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【第1章完結】異世界転移は禁魔書と!〜ゲーム内の能力そのままで転移したトッププレイヤーの俺、異世界を魔術で無双します〜  作者: sha-k_3
第1章・異世界転移は突然に

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第8話・アストと禁断の果実?

「マスター、集め終わった」


「お、どのくらい集まっ……すぅー、まじか」


しゃがみながらマリア草を採取していると、後ろからアストに声をかけられる。

俺は首だけで振り向くと、衝撃的な光景に目を疑った。

立ち上がった俺は、目の前にいる植物の塊に喋りかける。


「アスト……だよな?」


俺がそう問いかけると、植物の塊が頷く。

やはり、このマリア草らしき植物で全身が覆われた、小柄の人物こそがアストのようだ。


「どう集めたらそんな状況になるんだ」


「早く、収納」


「わかったわかった。《亜空書庫》」


次の瞬間、緑の塊が魔術陣へと吸い込まれていき、そこにはアストだけが残った。

俺は一体どんだけ集めたんだと亜空書庫の中を確認する。


「え、いや、え? まじか、いや、1000ってまじか……」


衝撃的な枚数のマリア草に、俺は絶句する。

アストが集めていた時間は太陽の位置からして今が12時なので、おおよそ3時間ほどだろう。

つまり、だいたい……えーと、


「10秒1枚ってとこか。いやマジか」


ゲームの頃からアストの採集は素早かったが、まさか現実になった途端ここまで速くなるとは。

限度を超えた衝撃を受けて、まともな語彙力を失う。


「ぶい」


俺が呆然としていると、その様子を見たアストは無表情のままピースする。

ちなみに、俺が集めた枚数は100枚なので、合わせて1100枚だ。


「ありがとなアスト。それじゃあ、採取依頼はこれで完了かな」


それにしても、今の時刻は正午くらいだから帰るにはまだ早い。


「そうだ。せっかくだし、森の方に行ってみるか」






「そういえばアスト」


2人で森に向かっている途中、さすがに広がる草原の光景に見飽きた俺は、アストに話しかける。


「この世界から、元の世界に帰る方法ってあるのかな」


「基本、無理」


「やっぱ無理かー。って、基本?」


アストの発言に、違和感を持った俺は聞き返す。

すると彼女は俺の目を見ながら、こくりと頷いた。


「転移は、神や天使の力。悪魔には無理」


「転移……ってことは、ダンジョンの魔術陣とか?」


彼女は再び、こくりと頷く。


「つまりまあ、可能性はあるんだな。ほぼ不可能だけど……神とか天使とか、どこで会えるんだよほんと」


俺は将来のことを考えてうなだれてる。

そのとき、アストが「あ」と声を漏らした。


「ん? なんかあったか?」


「あれ」


アストが指を指す方向を見てみると、木に実った赤色の果実が目に入った。

あのりんごみたいな果実が食べたいのだろうか。


「あれ、取ってもいい?」


「別に好きにすればいいけど、アストには厳しくないか?」


果実が実っている木の高さは、目測りでだいたい、俺の5倍ほど。

確かこのアバターの身長が175センチだったから、8、9メートルくらいは確実にある。


「どう頑張っても届か――」


「《ダークショット》」


右腕を木に向けて伸ばしたアストがそう呟く。

次の瞬間、アストの手のひらから小さな球状の闇が放たれた。

闇は素早く飛んでいき、果梗(かこう)――果実と枝を繋ぐ茎の部分――の少し上に直撃する。


「ん、取れた」


その衝撃で落下してきた果実を、手をお椀にして待っていたアストが受け止めた。


(あーそういえば、アストって闇魔法使えるのか……)


最近アストと一緒に冒険していなかったからか、そのことをすっかり忘れてしまっていた。

果実をゲットできたことで嬉しそうに体を揺らす彼女を見ながら、俺はそんなことを考える。


するとアストは、もう1度木に向けて魔法を放った。

そして、さっきと同じように落ちてくる果実を、今度は片手でキャッチする。


「マスター、あげる」


彼女は右手に持った果実を、俺に渡そうと押し付けてくる。

その様子に微笑ましい気持ちになりながら、俺はアストから果実を受け取った。


食べる前に一応、解析だけしておこう。


(《解析》)


