表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フラグメーカー  作者: 夏野ゲン
ある合コンの話
15/35

傍観、思考

伊藤かえでという女の子は、面白い。

最初はかわいいだけで、なんだかふわふわした、頼りない子だと思った。

それが、しばらくぶりにあってみたら、一本芯が通っていた。でも、それは曲がらない強さじゃなくて、しなやかにしなって受け流すような、自然な強さだ。


なんだか橘に似てきた。そんな風に思う。


それにしても、この子に何があったのだろうか?

彼女は急に強くなった。彼女と会って橘が刺された原因を話したときには、まるで親猫に捨てられた子猫のような顔をしていたのに、今は白川女史の細かなけん制にも負けずに、今日も見舞いに来て、せっせと橘の世話を焼いている。


橘は橘で、そんな風に世話を焼いてもらえることに慣れておらず、すごく照れていて、でも、明らかに彼女を意識し始めていて…。


そんな姿は、どこかほほえましくて、うらやましい。


きっと、オレはあの子のまっすぐさに憧れを抱いているのだ。

ぐにゃぐにゃに捻じ曲がったオレは、自分にないものを持っているあの子がうらやましい。




…逆に、オレには、白川真琴という女のことがよくわからない。


あの女は…わからない。

ぱっとみたところでは、ただの清純そうなお嬢様。

なのにオレにはその底が…見えない。


あの笑顔の奥には、どうしようもなく深くて、ほの暗い何かがあるような気がして仕方がないのだ。


底は見えないが、それだけはわかる。

あの女からは同属のにおいがする。きっとあいつも、オレと同じでぐちゃぐちゃに捻じ曲がった迷宮を心のうちに持っている。




…嫌な予感がしてならなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