エピソード1 思ったより危険なスライム
--西暦23○×年--
地球は正体不明の突如現れた侵略者に強大な力で支配された。
--当時 日本内閣総本部--
栫井首相は緊急で開いた国内放送で語った
栫井「我々日本国民はこの国、日本国を放棄し天皇と共に殉死することをここに誓う」
当時の日本中がその国内放送をきっかけに一斉にざわついた。その時主流であった、maroonという新たなSNSアプリではその話題でもちきり状態であり、すぐにトレンド1位にのし上がったという。しかし、ざわついていたのは国内放送の内容だけではない。ほぼ同程度にトレンド数を獲得した、もう一つの内容があった。
それは、突如現れた謎の生き物のことだった。
仮にその生き物をモンスターと名付けることにし、そのモンスター達は日本の都会である東京・大阪で突然空に出現した不思議な穴から降ってきた
直ちに自衛隊や各国の防衛施設が束になって対応したが、どの優れた兵器はどれもモンスターに対する決定打にならなかった
そんな、世界の終焉のような光景が広がる中で日本のとある研究室では、先まで国内放送を行っていた栫井首相と研究員の白井が会合していた
白井「首相、お疲れ様です。あの研究の実行まであと二時間というところまで準備が進みました」
栫井「うむ、ご苦労であった。しかし、この研究を数十年かけてやってきたおかげか、このモンスター災害に対する唯一の解決策になることだろう」
白井「はい、不幸中の幸いとはこのことでございますね」
--西暦20○×年--
俺の名前は佐伯 誠 、大学2年生だ。ただ大学の講義や課題をこなし、週に2回ほどバイトを入れている。実家暮らしをしていて、趣味は運動とゲームだ。友達は、俺にしては多い方だと思う
ちなみに彼女と呼べるものはまだいない。
いや、一応言っておくがな、いないのではなくて作っていないだけだ。そこは勘違いしないでいてくれ
まあそれはいいとして、俺は昨日高校の友人と当時親友だったやつのパーティに行ってきたんだ。俺は京都の北の方にある、人口がとても少ない田舎暮らしなので、パーティ会場までは電車も合わせて4時間はかかった。往復で考えると一日の3分の1は移動に時間をかけたことになるな
今は、大学の夏休み期間中でこうやって自室の床で頭にクッションを敷いてゴロゴロと時間をつぶしているわけだが、何か面白いことはないのかと暇しているんだ
昼ご飯を食べ終え、毎日の日課のランニングをしに外に出る
田舎のせいもあるが、昼間は本当に人がいない。分岐点の山の頂上までいくのに30分はかかるが人とすれ違うのは1,2回だけだ
面白いことは急に来るものだ
分岐点にかかる時、いつも通り見慣れた神社に見慣れないものがぽつんと鎮座していた。
そうだ、ゲーム好きの俺はそれをスライムと名付けた
『いやいやいや、ん?どういうことだ、あのゲームとかでよくいるスライムだよな。いや、目も口もついてないしちょっとイメージと違うか?
いやそうじゃなくてだな、なんでゲームの中のモンスターが現実世界に実在するのかってことだよ!』
俺はランニングをやめ、とりあえずカバンにしまってあったタオルを片手に取り、汗を拭く
俺はスライムに怖気づくことはなく、ゆっくりと近づくことにした。念のために途中地面に落ちていた太めの木の棒を持ち、我流な戦闘態勢に入り、何が起きてもいいように腰を引きながら逃げる準備もしている。
『なんだ、こいつ。本当にあのスライムなのか、にしては綺麗で中が透き通っている。何かの宝石か澄んだ水の中みたいだ。この中に浮いてあるのが俗にいう「核」というやつだな』
俺は、好奇心のせいか馬鹿なのか疲れで自制心がコントロールできていなかったのかわからないが、スライムを倒す判断に至ったのだ。
我ながら、何をしているのだと後々気付くのだ。だってそうだろ、普通は警察なり自衛隊になり連絡するものなのに
強いて言うなら非日常を俺はずっと待っていたのかもしれないという事だけだな。
手に握った木の棒で、俺はスライムの中に浮いている核を狙って勢いよく棒を振り下ろした
が、スライムに触れた瞬間に棒は減速しみるみるうちにしなり、そして酸に漬かったように溶け、消滅した
『っつ、怖ええええぇぇぇぇ。危ない危ない、これ俺の肌が触れたら絶対溶けるやつだ』
俺は、そのスライムの危険性に足がすくみ戦意喪失した。5分程度、放心状態に陥りこいつは危険だと思い、すぐに山のふもとにある交番まで伝えにいくことにした
『急げ急げ、あんなのが他の人に見つかっちまうと最悪死人が出るかもしれねぇ。てか、ほんとにアイツはなんだよ、ガチのスライムだっていうのかよ』
俺は、いつも下山するスピードよりも速く走り、交番につく頃には足がガタガタだった
--経が岬交番--
はぁはぁ、やっとついた。て、おいマジかよ…
交番は閉まっていた。なにやら臨時の休みをもらうだと、それどころじゃないってのに、どうしよ俺今携帯電話修理に出してるし、家に帰るまでスライムを放置するわけにもいかないしな
俺はしばらく考えた後、スライムを討伐することに決めた。
木の棒がダメだったらと言って考えることをやめてはいけない。他に何かもっとあるはずだ、何か、何か………
はっ!そうだ、あいつの体液が酸性ならその液体を中性にすることが出来るんじゃないか?
