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第二章 エピソード2 動きます

--とある海底奥深く--





クプププッーー、ブククブク…フゴッ!




【#わ%_た:/しh@ko..*%...、ここはどこだ?】




全世界で起こった地震から数時間...、この世界の絶対なる(ことわり)が目覚めた





--西校舎トイレ前ベンチ--





トイレを済ませた俺はもっと情報を入手するために、swatterだけではなくワンセグでニュースも見ることにした



このモンスター災害と名付けられてる事件は6,7種類の情報番組で取り上げられ、深夜にやっていたバラエティ番組も全て緊急切りかえによって、ニュース番組に変わっていた



IOKニュース速報「緊急速報です!東京時間の深夜0:00に、全国各地で同時発生した地震の影響によるものか、各地にモンスターなるもの、謎の生き物が多数多種類に及び発生致しました。日本防衛省から、全国民は速やかに指定された安全保護区域に避難せよとの通達が入りました。近くに住んでいらっしゃる人達の安全確認を皆様で行いながら、絶対に避難してください。また今日の朝8:00にて、国内放送を行うと先程内閣府広報機関から通達が入りました。皆さん必ず見るようにしてください」




ニュースはそこで途切れ、先程までやっていた情報番組に変わる



谷本C「いや~、こんな時間に地震かと思ったら謎の生き物の発生ですか…。私はまだこの目で確認していないから、まだ本当に実在するのか疑っているんですよね、はははは(笑)」



井岡専門家「私も最初は非現実的すぎて疑っていました。しかし、この事件を裏付けるような古い伝記が平安時代の書物に記してあるのを思い出しまして、これは私が現代語訳したものですが読ませてもらいますね。『地下深くに封じられし厄災、時来たれば目が覚めたりて、災いの原点たるこの世の理をその目に現れんことを』と記されてあります。私は今まで、その厄災はどんな災害なのか調べてきました。関東大震災から始まって、11・9事件・ペスト・デング熱…。色んなものを過去から現在まで照らし合わせてきましたよ。でもですね、どれも事件と関連性が微塵も感じられなかったんです。今回の謎の生物、そうですね()()()()()()()とでも名付けましょうか、この災害で厄災が目覚めてしまうのかもしれないと私は考えております」



谷本C「それって、宗教的な観点で他国からストップがかかりませんかね?この世の理って大げさすぎますよ、はははは笑」



谷本Cの笑い声がその場を包む



それから俺は、スマホの画面を閉じた



ほんとにそんなやつが目覚めたってのか?俺はまだ信じたくない、なんでそんなことで俺たちは災害に会わなきゃいけないんだ!



そんな大それたものに人類が勝てるわけがない。俺の大事な家族が、友達が、そしてみんなが生きるこの町が...


それから20分が過ぎた頃



「キーンコーンカーンコーン」



チャイムが鳴った



放送「これより、青鹿浜市羽田名古(はたなこ)町長による登壇スピーチが始まります。会場にご来場になっている皆様は速やかに、青鹿浜体育館へお越しください」



『そろそろそんな時間か、体育館は...と、あっちか』



気付けば先ほどまで膨れ上がっていた憤りのない怒りが、夜風によって静まっていた




--体育館--




花菱(はなび)町長「えー、皆さまこんな時間に地震が発生して避難してきたようでお疲れさまです。ここはひとまず安心なのでどうかおくつろぎください。さっそく本題に移っていきたい所なんですが、まず皆さんに紹介しておきたい人がお越しになっておりまして...、ではどうぞ」



