かぐやん姫はクエストをクリアされ、三日月にかわっておしおきされる
かぐやん姫は絶世の美女。世の中の男性はこぞって彼女の気を引こうとし、貢ぎ物をしまくりました。
そんなかぐやん姫が結婚の相手を選ぶ事になりました。かぐやん姫は人が我にかえる瞬間を恐れていたのです。
企画投稿時はVRゲーム〔SF〕作品でした。
・作品についての思いやお話しなどは後書きに掲載します。
それは、ある国に伝わる物語。ある国には、かぐやんと言うお姫様がいました。
とても美しいお姫様で、毎日お偉い様からモブの庶民まで、モテモテでした。
気を持たせるのがお上手で偉い人から貢がれた豪邸に、貢がれたお宝を貯め込んでいました。
ただ絶頂は長く続かないと、かぐやん姫は危惧していました。とても賢い姫様は人の心の移ろいを恐れたのです。
そこで、かぐやん姫は言いました。
「蓬莱の玉の枝と火鼠の皮衣と仏の御石の鉢と龍の首の珠と燕の子安貝が欲しいのじゃ」 と。
難題クエストを設定し結婚を匂わせ、撤収ターンに入ったのです。
絞りに絞られた偉い人達も奮起します。破滅も辞さない覚悟で人を雇い、国中を探させます。
「いくら探しても、そんなものこの世界にあるわけないのじゃ」
かぐやん姫は破滅の原因を自分ではなく、お金持ちの道楽によるものと、うまくすり替えたのです。
しかし、ここで思わぬ誤算が生じました。
なんとモブ男の中に、五回だけ好きな物を作れる能力者がいたのです。
なんとそのモブ男、かぐやん姫のために五つの宝を用意したのです。
「それならわらわのような絶世の美女と、数え切れぬお宝を作ればよいものを」
アホかと思いましたが、偉い人達の立会いのもと交わした約定通りに、モブ男と結婚する羽目になったかぐやん姫。
貴重な能力を失って本当にモブな能力しかない男でしたが、かぐやん姫は希少な宝と、自分に従順なモブ男を手に入れ、案外幸せに暮らしましたとさ。
「……いや、暮らしましたとさじゃねぇ」
モブ男と幸せに暮らすかぐやん姫のもとに、三日月の使者ならぬ、三ヶ月締めの使者がやって来ました。
「その男はわしらに能力を使う約束で好きに飲み食いして来たんだ。能力のない残りカスはあんたにやる。だが、お宝と違約金はたんまりもらうぜ」
なんという事でしょう。モブ男もまた、己の才能という武器でやりたい放題やっていたのです。
約定まで交わして能力を使い切るとか、スーパーアホかコイツとかぐやん姫は嘆きましたが、もう遅いのでした。
約定を盾に、三ヶ月の使者は何もかも回収していきました。かぐやん姫に残されたのは、身ぐるみ剥がされパンツ一丁のモブカス。
人の恨みは恐ろしい。月が代わりにおしおきしていたので、かぐやん姫がそれ以上罰を受けることはありませんませんでした。
約束を破ってはいけない、かぐやん姫はパンツ一丁のモブ男を抱えながら、やはり幸せそうに暮らしましたとさ。
お読みいただきありがとうございました。この物語は、なろうラジオ大賞5の投稿作品となります。
かぐやん姫の物語のモデルはおわかりですね。月にかわって、とスーパーアホは月に関わるネタです。
この物語はみんな、約定はなにげに守る善人でもあります。
※ 加筆再掲載版にて内容見直したのですが、ジャンルは現実恋愛でもコメディでもなくVR世界なので変更しました。
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