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エピソード2 モンスターとの戦闘はやっぱりこうでなきゃ

--佐伯家--

あのスライムを倒すのに時間がかかったため、いつものランニングよりも3時間ぐらい帰るのが遅くなっていて、それにスマホも持ち合わせていなかったから母はとても心配した様子で俺のことを出迎えた


母「もおぅ、心配したのよ!!こんな時間までどこをほっつき歩いていたのよ!」


母の罵声が玄関に広がる。玄関に置いてある靴を見て、もうすでに父が帰宅していることを確認すると俺は間が悪い感じになる。

母の説教を短く終えた俺はそのままシャワールームまで向かった


俺は父とあまりうまくいっていない。子どもの頃はなんでなのか知らないが、父も母も大好きで、よく休日に一緒に遠出し買い物に行ったり、ランニングも最初の頃は一緒に父と走っていた。俺が大学に入るころをきっかけに、何故か俺に突然厳しくなり酒癖も悪く尊敬できる父親という目ではもう見れなくなった。


母は、俺が風呂へ入るのを確認すると父と喧嘩をしだす、風呂まで聞こえてくるんだ。喧嘩の内容は様々だが毎日のように続くため俺はとっくの前に嫌気がさしている


『はぁ、また喧嘩かよ。にしても、なんで親父(おやじ)は変わっちまったんだろうな、入学式の前日に親父はどっか出かけるって言ってたっけか、そんで俺が入学式をしている最中にやさぐれた感じで顔を出しに来たっけか』


俺はこの間に父に何かあったんだろうと推測を立てる。前に父が変わった理由を母に聞きにいったが母はすでに知っているらしいんだ。なんでなのか理由を聞きに行ったら、ばつが悪い様子でスルーされた


俺は父のことを頭の片隅におき、スライムのことを風呂に入りながら考え始める。にしても急なこと過ぎて、ほんと現実味がない。スライムの感触はまだ手に残っている、何とも言えない弾力性のあるような張りのあるツヤ感、あんな見た目で木が溶けるのだから末恐ろしいモンスターであるのは間違いないんだが...


これって、レベル2があるよな...


俺は風呂を上がった後に早急に晩御飯を済ませ、明日もう一度スライムのことを確認しに行こうと早くに寝床に着いた


--翌日--


俺は、父が仕事に行ったのを確認すると母に友人と遊びに行ってくると告げて、家を飛び出した。昨日走ったから、今日はサイクリングだ。俺は背中のカバンの中にバイト代で貯めた3万円と金属バットを端からはみ出た状態で突っ込む。同じ田舎に住む俺の数少ない友人にも連絡しようかと思ったが、危なっかしい奴らなので今はまだやめとくことにした。俺は一人でいつも上る山を、自転車のギアを適度に調節した状態で一気に駆け上がった。


すぐに神社に着いた


ランニングよりかは、足にかかる負担が大きかったがなんとか登り切った。俺は自転車を境内近くに止めて、カバンから金属バットを取り出しスライムを目撃した場所まで足を運ぶ


しかし、そこには何もなかった。昨日のは、ただの夢だったのか??いや、でもここに昨日俺が盛った土が残ってるし現実であることに間違いはない。それにステータスボードも意識を向ければ出てくるしな。俺はこのボードの感覚にまだ慣れてはいないが、ファンタジー感があふれ、今も心が躍っている。


そうだ、まだネットでもニュースでもモンスターについて公開されていないんだから、スライムと対峙したのだって世界で俺だけかもしれない。なんか優越感じゃないけど、他よりもなんか俺がリードしてるって感じ、正直言ってうれしいかもね。危険だけど...


俺は半分興奮しながら散策を続けた


すると、右斜め奥にある茂みがガサガサッっと動いた気がした。目の端で捉えたに過ぎなかったが、俺は意を決して茂みに近づく


スライムだ


昨日見たものと同じ見た目をしたやつがそこにはいた。俺はすぐに金属バットをカバンにしまい、アルカリ電解水の残りを準備した。昨日のように、スライムの体液が消滅するなら今俺が実行できる中で最善手となりえる。


おらよ!