そういって町長は斜め後ろに座っていた彼女に一礼すると、壇から降りた。



久代(くしろ)「町長にご紹介にたまわった防衛省より新設されたモンスター課の久代です。今回の災害は私の方から説明させていただきます」



モンスター課だと?国はこの謎の生き物たちをモンスターと定義づけるってことだな。ひとまず、現状どうなっているのか聞いてみるか



彼女は淡々と災害の概要を説明した。要約するとこうだ



今日の0:00に震度4の地震が全世界で同時に発生した。震源はまだ特定できていないが恐らく地球の核で爆発が起こったんじゃないかと国は考えているのこと。そして、その地震に伴ってこの地球に謎の生物が大量発生したこと。俺たちはモンスターの被害もまだ被っておらず、ひとまずは安全とのことだがモンスターは山や海や空など、広く生存圏を確保しており、実際にモンスターの被害に遭い、死んだ者や致命傷を負った者、軽症者が存在していることが分かった。被害者数は約2600万人に及ぶとのことだ



俺はこれを聞いたとき、全身に悪寒が走った



そりゃ、ゴブリンや獰猛な鳥が目撃された中で被害がないとは限らないじゃないか。俺は何を勝手に、モンスターがただ発生しただけで済んだと勘違いをしていたんだ。俺は恵まれたのか普通の人より、モンスターと戦えるすべがあるのに、なんでそこまで頭が回らなかったんだ...



俺はひどく後悔した



久代さんは続けた



久代「またモンスターはどこから出現したのかを調査するために、国が結成した捜索隊を各地域に送り込みました。するとそれぞれの場所で大小さまざまな深い穴が出来ており、中を覗くとこの世の物では見たことがない材質でできた異空間のような建造物が広がっていました。私たちはそれをダンジョンと定義づけることにしました」



『ダンジョン?!モンスターがたくさんいる階層上になっているいろんな形がしたあれだよな...』



ますますファンタジー化しているな、俺が神社で見たあの穴ももしかしたらスライムのダンジョンなのか?いや、それにしては人が入れないしダンジョンと呼ぶには小さ過ぎるのかもしれないが...。夜が明けたら、もう一度田嶋さんを訪ねてみよう。心配だ



久代「ダンジョンからあふれ出てきたモンスターを、自衛隊含め武装した捜索隊は殲滅にかかりましたが、銃弾が効くモンスターもいれば効かないモンスターもいて苦戦を強いられました。しかし、効かないモンスターに関しては移動速度が遅く、危険度が低いものが多く、そのモンスターについても別の方法で処理したと先ほど国から通達がありました」



多分銃弾がきかないってスライムとか、物理耐性が高いモンスターのことだよな。現代科学で太刀打ちできないスライムを強い認定されても、最初に出くわしたモンスターがスライムだったから俺は危なげなくレベリングが出来て、それは今思えば幸運なことだったのかもしれない



久代「また、モンスターを仕留めた小隊全員に突然脳内にアナウンスが流れ、レベルアップという天の声が聞こえたと証言しています。彼らには彼らにしか見えない、半透明のボードが目前に映し出されると話しており、個人情報などが掲載されていると話しています。また()()()()()()という天の声がしたものも複数おり、半透明のボードに掲載されている身体能力数値ようなものが上昇したと報告していました」



だよな、モンスターを狩ればその分だけ本人に経験値が蓄積されるんだからレベルの概念の話をしてこないのかと一瞬困惑したじゃないか



にしても、小隊全員ってことは戦闘に参加した全員が経験値を獲得できるんだな



久代「今日の明朝8:00に国内放送が一斉に映し出されます。この後皆さまは、ここの体育館とすぐ近くに急設した臨時キャンプテントにて休息をお取りください。何かご不明な点がございましたら近くにいる係員または構成員にお聞きください。我々はできる限りの援助を皆様に惜しみなく協力致します」



そこで、久代さんの話は終わった。手短に話してくれたが、スケールが大きすぎてポカンとしている人がほとんどだ。もちろん、レベルだの聞いて興奮している若い奴らもいるが、それを制すので精一杯なのか親御さんたちがこっぴどく叱っている。さっきも久代さんが言ってた通り、被害者数は2600万人近くいるんだ。そんな不謹慎な喜びを抱いては道徳的に望ましくないからな...



といっても、始めの頃の俺は優越感とか抱いて興奮してたっけか...



