3-8 天災は止められない?
鯰がいないのなら、もうここには用がない。帰りたいのだけれど、帰り方がわからない。
「どうしよう」
僕はまた途方にくれていた。
一人じゃ何もできない。情けない。
さっきもじぃと紅が助けてくれなければ確実に死んでいただろう。
誰かの役に立つどころか、足を引っ張ってばかりだ。
「じぃ、また元の世界に送ってもらうことはできる?」
こんなこと龍に頼む騎士がいるのかな。こんな僕が本当に、騎士になれるのだろうか。
じぃは首を振った。
心なしか、厳しい顔をしている。
「え、送れないってこと?」
じぃは喋れないので、表情や仕草から何を言いたいのか読み取る。
「そうじゃない? それじゃあ、帰るなってこと?」
じぃが頷いた。どうして? と、聞こうとしたところで、胃の腑にまで届くような地響きが鳴り渡った。
立っていられないほどの揺れに、僕は尻餅をつく。
地震だーー。
しかもかなり大きい。
日を遮る大きな影にはっと見上げると、そこに飛行船のような巨大鯰が飛んでいた。
それを見て僕は息を呑む。
さっき逃した鯰だろうか。さらに巨大になっている。
行かなきゃ。
そう思うのに、地の揺れと、膝の震えで立ち上がれない。腰に力が入らない。
それでも僕はなんとか這いつくばって、刀を抜く。
鯰を見上げると、大きい。大きすぎる。
僕なんかが、到底太刀打ちできる相手じゃない。
絶望――と言うものを、初めて感じた。
なんで、僕にもできるなんて思っていたんだろう。人と違うって言われて、自惚れてたんだろうか。
立ち上がりかけていたところに、第二の大きな揺れが襲う。僕は地面に転がり、なすすべもなかった。
地震なんて、天災だ。
天災を、人が止められるわけがない。
そう思った矢先、一陣の光が鯰の頭上を飛び抜けていった。
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