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突風のような

 どうしてこの人はここまで凄い人なのだろう。

 彼は全てを破壊する。

 心も、思考も、しがらみも。

 そうして人々を昇華させるのだ。


 僕は彼に壊されて、そしてその上で希望を貰ったのだ。


 今世をきちんと生き抜けば来世は違う人生がある。


 でもそこで僕は笑った。

 かなり情けない笑い方で。

 そんな僕に、良純和尚は気を悪くしてしまった。

 せっかく与えた素晴らしい言葉が僕には何の意味も持たないと、僕に一笑に付されたと考えたのだろう。


「なんだよ。」


「だって、僕はどうしょうもないです。僕は来世も同じ人生で、かわちゃんや髙さんがいて、淳平君に愛されて、それで、それで、良純さんの子供になりたい。良純さんのいない人生なんて僕は欲しくないです。」


 半泣きでした告白に、良純和尚は凄く良い声でハハハっと高笑いをしただけだった。


「笑うなんて酷いです。僕はいらないですか!」


「ハハハ、安心しろ。お前はまるっきり違う人生を送れるほど今世の一回限りで上手くできないからよ。また来世もぐずぐずして俺の子供だ。」


 僕は立ち上がると良純和尚の懐に飛び込んだ。

 良純和尚は僕を抱き返してくれた。


「ありがとうございます。」


 それで、僕はこの温かい腕の中で、ぐずぐずと泣き続けた。

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