まだまだ俺も子供だな



久代さんの話が終わり再び町長が登壇するが、その場を二言でしめ、解散の声をあげた



緊張から開放されたのかみんな一斉に話始める。聞こえてきたのは、モンスターのことや親族の安否、ここの安全性などもだ



係員や構成員の前には都会の人気店で見るほどの長い列ができあがっていた



俺はというと、親父と母に一言告げて一輝たちの元へと戻っていった



一輝「まこっちゃんおせーよ!どんだけ長い時間トイレにこもってたんだよ!笑」



颯太「長すぎて、でっかいうんこでも出しとるんかと思たわ~」



「そんなわけないだろー笑笑、ちょっとニュースのことで気になった記事を見つけたから、ほら西トイレ前にベンチあったろ、そこに座ってたんだよ」



一輝「な~んだ、おもんねーの」



颯太「それはそうと、さっきの久代っていう構成員の話どう思う?」



一輝「俺は信じるぜ!」



「お、意外だな。一輝ってそういうの興味なかったんじゃないのか??」



一輝「いや、そうなんだけどよ...、こう俺の中でググっと何かがしびれてるんだよな。俺の感はいつも当たるから、たぶんほんとのことなんだろうなって」



颯太「いつも一輝のそれどうかと思うけど、今回限りは同じ意見だよ~。俺も信じるよ」



「そっか、実は俺もな、ほんとなんだろうなって思ってるんだ」



颯太「そうだ!もしいつか外が安全になったら、一緒にダンジョンに潜らへん?俺の父さん剣術の指南役だからみんなで体術とかいろいろ防衛手段を教えてもらってさ!」



一輝「おお、そうだったな。お前の父ちゃん剣道凄いんだっけか?確か...」



「日本大会2位だ。そうだ、颯太の父ちゃんに教われば【剣士】スキル何t...あ、いやなんでもない」



危ない危ない、また墓穴を掘るところだった



俺たちは暫く会話が弾み、体育館の中の人が少なくなってきた



すると、一輝の親が一輝のことを呼んでいるのが見える。もうテントに帰るみたいだ



颯太の親も颯太を呼びにこちらまで来た



颯太母「誠君、一輝君、元気にしてた?さっき係員の人に私たちの家が大丈夫か聞いてきたんだけどね、明日には帰れるように手配しておくんだって。私たちもそろそろ行くからじゃあね、またいつでもうちにおいで」



そういってどこか気品の高そうな颯太母と颯太は別れを告げた



一輝「まあそういうことで、じゃなー!」



一輝も別れを告げる



『俺もそろそろ戻るか』



久しぶりの友人との会話で、最近暇でしょうがなかった俺に人の温もりみたいなものが、ちょっとだけだが心に残った




--佐伯家のテント--




おおー、結構豪勢なキャンプテントだな。軽く20人は入れるんじゃないか?



等間隔に設置されているテントは普段見ることのない、自衛隊が所有する大きなものばかりで、どこか異世界にでもいるんじゃないかと錯覚させるほどのものだ



そんなことより、親父と母は...ここか。って、もう寝てるのか。まあ色々あったみたいだし、疲れたのかな



これから、どうしようか。別に何か用事があるからといって起きているのではなくてだな、ほんとに眠気がないだけなんだよな。モンスターのことで俺も、感極まっている状態だし



ちょっと出かけるか...



青鹿浜高校の周りは、自衛隊で出入口共に包囲されている状態だが、どうにか抜け出せそうな壁を見つけた。俺はインベントリに支給でもらった携帯食を収納し、学校の塀があるところまでゆっくりとばれないように移動した



この高さ...なら、なんとかいけそうだな



俺は直感で飛び越せることを理解し、軽く助走の距離を確保しいざ飛ぶ



結果はこの通りだ、高さ3メートルあるであろう大きな壁も軽く飛び越せた



さすがにもうなれたな...(笑)



俺はもう自分の力のように、ステータスによる恩恵を受け入れていた。



俺は学校から出ると、ひとまず神社に様子を見に行こうと考えたが、スライムはかなりの数を電解水によって殲滅できたと思うし、この学校の周りの方がよっぽど気にかけなくてはいけなかったので、自衛隊員に見つからないように、目先にそびえたつ大きな木まで登ることにした



木のてっぺんには4回程度ジャンプし続けると到達し、下を見てみると...



