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「左近、二千を引き連れ、前に移動せよ」

 関ケ原の再現のような話を投稿していけたらと思ってますが、慣れない戦闘シーンになると書くのが遅くなるかもしれません。


 徳川と伊達が同盟を結び、戦の準備をしているという情報は、幸村の手の者からもたらされた。

「やはり来るか」

「はい」 

「佐助が持ってまいりました」

「佐助……、よし、通せ」

「はっ」

 江戸からの情報は得た者から直接聞きたいと幸村に言ってあった。

 佐助は懐より取り出した書き物をおれに差し出す。


 徳川家康  

 徳川秀忠 

 本多忠勝   

 松平忠吉  

 井伊直政  

 山内一豊  

 細川忠興  

 伊達政宗 


「戦の準備をしている大名たちは、このような顔ぶれとなっており、この他にも何名かいるようです」

「動員された兵はどの位か分かるのか?」

「詳細は分かりませんが、運び込まれた兵糧から、十五万ほどになるかと」

「なるほど」

「ただ……」

「ん?」

「家康殿、秀忠殿、政宗殿にそうとう厚い兵の増員となっていると思われます」

「分かった。ご苦労であった。下がるがよい」

「はい」

「あ、……えっと、それから」

「…………」

 佐助がおれの顔をじっと見ている。

「あの、いや、いいんだ」

「…………」

「下がっていいぞ」

「はい」

 退室して行く佐助の後姿をずっと見送っていたのだが、背後にふと感じた人の気配。

 おれが振り返るとーー

「うわ!」

「は?」

「幸村、そなたいつの間にまいったのだ?」

「なにをおっしゃる。私は最初からここにおります」

「え、あ、そうだったか」

「…………」

 おれはことさらに平静を装い、佐助から受け取った書き物を幸村に渡す。

「豊臣側の大名達にはすぐ書簡を送ろう」

「すでにこのように準備いたしております」

 幸村は用意してある目録をおれの前に差し出した。

「わが方の軍はこのようになるかと。浜松など遠州の諸城にも増員を促せばと存じます」

「うん、三成や利家殿にはまた大阪の留守居をお願いするのだな」

「そのようにすればよろしいかと」

「うん、そうしよう」


 豊臣秀矩  六八〇〇〇。

(島左近、浅野長政、加藤嘉明、脇坂安治、浅野幸長、毛利勝永)

 真田幸村  一八〇〇〇。

 後藤又兵衛  三八〇〇。

 小西行長   六〇〇〇。

 宇喜多秀家 二二〇〇〇。

(明石全登)

 大谷吉継    三六〇〇。

 加藤清正    六〇〇〇。

 黒田長政    七〇〇〇。

 長曾我部盛親  八六〇〇。

 島津義弘    一六〇〇。

 福島正則    七〇〇〇。浜松城主

 増田長盛    四〇〇〇。掛川城主

 池田輝政    五〇〇〇。駿府城主

 総数    一六〇六〇〇。


「徳川方が情報通りの十五万なら、ほぼガチの戦になるな」

「がち……?」

「幸村」

「はっ」

「すぐ訓練を始めるそ」

「…………」

 幸村はじっとおれの顔を見ている。

「主力が七万近い兵ともなると、効率的に動かさなければ烏合の衆となる」

「…………」

「千単位の兵が何単位でも自由に行動出来るよう訓練をするのだ」

「分かりました」

 幸村はおれの意図するところをすぐ理解し、実行した。

 千単位の兵はさらにいくつかの分隊に別れさせて、それぞれに頭を置く。

 島左近、浅野長政、加藤嘉明、脇坂安治、浅野幸長、毛利勝永らに命じて移動・集合を繰り返す訓練だ。

「左近、二千を引き連れ、前に移動せよ」

「はっ!」

「長政」

「これに」

「三千を左近の背後に付けろ」

「かしこまりました」

「幸長」

「はっ!」

「おぬしは千を率いて敵の側面を迂回して待機だ、戦闘の始まりを合図に討って出ろ!」

「分かりました」

 こういった訓練を毎日繰り返させた。


 関ケ原は東西南北とも、約二キロの山地に挟まれた盆地で、古来より交通の要衝であったが、遠州ならどこでもその数倍広く平らな戦場が確保できる。問題は天竜川と大井川のどちら側を選ぶかだ。

 おれはまた地図を見つめた。いつも見ていた精密な物とは違い、所々違和感もある。だが今はこれに慣れるしかない。





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