9日目
勇者の日記
今日は久しぶりに町でのんびりすることになった。今日たどり着いた町は僕が住んでいた町よりずっと広く活気がある。魔法使いの提案で宿を探してから観光することになった。田舎で育った僕には見るもの全てが珍しく、キョロキョロと余所見をしながら歩いていたら皆とはぐれ迷子になってしまった。とりあえず宿へ行けば皆いるだろうと思い、近くにいた女の子に宿への道を聞くと心良く教えてくれた。僕がお礼をいうと、急に女の子が倒れた。とっさに支えると、何処からかやって来た僧侶さんが奪うように僕から女の子を取り上げた。僕が唖然としていると、僧侶さんが「この子は風邪で倒れたのです。すぐに医者につれていかなければ。私がつれていきます!」と女の子を抱えながら風のように僕の前から走り去って行った。そんなに急がなければいけないほど女の子の風邪はひどかったらしい。それにしても、さすが僧侶さんだ。一目見ただけで女の子の病名がわかるとは。それにしても風邪とは…。そういえば、女の子は僕と話している最中も顔が赤かったし、倒れる直前なんて真っ青な顔になっていた。僕は病人に無理をさせてしまったらしい。今度から道を聞く時は相手が健康かどうかよく確かめよう。反省することができた日だった。
魔法使いの日記
いわゆる都会にたどりつき、宿を探している途中に勇者がいなくなった。俺としてはこのままいなくなったままのほうがいいのだが、耳元で「なんでお前がいて勇者君がいないんだよ」とか「勇者君になにかあったらお前を殺す!」とか「後1分以内に勇者君が見つからなければお前の臓物をぶちまける」と化け物にいわれてしまったら命がけで勇者を探さざるをえない。タイムリミットまで後5秒というところで何とか勇者を発見した。そのさい、舌打ちが聞こえたのは俺の気のせいだと信じたい。勇者に声をかけようとしたが、よく見ると勇者はかわいい女の子と一緒にいた。遠くからみてもはっきりわかるほど女の子は勇者の顔にみとれている。けっ、いいご身分なこって。ここに現地妻でも作るつもりか~?イケメンは死ね!!と勇者を呪っていると全身の肌が粟立つのを感じた。俺はゆっくり、それはゆっくりと後ろに振り向くとそこには言葉では表現できない『ナニカ』がいた。闇よりも暗く虚無よりなにも感じられない目、ありとあらゆる生命体が無条件で頭を下げるであろう圧倒的な覇気、渦巻くように全身から漏れ出す濃厚な殺気。俺はその『ナニカ』から目を離せなかった。本能が訴えているのだ、目を離したら死ぬぞと。『ナニカ』は一瞬で勇者のもとまで動き、勇者と一緒にいた女の子を抱え視界から消え去った。その後何があったかはわからない。ただ、1つ確かなことは俺の命が助かったということだ。
僧侶の日記
今日は大事件があった。私の大切な勇者君が目を離した隙にいなくなってしまったのだ。私のバカバカバカ!と反省しつつ、いつも勇者君にまとわりついている害虫1に命じて勇者君を探させた。害虫の必死の捜索のおかげか、勇者君を見つけることが出来た。ああ、勇者君!目を離してごめんなさい。勇者君と二度と離れないからね!と謝罪し、勇者君のもとに走りだそうとしたが勇者君と知らない女が一緒にいる光景が目にはいってきた。だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?ダレ?誰?だれ?
アア~、ワカッタ~。ユウシャクンハメスブタニマトワリツカレテコマッテイルンダネ。クスクス、ヤッパリメヲハナストダメダナ~。ソレニシテモホントウニメスブタニハコマルナ~、ヒトノモノニテヲダスナンテシツケガナッテイナイ。ワタシガシツケテアゲル…
メスブタを路地裏につれこみ躾をしてあげた。メスブタはブヒーと泣いて許しをこうてきたが私の気が済むまで躾を続けた。やっぱり、動物には躾が大切だなと感じた日だった。
戦士の日記
あの日以来、勇者を抱くか魔法使いに抱かれるかまだ答えをだせない。町にたどりつきどっちを選ぶべきか悩んでいる私に魔法使いが衝撃の言葉をかけてきた。「とりあえず宿にいこうぜ」だと!?そんなに私のことが抱きたいのかこいつは…。しかもまだ昼間だぞ!なんという積極的なやつなのだ!そういえば、気が付いたら勇者がいない。ハッ!まさかこいつ…、勇者とどっちをとるべきか悩んでいる私の心を読んでライバル(勇者)を排除した…?ま、まずいぞ!この分じゃ今日の夜に夜這いをかけられるかもしれん。一応綺麗にしておこう。