200メートル先に緑の生き物が徘徊しているのが確認できた



『あれが、ゴブリンってやつか。なんだよ、全然殲滅できてないじゃないかよ...、いや、別の方向で自衛隊員みたいな集団がモンスターと戦っているのが見えるな。人数有利だし余裕かと思いきや、ゴブリンが成人の男性3人の力を押しのけているのが目に入る』



ああ…、ゴブリンってそんなに強いのか?



いやでも、銃の代わりになんだあの剣は…



銃声が一切しないから何も使っていないのかと勘違いするけど、その自衛隊の小隊はなんか特別な剣を使ってるのかな?なんだろ、あの黒っぽい刀身が長く細い西洋にあるような剣は...



俺はその剣が気になったが近づくのも危ないと思い、後日説明されるだろうと考え、まずは一人孤立しているゴブリンを試しに倒しに行くことにした



ツタッ!



目の前にゴブリンがいる



俺のことを捉えたみたいだ



ギギ!ギャギャギャ!



どこか笑っているように見える、俺のことをなめてんのか?



なおさらちょうどいいや、相手が油断しているほどこっちは有利だからな



インベントリを見る、中に使えそうなものは電解水と竹、あとスコップぐらいしかない



だって家にこんなものしか置いてなかったんだからしょうがないよな...。まあいい、とりあえず、スコップでどうにかしてみるか



俺はゴブリンを初めて現代世界で目にしたが、なぜか恐怖を感じていない



恐らくだが、負けるような敵ではないと直感で感じているんだろう



俺はスコップを手にし、勢いよくゴブリンに向かって走った



ゴブリンも腰に備えていた、刀身がボロボロの短剣を引き抜く




相手がモンスターでも力の差は圧倒的だった




俺がゴブリンに歩み寄るが、まるで歩いているかのようにゴブリンのスピードが遅く感じる。たぶんこれもステータスの上昇の恩恵なんだろうけど、次元が違うっていうのはこのことだ



ゴブリンは速めに短剣を振り上げるが、ゴブリンが短剣を振り終えた頃にはもうゴブリンの胴は真っ二つに切られていた。そうこの俺のスコップでな...



ギギ、ギギギギーーー!ギ、ギ...。



ゴブリンは驚いた顔をして地に倒れた



うん、俺も驚きなんだけどぉぉぉ!?



スコップってこんな切れ味がいいものなのか?これもステータスのおかげだとすると、ステータスの恩恵っていろんなところで発揮されるんだな...。この次元ってスキルとかの話じゃないのか?



俺は手に握られたスコップをまじまじと見つめた後、もう驚くことにいちいち疲れたのか血を木の葉で拭い、インベントリにしまった



ゴブリンは地に倒れたと思ったら、時間がたつにつれ塵と化し魔石がドロップしていた



この前見た、スライムより二回りも大きいな



俺は、スライムの魔石と、頭の中でゴブリンの魔石とを比べていると大事なことを想い出した



『あ、スライムの魔石俺の部屋におきっぱだ』



まあ、明日には帰れるからそれでいっか。で、インベントリの画面では...っと



そこには、[ゴブリンの魔石×1]と書かれていた



危なげなくゴブリンを倒せたが、この実力なら自衛隊でも大丈夫かもしれないな。俺は思ったよりモンスター事態のことを危険視していたけど現代科学の力でなんとかなりそうな気がする



まあでも、もっと強力なモンスターもいつか対戦するかもしれない。まだまだ力を付けないといけないよな...



俺はこのゴブリンの戦闘で自分の強さを自覚するのではなく、まだ先かもしれないが、今後やってくる自分よりも強いモンスターに負けないためにさらなる決意を固めるのだった

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