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15話「精霊と魔法使いに溺愛され、お姫様生活!?」




――エラ視点――




夢を見ました。


ルドルフ様、ウォルフガン様、ソルシエール様が成人され、麗しいお姿で私の前に現れたのです。


その麗しいお姿が彼らが人間のときの本当の姿で、愛らしいお子様の姿は仮の姿だったようです。


私は今まで彼らのお姉さん代わり、もしくはお母さん代わりだと思っていました。


なのに不覚にも、成長した彼らの姿にときめいてしまいました。











破廉恥な夢を見てしまいました。


私がこんな夢を見たことを、三人が知ったら、きっと幻滅するでしょう。


目が覚めるとそこはいつもの部屋ではなかった。


ソルシエール様が魔法で作り出してくれたのかしら?


まるで宮殿のように豪華なお部屋です。


屋根裏部屋が宮殿に見えるように魔法をかけてくださった時も驚愕ましたが、

今私のいる部屋は、あのときのお部屋よりもさらに美しく洗練されたデザインの部屋で、驚嘆しました。


「おはようエラ」

「ゆっくり眠れたかな?」

「新居での寝心地はどう?」


扉が開き、ルドルフ様とウォルフガン様とソルシエール様がお部屋に入ってきました。


三人とも、夢で見たのと同じ見目麗しい青年の姿をしていました。


「ルドルフ様、ウォルフガン様、ソルシエール様、そのお姿は……?!」


「あれ?

 まだこの姿にはなれてない?」


ルドルフ様が可愛らしい仕草で小首をかしげる。


「では、皆様が急に成長されたのは……夢ではなく」


「現実だ」


ウォルフガン様がおっしゃった。


「まだ混乱してるようだね。

 着替えてご飯を食べよう。

 温かいお茶でも飲んだらきっと気持ちも落ち着くよ。

 エラのために、とっておきのハーブティーを淹れるね」


ソルシエール様が爽やかにほほ笑まれた。


ソルシエール様が杖を振るうと、私の来ていた粗末なワンピースがレモンイエローのドレスに変わった。


ドレスの袖と襟の部分に青の刺繍が入っている。


「そのドレスはボクからのプレゼントだよ。 そのドレスにはこのアクセサリーが似合うかな」


ソルシエール様が大きなブルーダイヤモンドのついたネックレスを、私の首に付けてくださった。


「ボクからのプレゼント、気に入ってくれたかな?」


ソルシエール様が私の前に跪き、私の手を取り、手の甲に口づけを落とした。


「ずるいぞソルシエール!

 自分の髪の色のドレスと瞳の色のアクセサリーをエラに送るなんて!」


「抜け駆けするとは姑息な!」


ルドルフ様とウォルフガン様が眉をつり上げる。


二人から怒りを向けられても、ソルシエール様はどこ吹く風だ。


「君たちがぼんやりしてるからだよ」


ソルシエール様はルドルフ様とウォルフガン様を見て、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。


「明日は僕がエラにドレスとアクセサリーを送るね。

 僕の瞳の色のドレスと翡翠のネックレスとイヤリングを身につけてね」


ソルシエール様をおしのけてやってきたルドルフ様が、私の手を握る。


「エラに緑は似合わない。

 エラ、高貴な顔立ちの君には紫が似合う。

 私の瞳の色と同じロイヤルパープルのドレスを身にまとい、アメジストのアクセサリーを身につけてくれ」


ウォルフガン様が私の瞳を真っ直ぐに見つめ、私の手の甲にキスをした。


「エラには紫こそ似合わないと思うけどな」


「やるか、ぶりっ子ネズミ!」


「表に出ろ! 変態竜!」


ルドルフ様とウォルフガン様が、私を間に挟み睨み合っている。


「二人とも喧嘩は……」


私が二人の仲裁に入ろうとしたとき。


「あの二人のことはほっときなよ。

 それよりも、ボクと一緒にリビングでお茶を飲もう。

 美味しいお菓子もあるんだ」


いつのまにか私は、ソルシエール様にお姫様抱っこされていた。


これもソルシエール様の魔法の力でしょうか?


「「ソルシエール! 抜け駆けするな!」」


ルドルフ様とウォルフガン様によって、ソルシエール様にお姫様抱っこされていた私は床に下ろされた。


「エラ、美味しいアップルティーがあるんだ。

 僕と一緒に飲もう」


これはルドルフ様。


「帝国まで行って買ってきた、帝都で流行りのチーズケーキがある。

 私と一緒に食そう」


これはウォルフガン様。


「残念でした。

 エラはボクの用意したハーブティーと一緒に、カヌレを食べるんだよ」


そしてこれはソルシエール様。


三人の間にピリピリした空気が漂っています。


このままでは喧嘩になってしまいそうです。


「あの、全部いただきますから」


「そっかよかった」


ルドルフ様が安堵の笑みを浮かべる。


「エラは優しいな」


ウォルフガン様がはにかむ。


「エラ、無理しなくていいからね」


ソルシエール様が優しくほほ笑みかけてくる。


「ソルシエール様お気遣いありがとうございます。

 私は大丈夫です」


四人でリビングに行き、ブランチをいただきました。


ルドルフ様の淹れてくださったアップルティーと、ウォルフガン様が用意してくださったチーズケーキと、ソルシエール様が淹れてくださったハーブティーとカヌレをお忙しくいただきました。


お腹いっぱいです。


昨日伯爵家で何があって私はここにいるのか、三人にお尋ねしたいのですが。


ルドルフ様とウォルフガン様とソルシエール様は、昼に何を食べるかで揉めだしてしまいました。 


お昼の時間になりダイニングに行くと、美味しそうな料理が所狭しと並んでいました。


ルドルフ様は真鯛のカルパッチョ、ウォルフガン様は子羊のソテー、ソルシエール様は外国の珍しいお料理を用意してくださいました。


先程チーズケーキとカヌレをいただいたばかりなので、お腹いっぱいなのですが……。


それにしても魔法って便利ですね。


一瞬で食事の用意も片付けも終わってしまうなんて。


私も魔法が使えたら、伯爵家で苦労することはありませんでした。


そうでした。昨日実家で何が起こったのか、今度こそ確認しなくては!


「あの……」


「エラは何が食べたい?」


ルドルフ様が無邪気な笑顔で尋ねてきます。


ウォルフガン様、ソルシエール様が何かを期待するような目で、こちらをじっと見ています。


完全に質問するタイミングを逃しました。


どうしましょう?


どなたかお一人が用意した物を食べたら、他のお二人をがっかりさせてしまいます。 


だからといって全員が用意したものを食べるのは辛いです。


無理して全員が用意した物を食べていたら、ぷくぷくに太ってしまいます。





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