長女の反乱 ママを騙した1週間
長女、学校からの宿題が出ているのにも関わらず、出てないと!親を騙して宿題をやらずに1週間
恐怖!ママの携帯に担任の先生からTEL···········
【第一章:嵐の前の静けさと、次女の覚醒】
事の始まりは、一本の電話でした。
宿題が「出てない」のではなく、そもそも「出てるのにない」と嘘をつき続けて一週間。長女・陽葵の担任の先生からママの携帯に届いた連絡は、まさに宣戦布告のホーンでした。
「……はい。……ええ、存じ上げませんでした。……申し訳ございません」
電話を切ったママ(33歳)の沈黙。
それは、これから始まる大噴火の前触れでした。
長女は「今日も宿題なーい!」と無邪気に遊びに行ってしまい、家には次女の澪だけが残されていました。
澪は見たのです。ママの顔が、この世のものとは思えない「鬼の形相」に変わる瞬間を。
(……ヤバい。これはマジでヤバい。死ぬ)
1年生にして家庭内の気流を察知する能力がカンストしている澪は、トラウマレベルの恐怖に突き動かされ、誰に言われるでもなく机に向かいました。
「ママ、私、宿題やるね……!」
背筋をピンと伸ばし、三女の結菜や末っ子の颯太が「ママ〜」と甘えに行こうとするのを、澪は鋭い眼光で制止しました。
(今はダメ! 今のママに近づいたら、アンキロサウルスのハンマーでも防げないわ!)
ママは「ちょっと学校行ってくる」と冷たく言い残し、往復10分の修羅場(先生との面談)へと向かいました。
【第二章:15時の歯磨きと、ガトリング砲】
ママが学校へ行っている間、澪は必死に宿題を終わらせ、明日の準備とお風呂の準備まで完了させました。
そして、ママが帰宅し
いつもなら宿題の丸付けを待たずに遊びに行く彼女ですが、今日は違います。完璧な「防御体勢」です。
そして、なぜか彼女が始めたのは「歯磨き」。
まだ15時です。おやつの時間ですらありません。
しかし、あまりの恐怖に「何か良いことをしてママを喜ばせなければ」という回路がショートした結果、彼女は洗面台に立っていました。
だが、ここで致命的なミスを犯します。
焦るあまり、自分の歯ブラシではなく、三女・結菜の歯ブラシを手に取ってしまったのです。
ママが帰宅。澪はビクビクしながら宿題を差し出し、丸付けをしてくれるママの横で、仕上げ磨きをお願いするために待機しました。
そして、差し出した歯ブラシを見て、澪は凍りつきました。
(……これ、結菜のやつだ)
ママが歯ブラシと澪の顔を、交互にジーーーッと睨みつけます。
その沈黙に耐えられなくなった澪。口の中は歯磨き粉の泡でパンパンです。
「ば、ばぢがえだーーー!(間違えたー!)」
勢いよく叫んだ瞬間、澪の口から真っ白な歯磨き粉が、ママの顔面に向かってガトリング砲のように発射されました。
「…………」
ママは怒りませんでした。無言で拭いてました。
それが逆に怖い! 澪はダッシュで三女の歯ブラシを洗い、自分の物を持って戻り、「ごねん、ごめんなちょい」
極限状態での噛み。そして深々と頭を下げる。
ママは必死で笑いを堪えるため、足がガタガタと震えています(貧乏ゆすり)。
下を向いたままの澪には、その揺れる脚が「怒りの前兆」にしか見えません。
「お、お風呂掃除してきます!!」
冷や汗を流しながら、澪は戦地から離脱しました。
【第三章:書斎の怪獣と、禁断の煙】
澪がお風呂掃除を始めると、ママの我慢が限界に達しました。
「ぶふっ……あはははは! ごめんなちょいって何!? ガトリング砲浴びたんだけど!」
大爆笑しながら、ママは書斎にいるパパにLINEを入れました。
しかし、返ってきた空気は極寒でした。
パパは、長女の嘘にマジギレしていたのです。
いつもは「禁煙」を誓っているはずの書斎から、ガシャッ、と窓とシャッターが開く音が聞こえてきました。
……パパが、煙草を吸っている。これは佐藤家の「最高警戒レベル」の証です。
ママは慌てて、パパが大好きな缶コーヒーとお菓子を持って書斎へ向かいました。
案の定、パパは般若のような顔でパソコンに向かっていました。
「パパ、ごめん。私が怒らせちゃったね。でも、次女の澪が……空気を読んでお風呂掃除までやってくれたの。あの子、本当に頑張ったから、後で褒めてあげて」
