朝の「全員集合」は戦場である
長女(9歳): しっかり者で、お母さんの助け舟を出す役割。
次女(7歳): まだ1年生。ちょっとマイペースで遊び心満載。
三女(4歳): イヤイヤ期の名残と、自己主張が強くなるお年頃。
長男(2歳): 家族のアイドルであり、最強のトラブルメーカー。
パパ(38歳)・ママ(33歳): 良き夫婦関係。
AM 7:00。
33歳の母、美紀にとって、目覚まし時計の音は戦いのゴングだ。
「ほら、みんな起きて!学校と幼稚園遅れるよ!」
隣でまだ夢の中の夫、健一(38歳)の脇腹を軽く突き、美紀はキッチンへ急ぐ。
まずは2歳の長男、颯太が泣き出した。おむつが重いらしい。その横で、4歳の三女、結菜が「パジャマ脱げなーい!」と叫んでいる。
「はいはい、今行くからね」
そこへ、小学校3年生の長女、陽葵(ひまり・9歳)が、ランドセルを片手に冷静な顔で現れた。
「お母さん、次女ちゃんがまた算数セットのシール剥がして遊んでるよ」
「ええっ!?」
美紀がリビングへ走ると、1年生の次女、澪(みお・7歳)が、床に座り込んで自分自身の爪に「なまえシール」をネイルのように貼り付けていた。
「澪!それは学校に持っていくやつでしょ!」
「だって、キラキラして可愛かったんだもん……」
パパの健一がようやく起きてきて、2歳の颯太を抱き上げる。
「よしよし、パパとパン食べような。……あ、陽葵、宿題やったのか?」
「パパ、それは昨日もう聞いたよ。それより颯太くん、牛乳こぼしそう」
「わわっ!」
案の定、颯太が振り回したコップから牛乳が放物線を描き、健一のスーツのズボンに直撃した。
「あああ!俺のズボンが!」
「パパ、騒がないで!結菜、靴下履いた?澪、シール剥がして!陽葵、連絡帳出した!?」
美紀の指揮官のような声が響く。
長女はテキパキと準備を進め、次女はマイペースにパンをかじり、三女は突然「幼稚園行かない!」とダンスを始め、長男はパパの膝の上でケラケラ笑っている。
AM 8:15。
嵐のような時間が過ぎ、ようやく玄関のドアが閉まった。
「……行ったね」
「ああ、行ったな……」
健一と美紀は、パンの屑と脱ぎ捨てられたパジャマが散らばるリビングで、ようやく一杯のコーヒーを口にする。
「ねえ、パパ。今日、帰りに牛乳買ってきて。あと、澪の算数シールも」
「了解。……明日もこれ、やるんだよな?」
「当たり前でしょ。明日はもっとドタバタする予感がするわ」
二人は顔を見合わせ、苦笑いした。
大変だけれど、この賑やかさが、今のこの家の「幸せの音」なのだ。
終わりの始まり




