表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんにちはスターリン先生  作者: にとーへん
2/3

曰く、2+2=5らしいです。

 1限目の授業は数学だ。

 数学は得意だった。

 詰将棋はパズルに似ていると言われることがある。棋士の中にも、数学愛好家は少なからずいるようだった。

 数学は美しい。

 それは世界共通の言語であり真理だと思う。

 数学の崩壊は、科学の崩壊を意味する。すなわち、現代社会の破滅と同義だ。

 1+1=2であり、直角三角形の斜辺の2乗は、他の2辺の2乗の和に等しい。

 これらは覆ることのない、絶対的な正義だった。

「やあ、同士諸君」

 当然といえば当然なのだが、シベリアまで旅行に行ったという教師は数学担当だったので、その穴埋め役の教師も同様にして数学担当に決まっていた。

 そんな彼は非常勤講師らしい。

 はて、果たして非常勤講師は、クラス担任になることができたのだろうか? そんな疑問が心の中に浮かんだが、あまり深く詮索すると、なんとなく私までシベリア旅行に行くことになりそうな気がしたので、口には決して出さなかった。

「佐藤先生に代わり、私が教鞭をとることとなった。よろしく」

 挨拶も手短に、早速、授業が始めった。

 やや高揚とした気分で授業を聞いてわずか1分。

 私はすぐに仰天することとなった。比喩などではなく、本当に天地がひっくり返ったかと思った。

 なぜなら、この教師は「2+2=5」などと、黒板に書いたのだ。

「先生―! 間違ってますよー!」

 早々と、いじめグループ随一のお調子者が、片手を上げながら陽気な声でそう指摘した。

「しょ、小学生以下かよwww」

 すると、その横に座る、もう一人のいじめ加害者がくすくすと笑いだした。

 下品な笑い方だった。

 噂によると、彼と彼女は、恋人同士の関係にあるらしい。

 ホント、どーでもよかった。

「そうか。私の書いた数式は間違っているのか……」

 生徒に笑われているその教師は、顎に手を当てて神妙な表情だった。

 そして、しばらくしてから、彼は尋ねた。

「君たちは、本当に私が間違っていると思うのかね?」

「はい! 間違ってますよ!」

「とーぜんでしょwww」

 彼らは同時に頷いた。

「なるほど。シベリア送りだ」

 教師は眉一つ動かさずに言った。

「現代の若者の学力は、これほどまでに酷いのか。再教育の必要があるな」


radioheadの曲に「2+2=5」ていう曲があって、面白いタイトルだなーて思って、いろいろと調べてた時期がわたしにもありました。それで中学生の頃、ジョージオーウェルの1984とか読んでました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