キック
明るい。
すずめの鳴き声が聞こえる。
ヂュン ヂュンヂュン
少ししゃがれた声だ、面白いな。
薄目だった目を開いて天井を見つめる、閉まっているカーテンからは光が差し込み、少しだけ部屋が明るい。
「良い朝だ」
口を開けたまま寝ていたのだろうか、口の中がべたべたして気持ち悪い。
口をゆすごう、そう思い肩まで被っていた布団から抜け出そうとする。
重い、何かが布団の上に乗っているようだ。
自分は何かが乗っている布団の上を見るために少しだけ上半身を起こす。
「何だ、アランか」
「おはよう、明希」
朝の挨拶をしてくるのは茶色い毛玉。
ではなく飼い猫のアランだった
黄色い目がこちらを見つめる、アランはじっとこちらを見つめた後目が覚めたのか、起き上がり伸びをして、布団で爪を研ぎ始めた。
「こらアラン、布団は駄目だって言ってるだろ爪研ぎがあるんだからそっちでやってくれ」
と慌ててアランに注意する。
「明希はケチね、だからモテないのよ」
「うるせぇ」
余計なお世話だ。
アランは愚痴をこぼしながらベッドから飛び降りる。
タンッと良い音を奏でながら着地して、その場で座り毛繕いを始める。
自分もベッドから起き上がり布団をたたみ伸びをする。
カーテンを開けていなかった事に気がつきカーテンを開ける。
緑色の肌触りの良いカーテンだ、一様アランには『フハハハハハハハ、このカーテンに手を出せば晩御飯がお前の嫌いな豆スープになるぞ』と、どこぞの蝋人形の人ばりの声で脅しておいた。
その場ではアランに鼻で笑われたが、今のところカーテンで爪を研がれた痕跡は無いので効果はあったのだろう。多分、きっと。
カーテンを開けると光が差し込み、薄暗かった部屋全体が明るくなる。アランは顔をしかめてながら
「明希、眩しい、カーテン、閉めて」
とかたことで言ってきた。
当然だが、無視した。
アランは無視された事が気にくわないのか、ベッドから後頭部めがけてジャンプアタックを食らわせてくる。
これも無視。
再度ジャンプアタックを仕掛けるが回避される。
「ちっ」
アランは舌打ちをする。
よし決めた、煽ろう。
自分はアランを煽ることにした。
「残念だったな、アラン。お前の攻撃はすでに見切っている、お前の攻撃などかすりもせぬわ!」
と自分は悪の大魔王並みに使い古されたであろう台詞で格好つける。ポーズは足を肩幅まで開き右手を前に出しアランを指さし、左手は腰を掴む。
「どうせ、鏡でしょ」
あれー?バレてた?
そう、自分はアランの攻撃を部屋のドアにあるガラスの反射で見ていたのだ。とアニメっぽく脳内で解説をつけてみる。
「やるな、アラン」
「そういうのいいから」
あっさり流されてしまった。
アランはまた毛繕いを始める、自分はシャワーを浴びようとバスタオルをタンスから出す。
確か、三段目か四段目だったはずだ。
と三段目のつまみを掴み引く。
中にあるのは、女物のパンツとブラジャーだった。
違うか、じゃあ四段目?
出てきたのはふかふかのバスタオルだ。
自分はその中の白いバスタオルを手に取りシャワールームの扉に向かう。
「なあ、明希」
「なんでしょう、アラン様」
と先ほどまで低い位置から聞こえたアランの声が自分と同じくらいの高さから聞こえるようになるその声は少し高く、怒っているようだった。
「今、しれっと私の下着の入ってる所開けたよな」
「何の事でしょう?」
間違えただけでこれだ、もう、アランは下着を見られるのが恥ずかしい子なのね?
脳内でオネェ口調で一人言を言ってから両腕を上に上げ、ゆっくり右回転でアランのいる後を向く
「いつもそうだよな、おい明希」
そこにいたのは茶髪の女性で裸だった。身長は170㎝自分より3㎝低い。
痩せすぎてはいなく筋肉質な腹筋はとても健康的。
胸はDらしく女性の中では大きい方のようだ、自分は胸の大きさは正直どうでも良いが。
なんて事を3秒で解説をつけると
彼女の右足の裏が視界いっぱいに広がる。
びっくりして目を瞑ったあと鼻に激痛が走る、バランスを崩しよろめき尻餅をつく。
視界に星が見える中、彼女は言った
「そこに、正座しろ」
笑顔で
拝啓、大親友の太一様
お元気ですか?こちらはもうすぐ春です。桜の木も新芽が見え始め、今にも咲きそうな今日このごろ、私は今、猫になれる獣人の女性と付き合っています。正直キツい助けて太一!
アランに一時間程叱られたあと自分はそんな手紙を書いているのであった。