「ッ゙!? ゴホッゴホッ!」


予想外の解析結果に俺は咽せてしまう。


――――――――――――――――――――

《解析結果》

名称・フールの実 種族・果実


草原や森林などに多く自生しているフールの木に生る果実。

衝撃に弱く木から落ちやすいため、魔獣や魔物の食料となっている。


僅かに毒性があるため、注意が必要。

そのことが知られた際、ふざけて口にした者が絶えなかった事から、愚者(フール)の名前が付けられた。


――――――――――――――――――――


「……あむ」


シャクッと、瑞々しい果実をかじったような音が隣から聞こえる。

俺は恐る恐る左を向くと、そこには丸かじりされた果実と頬を膨らませたアストの姿があった。


「あ、アストそれ毒あるから、吐き出して! 吐き出しなさいすぐに!」


持っていた果実をローブに突っ込んだ俺は、彼女の肩を掴むんで勢いよく前後に揺らす。

俺が疲れて動きを止めると、抵抗せずに揺らされていたアストは、ごくりと口の中の果実を飲み込んでしまった。


「あ」


「マスターマスター……アスト、毒効かない、よ?」


彼女は俺のローブを掴むと、いつもと同じ口調でそう伝えてくる。


「……そうだったわ」


公爵級悪魔アスタロトが司るのは、星と竜、そして毒だ。

そのため、アストは毒が一切効かず、その契約者である俺もある程度の毒までなら無効である。


ローブから果実を取り出すと、俺は果実をまじまじと見つめる。

少し経ってから俺は、意を決してひとくちかじった。


「どう? マスター」


「いや、普通に甘くて美味しい」


そう返答した俺はもうひとくちかじると、果実の甘さと瑞々しさを楽しむ。

ちらっとアストの方を見ると、彼女も手に持った果実にかじりついていた。






フールの実をしっかりと完食した俺たちは、ついに森に足を踏み入れた。


「帰ってきたな、森。昨日ぶりだよ」


「マスター、目が覚めたの、森の中だもんね」


森の中で目が覚めて、ひどく困惑したのはすでにいい思い出だ。

俺が昨日のことを思い出していると、少し先の茂みがガサガサと揺れた。


「何か来てるな。アスト、魔法の準備を」


俺は剣に手をやりながら、アストを後ろに下がらせる。

次の瞬間、棍棒を持ったゴブリンが飛び出してきた。


俺は鞘から剣を抜くと、そのまま斜めに斬り上げる。

刃がゴブリンの体を捉えると、ゴブリンは血を流しながら地面に落ちた。

それと同時に、奥の方の茂みが先ほどよりも大きく揺れる。


「まだ来るみたいだな」


「マスター、アストも、倒したい」


俺が剣を構えると、そう言いながらアストが前に出てくる。

右腕を前に突き出している様子から、彼女はやる気満々のようだ。


『グギャグギャ!』


茂みから出てきたのは、3体のゴブリン。

やつらはアストのことを視界に捉えると、獲物だと言わんばかりに声を上げた。

そして棍棒を構えると、彼女に向かって走ってくる。


「《ダークバレット》、《ダークネスランス》、《ダークネスソード》」


彼女がそう唱えると、弾丸、槍、剣それぞれの形を闇が作り上げる。


「いけ」


その呟きと共に、彼女の元から魔法が放たれた。

弾丸は頭部を貫通し、槍が胸に突き刺さる。

そして剣が首を切り落とすと、ゴブリンどもは声すら上げられず絶命した。


彼女が瞬殺する様子を見ていた俺は、アスト、そしてこの世界に少し恐怖を感じた。

ゲーム内での彼女なら、こんな風に一方的に戦うことは不可能だったはずだ。

なんなら、善戦すら厳しかっただろう。


「ふぅ……マスター、終わったよ」


「……強いなアスト」


「でしょ」


彼女はそう言うと、自信満々に胸を張った。

まあ、強いに越したことはないし、アストも可愛いからよしとするか。


俺は握っていた剣を仕舞うと、反対の手でアストの頭を撫でる。


「ッ! アスト、一気にくるぞ。構えておけ」


何体もの何かが勢いよく迫ってくるのを感じ取った俺は、アストにそう伝えながら剣を再び抜いた。

次の瞬間現れたのは、10体ものゴブリンだった。

しかも全員が剣を持っており、その先をこちらに向けている。


「アスト、そっちに抜けたやつは頼んだぞ!」


俺はそう叫ぶと、剣を構えながら突撃した。

勢いよく剣を薙ぎ払うと、一気に2体のゴブリンの頭が宙を舞う。


「《アイシクルエッジ》!」


地面から急成長した氷柱が腹や足を貫通し、ゴブリンどもが絶叫する。

俺は今ので倒せなかったやつらに一瞬で近付くと、苦悶の表情を浮かべる頭を素早く切り落とした。


「あと5!」


俺がそう叫ぶと同時に、真横にいたゴブリンから突如として悲鳴が上がる。

そちらの方を見てみると、悲鳴を上げたやつの腹部を真っ黒な槍が貫いていた。


(アストの魔法か!)


俺は彼女の援護に感謝しながら、目の前に立っていたゴブリンの首に剣を突き刺す。


「《流星矢(シューティングスター)》!」


次の瞬間、白く輝く3本の矢が俺の真上を飛び、俺に迫っていた3体のゴブリンをそれぞれ撃ち抜いた。

俺は目の前に死体から剣を抜き取ると、血を落とすように剣をひと振りしてから鞘に戻す。


「ふぅ……アスト、援護ありがとな」


俺がそう言いながら振り向くと、彼女は玉座のような形をした闇に、脚を組んで座っていた。

あの魔法は助かったが、明らかに調子に乗っている。


俺はそんな様子のアストに近付くと、闇に魔力を無理やり流して崩壊させた。

唐突に座っていた椅子がなくなったアストは、驚いた様子で腰から地面に落ちる。


「……マスター、痛い」


「いや調子に乗りすぎだろ」


俺がそう返すと、彼女は不満げな雰囲気で立ち上がった。


「それじゃあ、先に進んでみるか」


そう言うと、彼女は不満げなまま俺の言葉にこくりと頷く。

俺は全ての死体を収納すると、2人で再び森の中を歩き出した。











「あれ? リーフさん。今日はどうされたんですか?」

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