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末日の男〔ノンフィクション〕

 今日は週末、更に月末


無料電話アプリの着信音がする。


もう、その手には乗らないよ私は驚かない。


末日の、君からの電話にはそろそろ慣れなくてはね。



いつもいつも忙しい末日に問題を運んでくる君。


怒ってはいけない

だって、私は大人なのだから……。



年末二十八日の引っ越し

タイミングワルスギデショ


終電で熟睡して小田原!どうしよう?

ドウシヨウモナイ、ワタシハ茨城ダ


電車の中に置き忘れたバッグ

ミツカラナカッタ


テレビ局を家に呼んだ

アポヲトリナサイ


   ……全て末日……



仕方がない電話に出よう「もしもし」どうだね、落ち着いているだろう?


だって、私は大人なのだから……。



「あ、お願いがあるんだけど…………たい…………お金………カード…………ダメ

五万…………プッツン」


 切れた……。電波が悪いのか、かけ直したが繋がらない。


名探偵が推理をしようではないか。


『たい』は鯛かね?カードが使えないんだね?ふむふむ、五万必要なのかい?


学生のブンザイで高級な鯛を食するんだね。

養殖が盛んな昨今、天然の鯛なのだね?いやいや、天然でも養殖の倍しかしないよ君!

すると何かい?金目鯛かね……?

それにしても、お高いではないか。

はたまた幻の鯛で時価ってやつなのかい?



仕方がないね、送金してあげようではないか

ヘソクリがあるのだよ


だって、私は大人なのだから……。



深夜、末日の男から再び着信だ。


「ごめんごめん、電波が悪くってさ電話かけらんなかった。

俺、今一人でタイに来てるんだけど、五万しか現金持ってきてなくって、キャッシングしようと思ってカードを突っ込んだんだけど反応しなくってさ、

一ヶ月滞在するんだけど、金、返すから送金してくれない?必ず返すからさー」



 鯛はタイランドだった。



「なるほど、サイン一つで国外へ送金受け取りが出来るシステムがあるのだね?」


り、了解したよ

だ、だって、私は大人なのだから……。



「ところで……母さん、お土産、何がいい?」


「はあ? 土産だとっ!! 人の気も知らないで、なに呑気なことぬかしてんだ!!ゴルアー、とっとと帰えって来やがれつーの!!」



それでも、送金はしたよ……

だって……私は、ほら……はあ……もういいや……



もうすぐ最大の末日がやってくる。

……大晦日だ。


娘が恐ろしい言葉を口走った。


「タイって言えばさ、チョンギって来るところじゃん」



末日の男よ!!末日の『オネエ』だけは、 

そ、それだけは、


どうか、ご勘弁をー!!



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