パパは一言、「……オウ」とだけ答えて、紫煙の向こうへ視線を戻しました。
【第四章:100円の学習と、何も知らない長女】
ママがいつもの顔に戻ったのを確認し、澪がようやく書斎のドアを「コンコンコンコンコンコンコンコンコン……」と小刻みにノックしました。
パパは笑いながら顔を出し、「お風呂掃除、ありがとな」と、澪を力いっぱい抱きしめました。
そして、用意していた100円玉を渡すと、澪の瞳が輝きました。
(……そっか。良いことをすれば、パパはお小遣いをくれるんだ)
恐怖体験から一転、ビジネスチャンスを学習した澪。
彼女は意気揚々と、何も知らない長女が待つ公園へと走り去りました。
嵐の前の静けさを楽しむ姉に、澪はあえて何も言いませんでした。
【第五章:咆哮の夜と、パパの「絶縁宣言」】
17時15分。門限を破って帰宅した長女・陽葵を待っていたのは、暗いリビングと、鬼の形相のママでした。
「何かあったの?」と、寝ぼけたことを言う長女。
パパは、お風呂場でチビーズ(澪・結菜・颯太)を連れて「プールごっこ」をしていました。
ママの咆哮がリビングから響き渡る中、パパは努めて冷静に、しかし心の中の怪獣を抑えながら子供たちを洗いました。
お風呂から出た後、状況を察した澪が下二人のパジャマを完璧に準備し、お風呂場で着替えを済ませます。
パパがリビングへ行くと、そこには怒りを通り越して泣きじゃくるママと、真っ赤な顔で逆ギレする陽葵がいました。
「なんで勉強しなきゃいけないの! 家族なんて大嫌い!」
その言葉を聞いた瞬間、パパのスイッチが入りました。
「……陽葵。そこに立っとれ」
パパは低く、冷たい声で言い放ちました。
「なら、これからパパとママは、お前に何もしない。それでいいな?」
「何もしなくていいよ!」
「そうか。じゃあ、今すぐこの家から出てけ。一人の力で生きていけるんだろ?」
「……え?」
「俺の女を泣かせて、大嫌いだって言い放つ奴を、俺がこの家に置いておくと思うか? 今、お前がしなきゃいけないことは何だ。あー?」
パパの、鋭くなった眼光が陽葵を射抜きます。
震え上がった陽葵は、黙って下を向きました。
「答えが出るまでリビングに来るな。荷物まとめて出ていくなら好きにしろ」
パパは換気扇の下で、ゆっくりと煙草を吸い始めました。
【第六章:オムライスと変顔の和解】
数十分後。
パパは人数分のオムライスを作り、澪に陽葵を呼びに行かせました。
しばらくして、リビングのドアの前に、顔をぐちゃぐちゃにして泣き腫らした陽葵が立っていました。
「……ごめんなさい」
「何のことで謝ってんだ? 原因、わかってんのか」
パパの厳しい問いかけに、陽葵は不思議な呪文のような泣き言を漏らします。
それを横で見ていた澪がポツリ。
「うわ、顔ぐちゃぐちゃ……」
「澪、今は静かにしなさい」とママにたしなめられますが、空気は少しだけ緩みました。
パパは庭で「ホタル族」になりながら、追いかけてきた陽葵を諭しました。
「宿題をやらなかったことじゃない。ママを騙して、悲しませたことが一番の問題だろ。俺には謝らなくていい。ママにちゃんと謝ってこい」
陽葵はリビングに戻り、ママに何度も、何度も謝りました。
パパが戻ってくると、陽葵はようやくオムライスを口にしました。
それを見た澪が、また面と向かって言います。
「うわ、さっきよりさらに顔ぐちゃぐちゃ。オムライスと混ざってるよ」
ママは思わずクスクス。陽葵も、怒りたいけれど自分が悪いので、笑いを堪えて食べるしかありません。
末っ子の颯太が、陽葵の皿から卵だけ盗もうと手を伸ばし、パパに捕獲されます。
三女の結菜は、泣いていたママの頭を「よしよし」と撫でています。
パパは陽葵の目の前に座り、颯太と一緒に全力の「変顔」を見せつけました。
「ぶふっ……ひっ、ふー……」
泣き笑いの表情で、陽葵はなんとかご飯を食べ終えました。
その夜、佐藤家のダイニングテーブルには、一週間分の溜まった宿題を広げて格闘する長女と、それを監視(?)しながらビールを飲むパパ、そしてなぜか隣でまた歯を磨いている澪の姿がありました。
「澪、その歯ブラシ、パパのじゃないだろうな?」
「……ごめんなちょい!」
その後、宿題を終わらせた長女はパパから門限破ったから1ヶ月風呂掃除な~と、一言だけ告げられ膝から崩れ落ちました




