第7話「初めての高難度クエスト」
順一たちは、ゴーレム討伐を成功させたことでギルド内でも注目を集め始めていた。報酬として手にした銀貨80枚に加え、鉱石の売却益も得て、順一の懐はだいぶ温かくなっていた。これで生活費を気にせず過ごせるだけでなく、さらなる準備を整える余裕もある。
「よし、次はもっと難しいクエストに挑戦してみるか」
順一が気合を入れると、ガルドが頷きながら応じた。
「そうだな。お前も装備が整ったし、動きも十分に戦えるレベルだ。そろそろ高難度のクエストに挑む時期だろう」
リナも明るい声で賛成する。
「うん! 今の私たちならきっとどんな敵だって倒せるよ!」
三人の意志が一致し、次なるクエスト探しが始まった。
ギルドの掲示板には、さまざまなクエストが貼られている。モンスター討伐から護衛任務、さらには遺跡探索まで、多岐にわたる内容だ。その中で、順一たちは特に目を引く一枚の依頼書を見つけた。
『闇狼の群れ討伐』
推奨人数:4名以上
報酬:銀貨120枚+追加報酬あり
「闇狼か……聞いたことがある。夜行性で、暗闇の中ではほぼ視認できないほど素早い魔物だ」
ガルドが依頼内容を確認しながら説明する。リナも真剣な表情になりながら意見を述べた。
「魔法の光を使えば位置を把握できるけど、動きが速いから対処は難しそうだね。でも、報酬はかなりいい!」
「確かに……これはやる価値があるな」
順一も二人に同意し、三人は闇狼討伐の依頼を引き受けることにした。ただし、この依頼には「推奨人数4名以上」と書かれている。そこで、三人は一時的に協力できる仲間を探すことにした。
ギルド内で協力者を探していると、一人の男性が声をかけてきた。背は低いががっしりとした体格で、手には巨大なハンマーを抱えている。
「俺もそのクエストに参加するつもりだったんだ。よかったらチームに入れてくれないか?」
彼は名前をエドと名乗り、物理攻撃に特化した冒険者だった。近接戦闘の火力が欲しかった三人にとって、彼の加入は心強い。
「エド、よろしく頼むよ。俺は順一、よろしくな」
「俺はガルドだ。前衛は任せろ」
「私はリナ! 一緒に頑張ろうね!」
こうして新たにエドを加えた四人のチームが結成された。
夜が訪れた森は、一面が暗闇に包まれていた。月明かりが木々の間からわずかに差し込むものの、視界は極めて悪い。闇狼たちはこの環境を最大限に利用して、獲物を狙う。
「リナ、魔法の光で周囲を照らしてくれ」
ガルドの指示に従い、リナが杖を掲げる。
「ライトオーブ!」
杖の先から放たれた光の玉が周囲を明るく照らし出す。その瞬間、闇狼たちが影から飛び出してきた。
「来るぞ!」
ガルドが盾で一匹の攻撃を受け止め、エドがハンマーを振りかざして敵を叩き潰す。順一も「霧霞」を抜き、スキル「万能適応」で直感的に敵の動きに対応しながら戦う。
「速いな……!」
闇狼はその名の通り、高速で動き回りながら攻撃を仕掛けてくる。順一は動きに集中しつつ、周囲にスキルの影響を悟られないよう意識を向けた。
「順一、右だ!」
ガルドの声に反応して右側に振り返ると、闇狼が飛びかかってくるところだった。順一は素早く刀を振り、敵を切り裂く。
「ナイスだ!」
エドが賞賛の声を上げるが、順一は冷静さを保ちながら次の動きに備える。
闇狼の群れを全滅させたとき、三人の身体は疲労でヘトヘトになっていた。だが、無事に任務を達成したという達成感が彼らを満たしていた。
「全員無事でよかった。順一、いい動きだったぞ」
ガルドが満足げに順一の肩を叩く。リナも笑顔で話しかけた。
「順一、すごく頼りになるね! あの速い闇狼を捌くなんて、本当に初心者?」
「いやいや、まだまだだよ」
順一は謙遜しながらも、内心ではスキルの秘密を守ることに安堵していた。
報酬として得た銀貨120枚を四人で山分けし、さらに闇狼の皮や牙を売ることで追加の収益も手に入れた。順一の財布は、また少し豊かになった。
ギルドに戻り、報酬を手にした順一は、自分の成長を実感していた。新しい武器「霧霞」とスキル「万能適応」を活かし、確実に冒険者としての道を切り開いている。
「これで生活にも余裕ができたな……いよいよ、あの場所に行ける」
順一の目に浮かんだのは、街の中心にあるコンセプトカフェ「スイート・ローズ」の看板だった。異世界に来てからずっと憧れていた場所。推しを見つけるための第一歩を踏み出す準備は整った。
「次は、念願のコンカフェデビューだ……!」
順一は静かに拳を握り、決意を新たにした。