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人前で話せない陰キャな僕がVチューバーを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件  作者: 中島健一


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第43話 班決め

~織原朔真視点~


 林間学校の班決めが行われる時間となった。担任の鐘巻先生がプリントを最前列の席にいる生徒達に渡した。


「前から順に回してくれ」


 プリントを受け取った生徒達は後ろの席の者達に残りのプリントを渡していく。そのプリントを受け取った生徒達は波が立つように、前から順に色めき立つ。僕の席は一番後ろだ。その波に最も乗り遅れる僕だが、教室内のクラスメイトとは全く違う緊張のようなモノを催した。


 この班決めが作戦当日にかなりの影響を及ぼすこととなるだろう。


 プリントにはその日の日程が記されていた。


 大会が始まるのは20時。プリントによると17時に入浴、18時30分には食事、後は就寝の22時まで自由時間。つまり食事を終えた後、僕のことを深く詮索しない者達と同じ班になれば良い。


 それは一ノ瀬さんも同じだ。しかし彼女の場合、就寝時間までの間、生徒会の会議があると嘘をつけば誰にも怪しまれない。


 ──僕は、残り者と組むのが一番かな?


「しおりはまた後日渡す。取り敢えず日程表と宿泊施設の案内図、まぁパンフレットだな。各自適当に見てくれ。じゃ今から班決めすっから、好きな奴と組め」


 その言葉に、殆どの男女が席を立った。


 四人1組の班が徐々に決まっていく。いつも仲の良い2人組でいる者達は同じく2人組を組んでいる者達と合わさって1班を形成したり、3人組でいる人達はそれぞれ余っている者の中で大人しそうな人を誘ったりと様々だ。気の毒なのは5人組で行動をしている者達だ。彼等はこれからその5人組で行われるジャンケンに全てを賭けていた。


「余った奴はいるか?」


 僕は手を挙げる。僕含めて3人の男子生徒が手を挙げた。


 ──女子はボッチがいないのか?


 そしていましがたジャンケンをしていた5人組の所から叫び声が聞こえる。


「うるさ……」


 僕の隣にいる音咲さんグループに属するギャルがそう呟いた。


 おそらく勝負に決着がついたのだろ。ジャンケンに負けた1人の男子がしぶしぶ手を挙げた。


「悪いなこの部屋、4人用なんだ」

「頑張れー」


 ジャンケンに勝った生徒達が負けた者を煽る。


「うるせぇ!」


 ジャンケンに負けた男子生徒がつっこんだ。


「じゃ、その4人が最後の班な、後で班員の名前ぐらい覚えとけよ」


 僕は自分の班となった者達を眺めた。ジャンケンに負けた彼はきっとあの班のところに入り浸ることになるだろうから心配ない。後の2人も我関せずといったスタンスを今までの学校生活で貫いている。


 ──取り敢えず一安心、かな?


 鐘巻先生は進行を続けていく。


「んで、さっき配ったパンフレットにあるように。そこはレジャー施設になっていて、利用できる施設がかなり豊富だ。サッカーに野球、バスケにテニス、バレーボールの他にゴルフやアーチェリー、アスレチック、ボーリングに釣りなんてのもある」


 クラスメイト達は、パンフレットを眺めながら歓声を上げていた。


「これらの施設を利用するのは基本的に自由だ。それにさっき決めた班で行動しなくても良い。好きな奴らと適当に遊んでくれ。てことで、今話し合って当日何をするのか決めてくれぇ」


 クラスメイト達は、鐘巻先生の言葉を聞き終えると一斉に立ち上がり音咲さんの席に突進してきた。


「音咲さんは何するかもう決まったの?」

「俺とサッカーやろうよ!」

「決まってなかったら一緒に……」


 彼女に群がる生徒達の勢いに負けた僕は自分の席を離れて、遠目からそれを眺めた。


 すると、肩をチョンと触れられ、声をかけられる。


「…あ、あのね、織原くん……」


 一ノ瀬さんだった。


 泳ぐ視線を僕に固定し直した一ノ瀬さんは言った。


「…わ、私と一緒に周らない?」


 思ってもみない言葉に僕は息を飲んだ。俗にいう絶句とはこのことだろう。


「い…ぇ!?」


 急激に顔に熱を帯びる。


 ──そ、それって僕と一緒に周りたいってこと!?え?


 僕の動揺に彼女は何かを察して、取り繕うように、そして不安定なモノを支えるように両手をぎこちなく広げながら言った。


「え、えっと違うの!大会に向けて色々話し合いができるようにしといた方が良いと思って!!」


 何が違うのか、僕の心を彼女が読んでいないことを願いながら僕は言った。


「そ、そうだよね!一緒にいた方が不測の事態に対処できるもんね!!」

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