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那由多の言葉にさえ

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

最初に浮かんだのは、この話。

鐘の音を聞いたのです。


大都会とは喧騒の街。そう思っては居ないだろうか?

当たり前だがそれだけじゃない。古書の香り漂う静かな街だってあるし、そこから一本路地を変えただけで、更なる静謐に変化する場所もある。まるで万華鏡の様に。

だから僕は都会の中でもこの街が一等好きさ。まぁ、他にも沢山あるけれど。

そうして新たな発想を得る為に、街をふらついていたら、軽やかな鐘の音が響き渡った。まるで異国にでも迷い込んだ様に。その鐘の音は数分に渡って響き渡った。ずっとずっと僕の耳に荘厳を与え続けた。

鐘の音が鳴り終わる。さぁ、目的地に向かって歩みを進めよう。そう思った時に目の前を走る女性と出会った。かなり慌てている様で、御髪がぐしゃりと乱れていた。

「やぁ、今日の音は丁度今、終わってしまったよ」

「そう。私の敗因は欲張った事ね」

知り合いはそう言って、僅かに口角をあげた。

「ハンバーガーのLLサイズを頼んだのは良かったのだけど、お茶までLサイズにする必要はなかったわね。残念だわ。ショックだわ。悲し過ぎるわ。今日は此処にご縁が無いみたい」

「そもそもまだ見学時間ではないだろう」

午後の数時間に一般解放され、多くの人々に安らぎを与えるこの場所。午前の今には早すぎる。

しかし彼女はそんな事は知っていると言うように、身を翻した。

「えぇ。知ってる。だから別の場所へ行くのよ。丁度話がしたいと思っていたのよ。夜の貴族」


彼女の神聖な場所に対する執着は寧ろ強まった様で、ステンドグラスが有名な教会を訪れる事にしたらしい。ビスケットで作った家のような外観が美しくも愛らしい場所。場所は知っている。

そして歩くまでの間、彼女はすれ違う人々をさり気なく観察していた。フリルが着いたロリータの淑女、甘いインキの漂う本を持った書生姿の紳士。どれも空気に溶けて、馴染んでいる。

「都会って偉大だよね。書生服を纏ってる人、君だけかと思ってたけど、そんな事はなかった。全然珍しい事じゃない。悩んでヤケ食いして損したよ」

「悩みの根源はそれ? またリアルを求めているの?」

彼女は僕と同業。執筆を好む生き物、つまり作家である。そして理由は――。

「えぇ。人に感情移入させるには、リアルに添わせるのが手っ取り早いもの」

まぁ、これである。空想に空想を重ね過ぎると、感情移入の余地が無くなると思っているらしい。きっと黙らせたいのだ。『そんなものはない』という輩を。

そうこうしているうちに教会に着いた。閑静な街中に突如現れた、建造物。

彼女は颯爽と門を潜ると、礼拝堂の中に入っていった。僕も後に続く。

一歩踏み入れれば色硝子から差し込む幻想的な光景が広がっている。溜め息が出る程、息を飲む程、つまり生態に直接影響を及ぼす程に、この光景は美しい。

彼女は中盤の長椅子にちょこんと腰掛けると、その飴細工の光に酔いしれ、感嘆する。

「本当にお美しい……。さっきまでの悩みなんて、全て塵に帰してしまうほど」

「どっかのお国では、地下鉄に芸術品を全て収容したと聞きた事がある。何か災害が起きた時に、人は安全な地下へと逃げ込む。その時に癒しになる様にと」

教会の中ではどんなに小さな声でも容易く木霊する。故、今の僕達の会話も静かに反響を繰り返す。気を遣わなければならない。例え信者がこの場に居なくとも。

「……大切な事だわ。聖書の那由多(なゆた)の御言葉だって人を救う事は可能だけれど、この光景はそれにさえ勝る……」

そりゃそうさ。聖書の言葉を絵にしたのが教会のステンドグラスなのだから。数多の言葉をただ一枚の硝子に纏めたものがそれなのだから。

……この場所は僕のようなはぐれ者でも受け入れて下さるだろうか? お赦しになられるだろうか?

書生の彼奴がどう考えても好きな街です。

私も好きです。勿論、他にも好きなところはありますが。


締切という言葉が苦手なので、絶対に作家にはなれないと思ってます。

※でも締切がないと弛むので、嫌ってはいけない( ˙-˙ )


明日が来るのが怖いし、終わるかどうかも分からないし、不甲斐なさに罪悪感が凄いし、幸せな毎日が続くとも限らないし。

という湿度の高い状態で、『あ゛ー……』と、内心○○○ハザードのゾンビみたいに叫んでました。


だから消し飛ばしに行きました。

良いも悪いも全て忘れて何もかも。


誰かに愚痴りたくなるのも分かります。

過食に逃げたくなるのも分かります。

でも綺麗なもので塵に帰すのが一番安全だと気が付きました。

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