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【ショートショート】/[シリーズ:格差の事情]ep1/  『傘の事情』

作者: katuron

[格差の事情]ep1


『傘の事情』


~ネットの中では良いお友達~


≪   フランスのシャンゼリゼ通りのショーウィンドウで

柔らかな日差しを浴びながら 紳士・淑女を眺めていました。

私の 日々は 大きく変わる事なんて思いもせずに     ≫


<   コンビニのストックヤードの片隅で静かに忙しそうな店員さんを時にはレジ前で雨音聴きながら老若男女を眺めていました。

僕の 日々は いつ変わるのだろうか と思いながら    >

 

≪   珍しく、おしとやかな若い娘が 黒い澄んだ瞳で私を見ている。暗い箱の中に納められ、心地良い揺れに眠りに就く

何処に運ばれてゆくんでしょうか             ≫


<   よく見かける、紺のスーツ男がぎらついた瞳で俺を見ている。がさつな手に握られ、激しい雨風に揺さぶられ眼を見開く

戦いの中に運ばれてゆくんでしょうか           >


≪   いつも陽を浴びて プラチナ色に輝く私

その影に隠れてらっしゃるお嬢様

上品なのに お高くとまってるのが、下品です。

あらっ 私ったら そのさらに上

お高いところに止まっておりました

『オ~ ホホホ』  ワタシッタラ オゲヒン       ≫


<   いつも曇空雨を浴びて 白く濁る俺

落ち着く暇なく 右へ左へ振り回される 

リーマン男は 男で 客に上司に振り回されてる   

『エイッ ハハハ』   カラ元気 アゲテイケ      >


≪   こう見えて繊細で、頑張り屋さん

骨も心も折れたことありませんことよ

だって フランス生まれ

精密なレース編み 鍛えられた骨 匠の技         ≫


<   折れない様に必死の食らいつく

ビニール自体は意外と自信があるんだぜ          >


≪   時折 お嬢様が騒がしい

御屋敷の外で ザーザー 何かしら?           ≫


<   久しぶり リーマン男が慌ただしい

アパートの外で ザーザー と 俺の出番         >


≪   リーマン傘さんへ

私まだ 電車という物に乗ったことありませんの

今度 御一緒に 案内していただけます          ≫


<   セレブ傘さんへ 

電車は 第二のホームみたいなもんです >


≪   バスケットにシャンパンとオードブル用意させます

乾杯でも致しましょう。                 ≫   

<   ・・・・・・ちょっと時間頂けますか 

指定席って数日かかるんです               >       


≪   先日届いたゴールド細工の傘立て 

ルイ王朝の時代のアンティーク 披露しますね。

貴方様の 傘立ても見せてね 楽しみです。        ≫


<   ・・・・・・・・・・              >


≪   あらっ なんだかお骨も心もうつむき加減

今度会う時まで、御自愛なさいませ。

今日もいい天気 お散歩日和

なんだか良いお友達になれそうでざ~ますわ。       ≫

格差の事情 シリーズ化 目論んでます

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