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6人家族の珍道中 ドタバタ家族の記録  作者: ゴリラ


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23/31

黄金の旋律 ! 颯太、三十分間の「○○○の舞」

家のリビングは、今日も予測不可能なエネルギーに満ち溢れていました。

2歳の末っ子長男・颯太。

彼が披露したのは、家族の記憶に一生刻まれるであろう「究極の儀式」

【第一章:静寂を切り裂く、前兆のポーズ】

その日の午後は、佐藤家にしては珍しく穏やかな時間が流れていました。

小学生組の陽葵と澪は宿題のフリを終えてトカゲのラッキーと戯れ、三女の結菜は自分のくるくる天然パーマにヘアピンを刺す作業に没頭していました。

パパ(38歳)は、10キロ痩せたシャープな顎のラインを時折鏡で確認しながら、在宅ワークの資料作成に励んでいました。ママ(33歳)はキッチンで、昨日のカラーギャング騒動で抜け始めた髪色を気にしつつ、夕飯の仕込みをしています。

その時でした。

2歳の颯太が、リビングの扉の前でピタリと足を止めました。

「……?」

パパがふと顔を上げると、颯太が何かに取り憑かれたような無表情で、一点を見つめています。そして、次の瞬間。

「じょー!!(行くぞー!)」

唐突に、彼の小さな体が激しく左右に揺れ始めました。

【第二章:開演 —— コミカル・シェイクの衝撃 ——】

颯太の踊りは、これまでに見たどのダンスとも違っていました。

両手を頭の上に高く掲げ、指先をピロピロと動かしながら、腰を驚異的な可動域でフリフリ、フリフリと振り始めたのです。

「ちょっと、颯太!? 何その動き!」

キッチンから出てきたママが、思わず声を上げました。

颯太の腰の振りは、まるで熟練のフラダンサーか、あるいは高速で回転する洗濯機の脱水槽のようです。オムツでパンパンに膨らんだお尻が、右へ左へ、コミカルにバウンドしています。

「アハハハ! 颯太くん、面白い! お尻が喋ってるみたい!」

次女の澪が手を叩いて笑い転げます。

しかし、颯太の踊りは止まりません。それどころか、ママの爆笑がガソリンになったのか、ダンスはさらに激しさを増していきました。

今度は腰を左右だけでなく、前後に激しく突き出すモーションが加わりました。

「前後にフリフリ、前後にフリフリ」

颯太はリビングの扉の前から、パパとママが座るソファの前まで、カニ歩きのように横移動しながら踊り続けます。

「見てパパ、颯太のあの顔! 無表情なのに腰だけが狂ったように動いてるわよ!」

ママは腹筋を押さえて膝をつきました。パパも仕事の手を止め、目の前で繰り広げられる「狂気と笑いのステージ」に釘付けです。

「……颯太、お前、新種の求愛ダンスか何かか?」

パパのツッコミなど耳に入らない様子で、颯太はさらにスピードを上げます。立ち止まっては腰を振り、歩きながらも腰を振る。その動きはもはや、2歳児の筋力を超越していました。

【第三章:三十分間のトランス状態】

ダンスが始まってから、すでに15分が経過しました。

普通の子供なら飽きてやめるはずですが、颯太は汗だくになりながらも踊り続けています。

「まだ踊ってるわ……。この子、将来ダンサーになるのかしら」

ママは笑いすぎて涙を拭いながら、スマホで動画を撮り始めました。

パパも時計を見ます。

20分……25分……。

「パパ、颯太くんの腰、壊れないかな?」

長女の陽葵が心配そうに見守る中、颯太はついにパパとママの目の前、最短距離に陣取りました。

至近距離で、突き出されるオムツお尻。

激しく上下する腕。

そして、一点を見つめる鋭い眼光。

パパは思いました。

(これは、何か大きな力を呼び出そうとしている儀式に違いない。あるいは、ダイエット中の俺に対する、カロリー消費の見せつけか?)

30分が経過しようとしたその時、颯太の動きがフッと止まりました。

まるで魔法が解けたかのように、彼は腕を下げ、深く息を吐きました。

リビングに訪れた、久々の静寂。

パパとママは、感動すら覚えていました。30分間も踊り続けた息子の体力と、そのシュールなエンターテインメント性に。

そして、颯太はパパとママの顔をじっと見上げ、静かに、しかし力強く、こう告げたのです。

「……うんち、でた」

【第四章:衝撃のタイムライン】

「…………えっ?」

ママの時が止まりました。パパもキーボードの上で指を固まらせました。

今、この子はなんて言った?