...そうだ、あれを使おう
俺は強アルカリ電解水をもう少し走った先にあるホームセンターで買うことにする。この電解水は、高校の頃の自由研究で一回使ったものだ。その液自体の危険度は低いが、酸性の液体には良く効く
ホームセンターで2300円で売っていた。高すぎだろ…、と一瞬躊躇したが死人を出すわけにもいかなく携帯財布に入っていた3000円の紙幣を出し、購入する。店員さんが、不思議な顔をしていたのは見逃さなかった。だってさ、俺の格好って今ランニングしている人そのものだったから、変に思うのは俺だってわかる。
かなり大きめの容器に入っているため、これをあの山にまで運ぶのには一苦労しそうだと出鼻をくじかれたような思いをしたが、貸しようの台車が300円でレンタルであったから泣く泣く買い、なんとか運べる見込みが立った。ガムテープでしっかりと補強し、台車を手で押しながら走る
山上の神社に着いたのは、ホームセンターを出てから1時間たった頃だ
『さっきのスライム…はまだいるな。よし、この液体が効くことを祈るしかない』
俺は容器のふたを開け、全部かけてやる勢いで振りかけた。スライムに液体が触れると同時にスライムの核以外の体液が全てじゅうじゅうと肉を焼いたような音の後に消滅した
そう、核だけ残ったのだ。
『おお!効いたぞ、って真ん中の核だけ残ったのか。この核を潰すとスライムの討伐になるのかな。ゲームの中みたいに、ターゲットカーソルもないし、倒すことによって何か状況が変化する見込みがないからなぁ』
俺は色々その核のことについて考えたが、数分経つうちにその核からさっきのスライムと似た液体が出てきていることに気付いた。そりゃ、まだこの核を潰していないんだから倒したことにはならないよな
俺は大きめの意思を近くに見つけ、両手で抱え思いっきり天高くつき上げた。俺はそのまま天から重力+自分の腕力で全力で振り下ろす。
パリイイイン‼
核なるものが割れた、そして脳内にあのサウンドが流れはじめ、目の前には見慣れたようなどこかなつかしいような感じがする、半透明なボードが現れた
{モンスターの討伐を確認致しました。これにより、ステータスボードの実装が実行されます}
突然脳内にあの、スマホに搭載されているS○riみたいな声が響く
気持ち悪い
これが俺の第一の感想だ、初めての感覚で脳内が、この言葉の通り響く
てか、目の前にあるのがステータスボードか。なにやら数値が記載されている
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佐伯誠 20歳 男
役職:Not select
レベル:1
HP:6
MP:0
STR:4
VIT:4
INT:3
RES:2
AGI:6
LUK:2
スキル
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これが俺のステータスか?とりあえずHPから下の項目は全部ゲームしているから理解はできる。魔力に力、防御力に知力か抵抗力に素早さ運って項目もあるんだな。役職ってのとスキルは今はまだない感じだよな。スライム1体しか倒していないし、ってな、な、な、なんだこれは!!?
もう本当に現実味がないじゃないか。
俺はスライムを討伐し、ステータスボードを直接見したことで、この世界にとある異変が起こってしまうのかと脳裏をよぎる。地面に残る電解水の小さな水たまりを残さないために、足で砂をかき寄せ事後処理をする。周りを見渡しても他のスライムなるものはいなく、このステータスボードも意識を反らすと自動的に消えていたことに今気づき、このボードは意識を集中すると具現化することも新しくわかった。しかし、本当になんだったんだろうな。俺はまだ夢を見ているのかもしれない。変に、現実味のある体感や状況の移り変わりだったが、寝たら全て夢の話だったんだろうって思うのだろうと期待し、とりあえずは何事もなかったかのように、この神社を後にする
ずっと前から異世界系の小説を書いてみたく、初めての作品となります。面白くないかもしれませんが、頑張って投稿を続けるので温かい目で見守っていてください。