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フラグメーカー  作者: 夏野ゲン
ある合コンの話
13/35

二人(上)

私こと橘健太郎は、病院の一室にて、空を眺めていた。


入院からわずかに1週間。傷はあらかたふさがり、医者も「異常に回復が早い」と、驚いていた。


入院生活中は、斉藤がエロ本をもって遊びにやってきてみたり、石川が生真面目そうな顔で講義資料のコピーを持ってきてくれたりと、なんだか思った以上にいつも通りな感じである。そう。男衆に限定しては。




おかしいのである。

絶対におかしいのである。

女性に関して交友関係のほとんどない私にとって、この状況ははっきり言っておかしいのである!!


なぜに、私のところに毎日必ず2人の女性が見舞いにくるのであろうか?

これは夢か?幻か?




入院2日目にして、白川さんが見舞いにやってきた。

たくさんの果物をかごに入れて、やってきた。


「ビタミンをしっかり取った方がいいです!!」


そんな風に言って彼女はリンゴをむき、私に食べさせた。


…この状況は一体何だ?


白川さんは少なからず石川に気があるのではないのか?なぜ私の相手をしているのだろうか?思い切って


「なぜ毎日見舞いに来てくれるんですか?講義や他の用事もあるでしょうし、もし、無理をしているなら、私は大丈夫だから、他を優先してください」


と言ってみた。これに対して、


「…私のせいで橘さんは入院してしまったのですから、治るまで毎日見舞いに来ます!それが今の私にとっての最優先事項です!!」


と高らかに宣言した。

彼女の目は使命感に燃えていた。




白川さんの訪問の理由は「使命感」で良しとしよう。

しかしながら、もう一人毎日見舞いに来ている、伊藤さんのほうは、あいまいな理由すらわからない。


「そんな無理に毎日見舞いに来なくてもいいんだよ?」


と言っても、


「私が来たいから来ているんです。先輩にはお世話になったのに何もできてないから…。それともご迷惑ですか?」

「いや、そんなことはないし、うれしいけど…」

「それならお互いうれしいということで万事解決です!!」


こんな感じである。もう、なんだかよくわからない。




そして、なぜか異常に居心地が悪いのが、二人のお見舞いがかぶった瞬間である。

空気がピリピリするのである。

非常に居心地が悪いのである。

逃げ出したくなるが、私の見舞いに来ている二人を置いて、私が逃げるなど意味がわからない。


なんだっていうのだろうか?


二人が私に気があるとでもいうのだろうか?

そこまで考えて、「…いやいや」と思う。

斉藤みたいなイケメンならまだしも、私に対して何かを感じるほど2人と私の間には接点はないはずだ。むしろこんなことを思うなど、2人にも失礼だし、石川に対してはひどすぎる最悪な考えだ。


しかし、「私に気があるのだろうか?」なんて考えている時点で、私も少しは期待しているのかもしれない。恋愛などというものに対して。




やれやれ…万年わき役のくせに私は何を考えているのやら。



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