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久澄村エルフ奇譚   作者: 小町 翔平
7/39

寛治、いいことだけじゃなくて。

久澄村エルフ奇譚、読んでくださってありがとうございます。

私が投稿するのを楽しみにしてくださっている方、ありがとうございます。

タイトルに興味を惹かれて見たけど、つまらんと思われた方、

もっと精進します。でも、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。


では、どうぞ。


 翌日から、おらは早起きをして神社にお参りに行き、学校から帰ってきたらしろへび様の話をするという日が続いた。

 おらの話を聞きに来る人は日に日に増えていった。

 お菓子やお金を置いていく人も、その金額も、増えた。

 おらは同じ話を何回もしたので、気がつくと、そんなに得意ではなかった人前で話すことも、上手くなっていた。


 その人たちはおらが帰ってくる前か、おらの話を聞いた後に神社に拝みに行ったので、神主さんも嬉しそうだった。

 週に一回ある豊穣祭りのための踊りの授業では、より一層力が入って、なんだか上手くなったような気がした。

 先生(神主さん)も褒めてくれたし、級友も、


「なんか上手くなったっぺよ」


 とおらに自信をつけてくれた。

 面白くなさそうにしている三人も、いるにはいたのだけど。


「ねえ、寛治君。あれからしろへび様には、会った?」

 踊りの授業が終わったときのことだった。

「うんにゃあ、会ってねえだ」

 おらは正直に答えただ。

「しろへび様には、私なんて一度も会ったこともないんだよ。もう三十年も神主をやっているのに。だから寛治君は、たとえ一度だけだったとしても、会えたことはすごいことなんだよ」

 神主さんは優しく諭した。

「ねえ、神主さん。おら、もう一回、いや、何回でも会いたいだ。どうしたらいいだ?」

「しろへび様に会う方法げ。私もそれを知ってたら、毎日でも会うのになあ」


 みんな笑っただ。

 思えば、神主さんはいつも微笑みを絶やさない人だ。

 もちろん、神主さんとしての仕事のときや、踊りの稽古に熱が入っているときは真剣な顔をするけど。だからみんな、おらたち子どもだけでなく、大人たちからも信頼されて、相談だなんだと一目置かれる存在なのだ。


「しろへび様も、また逢えるかって訊いたら、可能性は低いって、言っただ。それでもおらは逢いに行くんだ、久澄神社に」

「もう一ヵ月を超えるね。寛治君が、朝、お参りに来るの」

「神主さん、知ってたのげ」

「うん」

 とだけ答えた。


 おらは驚いたのと、なんだか恥ずかしかったのとで、下を向いた。

 視線を感じて顔を上げると、みんながおらのことを見ていたので、余計に恥ずかしくなった。

 

 神主さんが職員室に引っこんで、おらたちは教室に戻って、銘々話をしていた。

 とても賑やかで、至って平和だ。

 決して目立つほうではなかったおらだけど、あれ以来新しい友達もできて、おらも教室を賑やかにしていた。


「でもかんちゃん、毎日神社に行ってたんだな」


 声がぴたりとやんで、注目が集まっているのがわかった。


「うん。でもしろへび様には会えてねえんだ。でも、神主さんだって会ったことねえんだから、そう簡単には会えなくて当然だっペ」

「ねえ、またしろへび様に会ったときの話してくんちぇ」

「いいよ」


 そう請け合って、おらは話そうとした。

 すると、


「ううん」


 と聞こえよがしに咳払いをした人がいた。

 三津男君だ。

 でもおらは話そうとした。

 すると二度目の咳払いが聞こえた。

 三津男君の隣にいる剛君と大吉君が嗤っていた。


「何?」

 おらは訊いた。

「別に。何でもねえよ」

 三津男君が言った。

 だからおらは話し出した。

 すると、


「ううん」


 と三度目の咳払いだ。

 これはもう、嫌味以外の何物でもない。

 おらは三津男君を見た。


「何だよ。ただ咳払いしただけだっペ。何か文句でもあんのか。なに人の顔じろじろ見てんだよ」


一躍人気者になった寛治。

でも、いいことばかり続かないのが人生。

さあ、寛治、どうする?

楽しみにしていただけたら嬉しいです。


では、また。

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