学校の名前は、俺は覚えてない。」

 「私も。」

 しばらく沈黙の時間が続いた。佐伯も東野原も同じくらい記憶喪失になっていた。唯一おぼえているのはお互いのことと事故当時の記憶だけだった。部屋に医師が入って来た。彼は驚いた表情を見せた。

 「おお、意識が戻ってる。それも二人とも。」

 彼は外に出ていった。何分か経って男性二人と女性二人が入って来た。

 「おお、桝美。」

 「おお、天空。」

 佐伯と東野原は彼らが誰なのかわからなかった。

 「もしかして、僕たちの親ですか。」

 そこにいた父母と思われる4人の男女が4人とも肩を落とした。

 「もしかして、記憶喪失…」


 佐伯は無意識のうちに岩場に登って行った。すると生えてたコケに滑って岩の隙間に落ちてしまった。しばらくして東野原が来た。助けに来たのかと思い期待していた。彼は大声を出して助けを求めた。そして立ち上がったその瞬間彼も佐伯のいる所に落ちた。

 「アマくん…」

 「ごめん桝美。おれこんなにドジなのに強がってそのうえ…」

 「死ぬときは一緒よ。」

 「…」

 やがてレスキュー隊と救急車、それに小さめのクレーンがやって来た。まずクレーンで岩をどけその間にレスキュー隊員に救助されたが、その時すでに二人とも気を失っていた。そして外見からは分からなかったが、二人とも重症だった。二人とも右腕と左足を骨折していた。病院に見舞いに来た松島達3人はショックで気絶し、2日間入院したが3人とも海に行ったときの記憶を無くしていた。

 

 二人は退院した後、神奈川の中学に転校した。転校して二人ともすぐ友達ができた。二人はクラス公認の仲ということになり、二人はその学校がいつの日か好きになった。

 しかし、平和は長く続かなかった。

 ある日のことだった。佐伯と東野原は二人で映画館に行くところだった。途中自販機でジュースを買おうとした。その時二人の少年の姿が目に入った。一人はクラスメートの宮西早尾だった。彼はいつも小テストでも成績が良くスポーツ万能で陸上部のエースだった。しかし、その時は何となく不良のようなオーラを感じた。もう一人はどこかであった事がある。そうだ、松島だ。あの空気の読めなさが彼らの会話から何となく感じられた。そして彼らは今は使われていない町工場の倉庫に入って行った。そしてその倉庫の中から大勢の話し声が聞こえた。そっと近寄って窓から少し覗いてみると倉庫が改造されてバーのようになっていた。そしてテーブルには得体のしれない粉や薬が置いてあった。その時だった。大柄な男がこっちに向かってきていた。

 「逃げろ。」

 二人は全速力で逃げ出した。入り組んだ路地を通って何とか振り切った。二人は映画館に向かった。

 映画が終わった後二人は喫茶店に行った。二人ともカフェラテを頼んだ。

 「ねえ、さっき宮西が入って行ったとこって…」

 佐伯が耳打ちした。

 「うん、間違いない…彼らはクスリに走っているんだ。」

 「そ、そんな…」

 映画の内容がほとんど頭に入らなかった。さっき追いかけてきた男は何かやくざの下っ端だろうと悟った。

 「このことを誰かに言ったほうがいいのかな。」

 「言ったらたぶん殺されるだろう。」

 佐伯の顔が青ざめた。こんなことを知って怖くない人間なんかいないだろう。そのあと二人は横浜駅で別れた。明日どうなるのだろうかと東野原は思った。

 次の日、学校に遅刻ギリギリで東野原は教室に駆け込んだ。いつも10分前には学校に来て授業の予習をしている宮西の姿が見えなかった。先生が入ってくるなりこう告げた

 「今日は宮西と杉千代すぎちよ、それに神乃田かんのだは今日は家の事情があって欠席だ。」

 「どういう事情ですか。」

 東野原はすかさず聞いた。

 「それは言えない。プライバシーにかかわる問題だからな。あ、それと今日の社会と英語の授業は自習だ。」

 東野原の隣にいた千ヶちがさきが彼に耳打ちした。

 「今日のニュース見なかったのか。覚せい剤だよ。」

 「こら、私語はやめる。」

 「あとでな。」

 一時間目の数学は頭に入らなかった。佐伯も同じだ。頭の中は真っ白だった。同類項についてという簡単な単元であるにもかかわらず一つも彼らの頭に入ることはなかった。チャイムが鳴り休み時間になった。

