第3話:牢屋
誤字脱字があったら知らせてもらえれば幸いです。
ガタッコト、キッ・・・
ブレーキの音と共に揺れが治まる。着いたのか?
ガチャ
「着いたぞ」
やっと王都か、
「・・・僕は此れからどうなるのですか?」
目隠しをしているから、話し掛けてるのが誰か分からないが、護送して来た騎士には違いないだろう。
「確か・・・宰相か誰かが判決を出すまで牢屋に入ってもらう事になる」
牢屋?まさか!?これ以上飯が不味くなるのか!?因みに騎士団の飯は全く美味しくなかった。出された物はめっちゃ硬いパンと干し肉と水、夜だけはスープが付くが全て味が薄い。まぁ保存に適してるからだと思うが俺としては勘弁して欲しい。
「あの・・・期間はどの位になりそうなんですか?」
「あ~、今回の盗賊問題は国への依頼だったからな~、それに関する事だから早ければ明日にも出られるんじゃないか?」
ほっ、明日か早くて助かるな、どうせ牢屋何て何処の国でも汚くて陰気臭いに決まってる。
「さぁ、行くぞ。牢屋は直ぐそこだ」
そう言って手錠らしき物に付いている鎖をジャラジャラと音を立てて俺を引っ張って行く。
そして階段を降りて地下らしき所に着くと目隠しを外して牢屋に入れられた。
「さぁ、ここで判決が出る間で居てもらう事になるが・・・何か欲しいものあるか?」
??欲しい物?
「・・・この国の囚人は欲しい物が有れば支給されるんですか?」
「いや、ただ俺にはお前が悪人には見えなくてな、まぁ暇潰しの本位なら持って来てやるよ」
この騎士も兜を被っているから表情は見えないがきっと気の良さそうなおっさんなんだろうな。
「ありがとう、じゃあ遠慮なく、地図を貸してくれませんか?」
「地図?」
「はい、僕は田舎育ちで街にいきなり来て今いる所すら何処だか・・・」
ちょっと苦しい言い訳か?だか今のうちに聞いとかないと聞くに聞けなくなるからな。
「なんだそんな事か、分かった。今とって来るから待ってろよ」
そう言って名も知らぬ騎士は牢屋から離れ行った。
~~~~~~~~~~~~王国執務室~~~~~~~~~~~~
トントン
「誰だ」
「第3騎士団、団長メイルアーバンスです。カーネルでの盗賊の件を報告しに参上いたしました」
「メイルか、入って良いぞ」
メイルは部屋の中から了承の返事を聞くと扉を開けて中に入る。
「失礼します」
中に入ると還暦を迎える程の長い髭を蓄えた年寄りが
大きな執務机に向かっている。実際はこの国の宰相、ガイル=B=グレイダースだ。
「カーネル?・・・確か盗賊が出るとか言っていた街だな?で、どうなった?」
ガイルは、余り興味が無さそうに執務をこなしながらメイルに尋ねる。
「それが・・・私達第3騎士団がカーネルに着いた時には既に盗賊は全滅してまして・・・」
「全滅?あの街は盗賊から街を守れないから国に依頼をしてきたんじゃなかったか?それが何故到着前に全滅していたのだ?」
執務を中断をしてガイルは怪訝な顔でメイルに問う。
「それは・・何処から来たのか分からぬ神宮寺彬と言う魔術師が一人で全滅したらしく・・・」
メイルの言葉にガイルは目を見開き、
「それは誠か!?」
「はい、私が直接本人に聞きました」
「で、今その魔術師は何処に!?」
メイルはばつが悪い表情で、
「一応、一般人が人を殺したと言う事で王都の牢屋に入れて、判決を待たしています」
その言葉を聞きガイルはニヤリと笑う。
「そうか、なら判決は明日城の謁見の間で行う。その魔術師に午前中に迎えが行くと伝えておけ」
その言葉を聞き今度メイルが驚きの表情をする、それもそうだろう何せ相手は一般人であるが一応人殺しだ、その人殺しを謁見の間で王と会わせると言うのだ。
「えっ、謁見に!?王がそんなの許可するはずがないでしょう!しかも相手は人殺しの魔術師ですよ!」
「構わん、王は私が説得する、それにいくら魔術師でも謁見の間には近衛騎士もいるし宮廷魔術師だって控えている。心配はいらん」
「しかし!」
「口説ぞメイル!!」
メイルはガイルの激昂にビクリと体を震わせた。
「儂が心配いらんと言っておるのだ、それを騎士のお前が口答えするな!」
「はっ!しっ、失礼しました」
メイルは頭を下げる。
「分かればいい、ではもう行け」
「失礼しました」
メイルは宰相の執務室から出て行く。
ガイル以外誰も居なくなった執務室でガイルは再びニヤリと笑う。