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【第1章完結】異世界転移は禁魔書と!〜ゲーム内の能力そのままで転移したトッププレイヤーの俺、異世界を魔術で無双します〜  作者: sha-k_3
第1章・異世界転移は突然に

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第2話・Hello異世界

青々とした植物のような匂いを感じとり、俺は目を覚ました。

遠くからは、小鳥のさえずりが聞こえてくる。


「ふわぁ……なんか、すごい熟睡してた感じがする。にしても、無事にリスポーンできたっぽいな」


眩しさを感じながら目を開けてみれば、そこには大自然が広がっていた。

俺はゆっくりと立ち上がってから、地面に着いていた背中を手で払う。

上を見上げてみれば、生い茂った木々が天高く伸びており、葉っぱの隙間からは太陽が覗いていた。


「うーん、こんなマップあったか? 森林なんて、最初の方のエリアだけだったと思うけど」


俺は自身の装備に不足がないか確認すると、軽く辺りを見渡してみる。

見える範囲ではどこまでも森が続いているが、咲いている鮮やかな花々などは、見たことのないものだ。

頭の中で情報を整理していると、俺は違和感を覚えた。


(待て、植物の匂い……? そんなの感じたことあったか?)


「いや、やっぱり今までとは確実に違う。緊急アップデートか? でも、嗅覚の導入なんて大規模アップデートに決まってるよな……いやでも、だったら事前に情報公開がされてるはず……」


今日は不可解なことがよく起こる。

俺は違和感を思考の片隅に置いといて、とりあえず動き出そうとした。


「っよし。それじゃあ、軽く探索をしよ――」


『グギャギャッ!!!』


背後から突然、何体かの汚い鳴き声が聞こえてくる。

振り返ってみるとそこにいたのは、ボロボロの腰布だけを身につけた、肌が緑色で醜悪な顔をした小さい鬼のような魔物たち。

ファンタジーで定番のモンスターであるゴブリンが、俺の方を向いて木の棒を構えていた。


「久しぶりに見たなーゴブリン。やっぱりここ、初心者エリアっぽいな。まあゴブリン程度、5体なら余裕だ」


木の棒を掲げたゴブリンたちが、俺の方に走って襲いかかってくる。


「《アイスジャベリン》」


俺の後方に、鋭く尖った5本の氷の投げ槍が現れる。

それらが勢いよく飛んでいき、ゴブリンたちに突き刺さった。


「………………は?」


目の前の光景に俺は、酷く困惑した。


「これ、血……だよな。どういうことだ? これもアップデートか?」


(いや、それは無いな)


俺の魔法に貫かれたゴブリンの体からは、どくどくと真っ青な液体が垂れ流れていた。


『グ……グギャッ……』


致命傷を逃れた1体のゴブリンが、体に刺さった氷の槍を乱暴に抜いて投げ捨てる。

ゴブリンは俺を強く睨んでくると、再び襲いかかってきた。


俺は剣を鞘から抜くと1歩前に出て、すれ違いざまにゴブリンの首を切り落とす。

ゴトンッと頭が地面に落ちて転がり、ゴブリンの体は力を失いそのまま前に倒れた。


「ふぅ……」


振るって血を落とした剣を、俺はそっと鞘に差し戻した。


「GSOじゃ、首が落ちるなんて事は絶対になかった。それに、戦闘終了後のリザルト画面も出てこない。一体……どうなってるんだ?」


(……待て、まさか!?)


1つの可能性を思いついた俺は、剣を抜いてゆっくりと動かす。

剣身で左腕を小さく切り裂いた瞬間、鋭い痛みが走って俺は顔をしかめた。


「やっぱり、痛みがある……」


VRゲームにおいて、ゲーム内で痛みを感じる事は()()()()()

なぜなら、ゲーム内でプレイヤーに痛みを与える事は、VRゲーム黎明期の初期に法律で禁止されたからだ。


痛みを感じるのはバクだという可能性も否定できないが、だとしても他にも不可解な点がありすぎる。

ここから導き出せるのは、この場所がゲーム内では無いということ。


つまり、この世界は……


「異世界、ってことかぁ……マジかよ」


あまりにも衝撃的な違和感の答えに、絶句した俺は天を仰いだ。






少しして放心状態から復活した俺は、まず確認するべきことを考える。


「まずは、ゲーム内のアイテムが持ち込めているかどうかだよな。《亜空書庫(ライブラリ)》」


GSOの世界でアイテムボックスの立ち位置だった魔術、亜空書庫(ライブラリ)

いつもであれば、マス目で仕切られた画面が表示されるが……


「うん? ああ、なるほど。こうやって頭の中に出てくるのか」


目の前に表示されるはずの画面が、俺の頭の中にイメージとして浮かんでいた。

しかしながら、その中は空っぽである。


「これ、収納はどうやるんだ? 試しに()()を入れてみるか」


そう言って俺は、辺りに転がるゴブリンの死体に目を向けた。

自分が殺したとはいえ、そのグロさに不快感は拭えない。


俺が死体を収納するイメージを浮かべると、白色の魔術陣が死体の上に浮かび上がってそのまま吸収した。


「なるほど、イメージで発動出来るっぽいな。あと確認するべきは……」


(あ、そういえば。ステータスはまだ試してなかったな)