 「覚せい剤ってどういうこと。」

 東野原が千ヶ崎に聞いた。

 「昨日、覚せい剤がたくさん隠された倉庫が警察に見つかったんだって。それでそこにいた社会、英語の先生と宮西、神乃田、杉千代はそれぞれ停職、停学処分を受けたっていう話だ。そして驚いたことに首謀者は松島っていう中学生だったんだって。もちろん仕入れていたやつとは違うけどいろいろ仕切ってたのは中学生だったんだって。」

 「……えっ…」

 東野原はその言葉を疑った。まさか、級友だった松島が、空気が読めないあいつが……

 東野原は家に帰ってすぐにテレビをつけた。テレビには松島が映っていた。彼は昔見た映画について思い出していた。

男が何らかの手段で洗脳され殺人を犯した後自殺するという内容だった。しかし今の科学力で人の思考をコントロールできるのかということが気になった。もちろんこういう事を考えているのは松島を信じていたからだった。

 「覚せい剤が保管されていたとみられる倉庫にはこんなものがありました。」

 映像には段ボール箱くらいの大きさの金属の箱があり、そこからひもでつながれたクリップのようなものが2つ出ていた。

 「少年Aは次のように供述しています。『ぼくは思い出したくても思い出せないことがあったのです。それを思い出したいなあと友達にこぼしました。するとその友達が僕をある人物に紹介しました。その人が言うには僕の記憶を取り戻すにはこの機械が必要だといって段ボール箱くらいの金属の箱を見せられました。そしてこれを使うには命令を聞いてほしいと言いました。そしていやだというとピストルを突き付けられて脅されました。そして僕は怖くなり言いなりになったのです。』その思い出したいこととは何ですかというと次のように述べました。『大事な友達との記憶だったと思います。何かのショックで記憶が飛んだのです。』」

 あれ、と東野原は思い出した。松島のことを忘れていたつもりだったのにいつの間にか思い出していた。そして、彼もまた自分のことを思い出そうとしている。そう思うと胸が痛かった。

 松島は施設に入れられることになった。しかし松島が麻薬を扱ってないという事実が発覚した。そのため彼は一般社会に戻ってくることになった。そして松島は、今自分たちのいる学校に転入することとなった。

 しかし、ある日、悲劇が起こった。

 その時松島は自転車に乗って大通りを走っていた。いつもならそのまま通りを走るのだが。その日に限って路地に入って行った。その時だった。暴走したトラックが松島めがけて突っ込んでいった。しかし、間一髪で彼はトラックを避けた。彼はトラックの運転席を覗いた。ドライバーは死んでいた。彼はドライバーの顔を見た。そのドライバーはとんでもない人物だった。

 学校につくと宮西、杉千代、神乃田が青ざめた顔でこっちを見た。彼らもクスリには手を染めなかったようで弱みに付け込まれて脅迫されたということだった。松島はさりげなくどうしたんだと聞いてみた。

 「トラックにひかれそうになった。」

 松島の頭に何かが横ぎった、と同時に背筋が凍る感じがした

 「実は…僕もだ。」


 トラックで4人をひきかけたドライバーは全員即死だった。4台のトラックはみんなぐしゃぐしゃにつぶれている。殺されかけた4人は命の危険を感じていた。これは先生に話したほうがいいのだろうか、誰かに話すと次こそ殺され…いや、まわりのだれかが殺されるかもしれない。そう思うと誰かに話せなかった。心なしか教室に入って来た先生の顔も青ざめて見えた。

 「神乃田と杉千代、それに松島に宮西、ちょっと来なさい。」

 先生の指示に従って廊下に出た。すると、先生はとんでもないものを見せた。

 「ちょっとこれを見てみなさい。」

 4人はそれを一通り見て背筋が凍る思いをした、いや、むしろ背筋が燃えるような感じだった。

 「これからある4人を一人ずつ殺そうと思う。それを守ろうとする者がいた場合。ほかのものに危害を加える。」

 4人は何も言えない。最初に口を開いたのは先生だった。

 「先生はもちろんこのことをみんなには伝えてない。それで警察に届け出て君らを含めた生徒や君らの家族に護衛がつくことになった。」

 先生はそれ以上何も言わなかった。先生はなぜこんな脅迫状が届いたのかを知っている。無論、彼ら4人も知っている。だから、もう何も言うことがなかった、というよりできなかった。

 なんだかボンという大きな音が聞こえた。西校舎からだった。生徒、先生が一気に駆けつけた。そこでは保健室が消えていた。


 

 


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