琥珀色の街
ふとシェリー酒が飲みたくなった
坂の上の雑居ビル6階
小さなフロア唯一の窓
海へと向かう一本の大きな道が
信号や街頭の灯りに沿ってスラリと伸びる
グラスと窓を重ねる
グラスの中の密な琥珀の中に
街の灯りが宝石の様に散らばる
ラジオは歌う
”いつまでも眠ろう”
味は干し葡萄の甘み
香りが強く口の中でふわりと残り続ける
薄暗い店に甘い香りが微かに広がり
音楽は歌う
”何度でも生きよう”
潤んだ視界で見た窓は
シェリーを透かして見た時の様に
揺れて輝きを増していた
静かに歌う
”いつか再び巡り会える日まで”