ばしゃっ!!...じゅゅーじゅう


昨日と同じように核だけが残った。俺は金属バットを再び取り出し、スライムの核めがけて思いっきり振り下ろす。粉砕した、なんとも快感のある手応えだ


ステータスに変化は...なしか。まあ、この一番弱そうなモンスターを二体討伐したぐらいじゃレベルも上がらないよな笑


俺は、二体目を討伐したせいかスライムに対する恐怖心がなくなり、電解水の残りの量があと一振りなところを見るに急いであと一体のスライムを探す


どこだーー、スライムが中々見つからないんだけど


じゃあ走るか


俺は子供の頃を思い出したかのように、神社の中を気持ちよく駆け抜ける。すると、今度は自分の頭上でガサガサッと音がした。危険だと判断した俺は、すぐさまその場を退きスライムに有効な電解水を取り出す。


やっぱりスライムだ、まさか木の上にいるなんてな益々ほっとけない存在だな。とりあえず、同じ要領でこれをぶっかけてっと...。よし、このバットも持ってきてよかったな、手になじむし何より力を出しやすい


三体目のスライムの核が砕けた瞬間またあの声と共に、頭の中でアナウンスがなり始める

{一定基準の経験値の獲得を確認致しました。レベルが上がりました}


お、やっとレベルが上がったのか!どれどれ~、ステータスボードを見てみるか

------------------------------------------------

佐伯誠 20歳 男

職業:Not select

レベル:2

HP:8

MP:3

STR:6

VIT:5

INT:3

RES:3

AGI:7

LUK:2

スキル


------------------------------------------------

なるほど、一回のレベルアップで平均して1∼2、値が増える感じか。知力や運に関しては、そう簡単にのびないみたいだ。逆にこの二つの値も増えたら、バランスが保てないもんな


ふと地面に目をやると、スライムをきれいさっぱり討伐したはずなのに、亡骸のところになにか紫黒い石のようなものが落ちていた。これあれだ、魔石ってやつだ。小指の爪ぐらいしかサイズ感としてはないな。こういうのって、どっか換金できる場所があってそこでお金にするんだよなー、ってまだないけどさ。俺は男だからこういう収集欲をそそられるんだよな


レベルが上がった感想としては、なにか体の芯の奥からじわじわと力が血流みたいに流れ上がってくる感じがする。それに、この力のおかげか体の身動きが取れやすくなって...


...体が軽くなったよな、絶対に。


俺は事後処理のため、砂でその部分を盛ると、もっとスライムを倒してレベルを上げる、いわゆるレベリングというやつをしたいがためにまたホームセンターでアルカリ電解水を調達することにし、その場から立ち去った


山から下山する時ももちろん自転車を使うのだが、ギアを調整しているとかなり強めのレベルになっていることに気付いた


これもレベルによる身体能力向上の恩恵を受けているのか。下山中ってのもあるけど、こんなにスピード出して大丈夫かな、俺の視野はそのまま速くしたっていうか元々慣れていた感じがして、不思議。それにかなりのスピードが出ていて歯止めがきかない状態にあると考えることにしよう


俺は自分の能力の変化に驚きながらも、またスライムを狩るために進んだ



--ホームセンター--


ホームセンターに着き早々に電解水が売っていた場所に行く。前に買ったやつより大きめのを買うことに決め、大きさはやっとのことで両手で抱えることができるぐらいで、4Lほど入っているものを選んだ


とりあえず、カートに4つ入れて会計に進むとあの時と同じ店員さんだった


なぜか怪しいものを見る時の目つきらしき視線を浴びる。怪しいことなんか一切ないぞ!っと心で意見を唱えながらとりあえず何事もなくレジを通る


また山に運ばないと行けないと思った時に、俺は気づく。台車を神社に置きっぱなしにしていることに。はああぁ、やらかした。なんでまたこう、鈍臭い事をしでかしてしまうんだよ。1回荷物を預けてから、もう一度来るしかないよな…


俺はまた戻ることを店員さんに伝え、その場から自転車を置いてすぐに走った。今思えば自転車で来たことも先のことを見据えていなかったツケが見られて、後悔しか残らない。しかし、何も悪いことだけじゃなかった。身体能力の変化がここでも見られたからだ


『おお、本当に体が軽くなってる。この坂って結構急だけど、身軽すぎてそんなに苦じゃないぞ』


いつもなら20分かけて登山するこの山を俺は10分で駆け上がった。ステータスボートの数値で見れば、こんなに早く登れるのはおかしく比例したものではないものだと考えた。でも確かに、体の基礎の力が強くなり、素早さも上がった今のレベルでは相乗効果の面でさらなる効果が見られるってことなんじゃないかな


俺は自分でこういう風にこのカラクリを理解し、台車を取りに行こうと境内に足を踏み入れる。


それは突然だった


ガサガサッ…


何かを視界に捉えた気がした。目の前にある木のそばに、なにやらうずくまっている小さな動物のような…


それは一言でいうと()


