服従の魔王様
「「「魔王を討伐したぞ!!」」」
護衛の人達は喜んでいた。1000年以上倒せなかった魔王を討伐したのだから当然だろう。しかし、私はそんなことよりも、すぐそこで倒れている魔王が気になっていた。
護衛の人達は一通り余韻に浸った後、魔王討伐の証を私に渡して、一旦王国に帰ろうと言ってきた。
ただ、私は魔王のことがすごく心配だった。とりあえず、護衛の人達に魔王のスキルと能力を無効化したついでに私の奴隷にしたから後でまた迎えに行かなくては行けないと伝えた。攻撃してないから大丈夫だとは思うが、念の為フィオナさんの回復魔法を
魔王にかけてもらった。
私たちはひとまず王国に帰って情報を伝えることにした。
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「ついに、討伐されましたか……!」
カイルさんは涙を流して喜んでいた。
「サナ様、あなたのお陰でこの世界の平和は守られました!感謝してもしきれません……」
「いえ、私はスキルでステータスを変えただけなので……」
「いやいや、その1回きりのスキルを使って頂けたから魔王は討伐できたのです」
そうだ。もうこのスキル使えないんだった…
「ところでサナ様、魔王のステータスはどのように変えたのですか?」
「ええっと…」
その場ではとりあえず奴隷にしたと言っておいた。いつか鑑定された時にメイドにしたとバレそうだけど、討伐直後に恥をかきたくないので誤魔化した。
「なるほど、奴隷にされたのですね。では、今後は魔王リエラを見かけても攻撃しないように王国から全ての住民に知らせるようにしておきます」
意外とすんなり理解してもらえた。
その後、魔王討伐の証をカイルさんに提出して正式に依頼成功ということになった。討伐に成功したので報酬は合計金貨15万枚。一生遊んで暮らせるお金が手に入ったけどなかなか実感が湧かなかった。
「あの、私、魔王を引取りに行かなくてはいけないので魔王城に戻りたいのですが…」
「そうですか。エリオス、サナ様を魔王城まで連れて行ってくれますか?」
「もちろんです。ではサナ殿、魔王城向かいましょう」
討伐後の手続きなどはフィオナさんとセレナさんに任せて、私はエリオスさんの魔法で再び魔王城に連れて行ってもらった。
魔王城について中に入ると魔王はまだ目を閉じて倒れていた。
「魔王さん、大丈夫ですか?起きてください」
私がそう言うと魔王はすぐに目を覚まして私の元に駆け寄ってきた。
「ご主人様……!いかがなされましたか?」
急なことに口調も変わっているので私とエリオスさんは驚いていた。 ただ、私がさっき魔王のステータスを変更した時に私に服従するような能力を追加したのを思い出した。しかも、その能力では私によく懐くようにするという条件も入れていた。
「サナ殿、やはりリエラはサナ様に服従しているようですね」
「はい……。よく分かりませんが、とりあえず一緒に王国に帰りたいので移動魔法を使って貰えませんか?」
「もちろんです」
エリオスさんはすぐに移動魔法を使ってリエラと私を
役所まで送ってくれた。魔王を閉じ込める結界があるので連れて行けるか不安だったけど、普通に外に連れていくことができた。役職をメイドにしたからなのかもしれない。
とりあえず役所の中で魔王の脅威が無くなったことを証明する必要があると思い、一緒に中に入ることにした。中に入ると、役所の人達はかなりびっくりした様子でこちらを見ていた。まぁ、かつての魔王が目の前にいるのだから当たり前かもしれない。
「おお……!本当に魔王を従えたのですね。すみません、サナ様、早速ですが魔王のステータスを鑑定してもよろしいですか?」
きた、きてしまった。とりあえずメイドというものがこの世界にあるかどうか分からないから説明がめんどくさい。まぁここで鑑定しないのも怪しいし、鑑定はしてもらって後でちゃんと私に服従していると証明しよう。
役所の案内人が魔王を10分くらいかけて詳細鑑定した。案内人の人は魔王の詳細を紙に全て書き出していた。今後の取り扱いのためにも必要なことだろう。
「あの、サナさん……。魔王のスキルと能力は削除されなかったのですね?」
「はい……」
「サナ様に服従するような能力を追加しているのですぐにスキルを無差別に打つことは無さそうですが、サナ様次第では魔王の能力を使って平和を脅かすこともできます」
案内人がそう言うと役所にいた人達の表情が曇った。さすがにこのままだとまずいので、今後私が魔王を使って危害を加えないことを証明しなくてはいけない。
「はい… 分かっています。あの、これを見ていただけますか?」
私はそう言った後、魔王にその場で3回ジャンプするように指示した。すると魔王はすぐに従い、嬉しそうに3回ジャンプした。ついでにおっぱいが3回揺れた。
「このように魔王は私に服従しており、いかなる指示も受け入れます。鑑定でもそのように出ているはずです」
そして私は魔王に再び指示した。
「リエラ、あなたは今後世界の平和を脅かす行動をしてはいけません。この命令は今後私がなんと言おうが覆らない。分かった?」
「はい!」
魔王は元気に返事をし、私にくっついて頬ずりをしてきた。すでにめちゃくちゃ懐いている。
「なるほど…。鑑定でもサナ様の指示に従うように出ているようですし、今後魔王の脅威が再び現れることは無さそうですね……」
カイルさんがそういうと、役所の人達は安心したような表情になった。
「分かりました。では、サナ様が魔王を討伐されたこと、そしてサナ様が魔王を従えており、その力を今後悪用することがないことを受け入れます」
よかった…。安心した。とりあえず信用して貰えたようだ。
「討伐の詳細はセレナとフィオナから既に聞いております。サナ様、本日はもう遅いですし宿に帰られても良いですよ。残りの手続きは明日に済ませましょう」
「ありがとうございます。そうさせてもらいます」
そんな感じで今日はもう解散することになった。私は魔王と一緒に宿に戻ることにした。
てか私、ずっと心の中で魔王って呼んでたけど、ちゃんと名前があるんだしリエラって呼んであげよう。
討伐メンバーと解散し、リエラと宿に戻って食事を済ませた。私の連れと伝えたら食堂の人はリエラの分の食事も用意してくれた。リエラはすごく美味しそうに食べていたけど、スプーンやフォークの使い方が分からなかったらしく、手やテーブルを汚してしまっていた。