「うんち、出たの?」

ママが恐る恐る聞き返すと、颯太は満足げにコクンと頷きました。

「いつ……いつ出たのよ? 今? 踊り終わった今出たの?」

ママが尋ねると、颯太は首を振り、最初のリビングの扉の前を指差しました。

「あちー(あっち)」

「えっ、あっち……って、あのダンスを始める前ってこと!?」

ママの声が裏返ります。

「颯太、ダンスを踊る前から、もう出てたの?」

颯太は清々しい顔で答えました。

「うー(うん)」

「ギャーーハハハハ!!!」

ママが床に転がりました。

「ちょっと待って! ということは、何!? 颯太は、オムツの中に『黄金の果実』を抱えたまま、あんなに激しく、30分間も腰を振ってたってこと!?」

パパも椅子から転げ落ちそうになりました。

通常、颯太はうんちが出るとすぐに「うんち出た〜」と報告に来る素直な子です。なのに今日に限って、彼は報告よりも先に「舞」を選んだ。

しかも、中身が入った状態で、前後左右に、あんなにフルスイングで。

「アハハハ! 熟成されてる! 30分間、シェイクされてるわよ!」

ママは笑いすぎて呼吸困難に陥っています。

「颯太! なんで言わなかったのよ! 気持ち悪くなかったの!?」

颯太はケロッとして、「おどる、たのしかった」と言わんばかりのドヤ顔をしています。

【第五章:オムツ替えという名の「事後処理」】

笑い死にそうになりながらも、ママは母親の義務を果たすべく、颯太を寝かせました。

「もう……怖いわ。開けるのが怖いわよ」

パパも野次馬根性で横から覗き込みます。

ママがオムツのテープをバリバリっと剥がした瞬間。

「…………っ!!」

二人は無言で鼻を抑え、のけぞりました。

そこには、30分間の激しいシェイクと体温によって、極限まで「練り上げられた」芸術作品が鎮座していました。

「パパ……これ、もはや『練り香水』とかのレベルじゃないわよ。攻撃力がカンストしてるわ」

ママは笑いと悪臭のダブルパンチで、顔をぐちゃぐちゃにしながらオムツを替えています。

パパは、その様子を横で見ながら、つい口を滑らせました。

「……30分間、『うんちの舞』だったわけね」

その言葉が、ママのトドメを刺しました。

「……ッ、フフ……アハ、アハハハハ!! 『うんちの舞』!! やめてパパ! お腹痛い! 腹筋が、腹筋が死ぬ!!」

ママはオムツを持ったまま、笑いすぎて後ろにひっくり返りそうになりました。

「あんなに、あんなに高潔なダンスに見えたのに! 実態は『うんちの舞』だったなんて!!」

リビングにはママの絶叫に近い笑い声が響き渡り、長女も次女も三女も、事情を知って大爆笑。佐藤家は「うんちの舞」というパワーワードによって、一つにまとまったのです。

【第六章:そして日常へ —— 舞の余韻 ——】

スッキリした顔で新しいオムツを履いた颯太は、何事もなかったかのようにミニカーで遊び始めました。

一方、ママはその後1時間、思い出し笑いで家事が手につかない状態に。

「ねえパパ……フフッ。あの時の、腰を前に突き出した瞬間の颯太の顔……思い出したらまた……クククッ」

「ママ、もうやめろ。俺も仕事が進まない」

パパは再びパソコンに向かいましたが、画面の文字がすべて「フリフリ」と動いているように見えて仕方がありませんでした。

夜、子供たちが寝静まった後。

パパとママは、今日撮った動画を何度も見返しました。

画面の中で、頭の上に手を掲げ、激しく腰を振る颯太。そのオムツの中には、すでに「彼」がいたのだと思うと、一コマ一コマが愛おしく、そして猛烈におかしい。

「パパ。この子、やっぱり大物になるわね」

「ああ。あんな状況で30分踊り続ける精神力は、俺のダイエットなんて比じゃないよ」

結局、パパの10キロ減の成果は、颯太の「うんこの舞」の衝撃によって、またしても家族の話題から消え去っていきました。

パパはツルツルの頭を撫でながら、そっと呟きました。

どんなに大変なことがあっても、夜に熱が出ても、誰かが喧嘩をしても、ママがカラーギャングになっても。

この家には、すべてを笑いに変える「うんちの舞」がある。

佐藤家の明日は、今日よりもさらに激しく、腰を振るような一日になるに違いない

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