『兎っ!だよな…、でもこんなとこに兎なんて生息していたっけな。いや、よく見るとなんかツノみたいなのが小さく生えてって、モンスター!!?』


見た目は小さな兎だが、両目のちょうど上辺りからツノがちょこんと生えている。こちらに敵意を向けている様子はないが、あちこちの木に窪みが出来ていることから察するに、このモンスターは頭突きで攻撃するタイプで、気性も荒いんじゃないのか?しかもツノがあるから兎の頭突きでもかなり痛いものなんじゃ…。なんか所々窪みがあるし、木はどこか痛々しいような気がするし…


とりあえず今はカバンとバットぐらいしかないから、ここはやり過ごそうと考える


俺は茂みを上手く使い、ゆっくりと神社近くに放置してた台車まで移動する。途中境内前は軽く広場になっているので、俺はその場所でより慎重になって移動していた


しかし、こうも俺はついていない


ジャリィ…、『しまった砂利の音を出してしまった…』


兎がこちらのことを視界に捉える、その刹那―――


一直線にこちらに向かってくる兎のモンスター、兎の脚力は元々すごいものでそれはモンスターといっても変わらない。飛び跳ねるようにこちらに迫ってくる兎にはスライムでは感じなかった恐怖を初めて経験する


やばい、このままじゃ俺死んじゃうかもしれない。それだけは避けなければ、何かないか…っつ!


そうだ!この台車使えるかもしれない


俺は兎が進行方向に真っ直ぐ向かってくるだけなのを確認し、台車の近くに身を寄せた。レベルも上がり、常人よりは速くなった俺は兎が来るまでにそれができた。台車を縦にもち、地面に起きながらだが一種の盾が完成する。そのまま兎が飛び込んでくるタイミングを見計らって俺は盾を上から覆うように兎に対して被せに行った


ガシャンンン!


俺はその台車ごと後方に軽く1m程吹き飛んだ、なんとか気を失わずに済んだ俺はよろめきながらも立ち上がり、戦況を一瞬で理解した


や、やったのか。いや、まだ硬直しているだけか。モンスターなら消滅するまで生きているからな


兎のモンスターは地面に微細に痙攣しながら倒れていた。ツノも少しだけだが削れている。俺は勝ったんだな…この新しいモンスターに。でも俺のレベルが上がっていない状態だと、絶対に死んでいたか、致命傷をおっていただろうな


兎がまだ痙攣して倒れていることを確認した俺は直ぐに、吹き飛んでいったカバンからバットを取り出し、そして構える


ゴンッ!鈍い音が境内に鳴る


そして、モンスターは塵となって消滅した。レベルは上がらなかったが、それも今は考える余裕のない達成感によって打ち消されていた


はっ、そうだ荷物を取りに戻らなくちゃ


俺は本来の目的を思い出し、誰も知らないただ一つの戦闘を胸の内に秘めたまま神社から出る。台車が少し凹んでいることは俺は気にせずに、危なげなく下山する。


ホームセンターに着くと、店員さんは慌てた様子で俺に駆け寄ってきた。何故なのかその時は分からなかったが、よくよく見ると俺は唇から出血をしていると聞く。恐らく盾にしていた台車と共に吹き飛んだ時に負ったものだろう


店員さんは俺に応急処置を施してくれ、預かってくれていた荷物も渡してくれた。俺はそれを受け取ると、台車にぎゅうぎゅうに固定した。こう、なんかもっとスタイリッシュにまとめられないものかと苦戦したが、1番ベストな形で収まったものでもかなり雑なものであった


ふぅ、なんとか一段落ついたな。にしてもあそこの神社ってスライムだけじゃないのか…

それにまだモンスターの目撃情報が他に出ていないことが不思議だ


スライムだけしか発生していなくて、茂みとかに隠れていることが多そうだからまだ発見されていないのなら分かるが、兎型のモンスターみたいに環境に変化が見られる場合のモンスターならすぐに分かるはずだし、ニュースにもなるだろう


俺はこのモンスターが急に現れる問題というか奇妙な体験をまだバレないうちは隠し通すつもりだ。変に浮くのは嫌だからな


朝からモンスター討伐に出かけたので、まだもう少し時間は余っているけどこれからどうしようか


俺はそうこう考えているうちに、電解水を購入した分のタンクを全て運び終えていて、ホームセンターに置いてある自転車を取りに戻る。もちろんランニングで下山するのだが、軽くジャンプをするだけで地面から1mは飛べるので楽しみながら走った

このシリーズの第2作目になります!

最後まで読んで頂きありがとうございました。もし良ければブックマークや応援のコメントをお待ちしております!

これからも投稿頑張っていきます(`・ω・´)

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