思いついた俺は「ステータスオープン」と声に出して唱える。

しかしステータス画面は出てこず、ただ読み上げただけとなった。


亜空書庫の段階で察していたはが、やはりゲーム内とは根本から変わっているようだ。


(うーん、他に確認出来る方法は……あ、そういえば、あの魔術があったな)


「《解析(アナライズ)》。お、成功したみたいだな」


この魔術は名前の通り、アイテムや魔物の性質を調べるものだ。

そして、承諾を得られれば人物の解析も出来る。


そこで俺が、この魔術を自分自身に使ってみた所、頭の中にステータスのようなものが浮かび上がってきた。


「ゲームの時と比べると、圧倒的にシンプルになってるな。にしてもこれ、名前が……それに年齢も……」


――――――――――――――――――――――――――――――

《解析結果》

名前:ベリル・エトワール 種族:人間

性別:男 年齢:18歳


――――――――――――――――――――――――――――――


ベリル・エトワールとは、GSOでの俺のプレイヤーネームだ。

俺はゲーム内では、上位12名のプレイヤーが名乗ることが出来る、『円卓の魔術師』の第4席を担当していた。

プレイヤーネームの苗字になっている『幾兆星(エトワール)』、これが俺の二つ名だ。


また、解析結果では年齢が18歳になっているが、俺の現実での年齢は25歳だった。

あくまで予想だが、ゲーム内アバターの体年齢に引っ張られているんだろう。


俺のアバターは肩より上くらい長さの黒髪をしていて、瞳の色は黄色に近い金色。

身長175センチの、中性的なイケメンである。

現実での俺は茶髪だが、先ほどから黒い前髪が視界に入っているので、今の俺は確実にアバターの姿をしているはずだ。


「これで最低限の確認は出来たな。よし、そろそろ移動してみるか」


そう決意した俺は、ひとまず方角を確認しようとする。


「うーん、太陽の位置的にまだ朝だな。えーと、あっちに沈んでいくから……こっちが西か」


上を見上げて太陽が昇る方角を確認すると、俺は人里を目指して西だろう方角に歩き出した。






「そういえば、日本語で通じるのかな。というか、そもそもこの世界に人が存在してないかも知れないし……ま、悲観するだけ無駄だな」


俺は最悪なパターンを想像していたが、面倒くさくなって頭の中から取っ払った。

もしもここが本当に異世界なら、何が起きてもおかしくないのだ。


そんなことを考えていると、少し先に見える茂みががさりと揺れた。

現れたのは、鋭い牙を口元から覗かせた全長1メートル程度の狼。


『グルルルルッ……』


狼は唸り声を上げながら、俺の方にジリジリと近づいて来る。


「こいつは、ウルフか。久々に見たなこの魔物も」


少しして、ウルフは痺れを切らしたのか勢いよく飛びかかってくる。

すぐに剣を抜くと、俺は流れるように刃を振るった。

ウルフは悲鳴も出せないまま、切られた首が地面に落ちる。


俺は剣をしまうと、亜空書庫にウルフの死体を収納した。


「ふぅ、討伐完了っと」


そんなことを呟いた次の瞬間、目の前からさらに4匹のウルフが走りながら現れて、素早く襲いかかってきた。


「ッ!? あっぶねぇな!」


勢いよく飛びかかってきたウルフを俺はすんでのところで躱す。

俺は急いで剣を抜き直すと、横から噛みつこうとしてきたやつの胴体を切り裂いた。


「ふっ!」


そのまま剣を持ち上げて振り向き、後ろから襲ってきたウルフに振り下ろして脳天から切断する。


「あと3匹か。それじゃあ、《天槍(ランス)》」


ウルフたちの頭上に金色の魔術陣が浮かび上がり、一瞬のうちに槍が降り注いでウルフたちを貫く。

この一撃で、ウルフたちは完全に絶命した。


「よし、これで全部か――」


『ワォォォォォオオン!!』


俺が一息吐こうとした瞬間、遠吠えが周囲に響き渡った。

それと共に、奥から大きな影がゆっくりと近付いてくる。


「なるほど、お前がさっきのやつらの頭ってとこか」


目の前現れたのは、さっきのウルフたちよりひと回り大きい、額から角を生やした狼だった。

一度低く唸った角付きウルフは、俺目掛けて突撃してくる。

俺が剣を薙ぎ払うと刃がやつの角を捉え、そのままスパッと切断した。


角を失ったウルフは、強い怒りを覚えたのか俺に勢いよく噛みついてくる。


「紅月流、紅炎」


突き出さた剣が大きく開かれたウルフの口に入り込み、そのまま脳を貫通した。

俺はウルフから剣を抜き取り、残っていた死体を回収する。


「この辺りの敵はそんなに強くないな。とりあえず、このまま進んでいくか」

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