ある男、酒場にて。
おはようございます。
今日は二話投稿します。
よろしくです。
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面白くねえ。
男は深酒をしていた。
面白くねえ。
一見、人がよさそうに見えて、そして実際に人当たりをよくするように努めているおかげで、この男の
本性を知る人間はいない。
正確には、生きている人間の中には、だが。
ぐいっと飲んで、ふうと息を吐いた。
傍から見たら何かに思い悩んでいるように見える男の腹の中は、どす黒い感情が渦巻いていた。
面白くねえ。
男が財布の中身を勘定して、もう一杯飲もうかどうかと思案していると、隣に若くにも壮年にも見える、左目の下に泣き黒子のある男が座った。
「もし失礼でなければ、私に一杯、奢らせてください」
男は怪訝に思った。
酒のせいで知り合いであることに気がついていないのか?
と泣き黒子の男の顔をまじまじと見た。
泣き黒子の男は微笑んで返した。
こんな男を俺は知らない、気持ちの悪い男だ、と申し出を無視して店を出ようと、椅子から立とうとした。
「あなたの心にある不平不満は、お酒では癒されませんからねえ」
男は固まった。
泣き黒子の男はやっぱり微笑んでいた。
「わかります。私には、わかるんです。あなたのような人を、何人も見てきましたから」
まあ、一杯、どうですか? そう差し出された酒を、男は受け取った。
いつの世の中にも、自分が間違ってるのを
棚に上げる人はいるものです。
そんな人の話でしたが、みなさんはどう思われましたか?
続きも、すぐに投稿するつもりです。
読んでいただけたら嬉しいです。
では、また。