タイムマシン
「ついにタイムマシンが完成したぞ!」
博士が汚れた白衣にも構うことなく叫び声をあげると、助手はおめでとうございますと言い、完成したタイムマシンを眺めた。
ちょっと見ただけでは妙な形をした車のように見えなくもない。
このタイムマシンでは過去に行くことは出来ないが、未来には好きなように行けるのだ。
「では博士、さっそくタイムマシンが完成したことを世間に発表するのですか?」
助手はどこか訝しげな表情をしながらそう尋ねた。
「いいや、それはまだだ。実証実験をしなければならないからな。私は昔から一度で良いから未来の世界を見てみたかったのだ」
そう言って博士は助手の手を引いていそいそとタイムマシンに乗り込もうとする。しかし助手はそんな博士を引き止めるとこう言った。
「博士、未来に行くのは良いですがどうやってこっちに戻ってくるのですか? このタイムマシンは過去にいけませんよ。現在は未来から見たら過去じゃないですか」
その言葉を聞いた博士は大きく肩を落としてしまった。
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