表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6人家族の珍道中 ドタバタ家族の記録  作者: ゴリラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/31

庭木戦争 — 刺と果実と、パパの献身 —

春の陽光が降り注ぐ中、伸び放題になった木々を整えるべく、一家総出の剪定大会が開催

【第一章:選ばれし勇者と、自由すぎる民衆】

「よし、今日は庭をスッキリさせるぞ!」

パパの手には、研ぎ澄まされた剪定バサミ。対するは、ザクロ、柚子、オレンジといった「刺の武装集団」から、オオデマリ、シマトネリコ、マルベリー、ぐみの木といった「癒やし系(に見える)集団」まで。

ママは軍手を装着し、切り落とされた枝をゴミ袋に詰め込む「仕分け」のポジション。

そして子供たちはといえば……。

「パパ、マルベリー食べていい!?」

「あ、これ、お箸にできそう!」

長女、次女、三女、長男の四人は、パパが命がけで切り落とした枝を拾っては並べ、秘密基地を造り、熟したマルベリーを見つけては口を紫に染めて「美味しいー!」と叫ぶ、まさに自由奔放な観客と化していました。

【第二章:第一の刺 —— ザクロの洗礼 ——】

パパが最初に挑んだのは、ザクロの木でした。

「こいつを少し詰めないと、歩く時に邪魔だからな……」

慎重にハサミを入れようとした、その時。

「いてっ!」

ザクロの隠れた鋭い刺が、パパの二の腕を直撃しました。

「パパ、大丈夫? 刺された?」

ママが心配そうに見ますが、パパは「……かすり傷だ」と強がります。しかし、心の中では(ザクロってこんなに攻撃的だったっけ?)と戦慄していました。

【第三章:第二の刺 —— 柚子の待ち伏せ ——】

続いて、佐藤家きっての武闘派、柚子の木です。

柚子の刺は、もはや「針」のレベル。パパは厚手の作業着を突き抜けてくる恐怖を感じていました。

「あうー! パパ、がんばれー!」

長男の颯太が、マルベリーで口を紫にしながら応援(?)してくれます。その声に応えようと、パパが奥まった枝に手を伸ばした瞬間。

「……ッ!! いだぁぁい!!」

今度は手のひらに、柚子の極太な刺が深々とコンタクト。

「パパ、また? ちょっと、血が出てるじゃない」

ママが呆れながら絆創膏を差し出しますが、パパはもはや修行僧のような顔で「いいんだ。木も必死に生きてるんだ……」と、哲学的な域に達していました。

【第四章:第三の刺 —— ぐみの木の奇襲 ——】

オレンジ、オオデマリ、シマトネリコを順調にこなし、最後はぐみの木です。

「ぐみは実も可愛いし、刺なんてないだろう」

パパが完全に油断した、その時でした。

「ぐふっ……いてててて!!」

なんと、ぐみの木にも隠された鋭い刺が。それがパパの指先にピンポイントでヒット。

「パパ、三冠達成だね」

次女の澪が、並べた枝の横で冷静にツッコミを入れました。

結局、全行程を終えた頃、パパの腕と手は絆創膏だらけ。

庭は見違えるほどスッキリしましたが、勇者パパはボロボロの負傷兵となっていました。

【第五章:戦士の休息】

「ふぅ……終わった……」

絆創膏だらけのパパを横目に、子供たちは「パパ、この枝で明日も遊んでいい?」と、パパが流した血の代償である枝の山を見つめてニコニコしています。

「いいよ。でも、刺には気をつけるんだぞ……」

パパは遠い目をして、絆創膏の貼られた指で、最後の一粒のマルベリーを口に運びました。

甘酸っぱい味が、戦士の疲れを少しだけ癒やしてくれました。

怪我人、1名。

しかし、佐藤家の庭には今年も、美しい花と美味しい実が約束されたのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