不穏な予感
食事を済ませた後、マロンとサンディは2階の職員室横の掲示板へ向かった。
「やっぱり、この時期だから収穫の仕事は少ないみたいね‥。あ、測量の仕事があるわ!1日で9000D!
3日もあれば十分なお金が稼げるわ!」
※1D=1円
いつもやってる収穫の仕事が高くて1日3000Dなのと比べればかなりの好物件だ。子供でこれだけもらえれば、好きなおもちゃや食べ物が買い放題だ。
「ねえ、サンディ。よく見てくれ。この仕事、5年生からしか応募できないよ」
マロンが指さしたところにはやや小さめの文字で、「5年生以上で、測量の実習を受けた者のみ」と書かれていた。
「それは残念だわ‥。もっといい仕事あるかしら?」
掲示板に貼ってあるのは3件だけだったがどれも高学年のみを募集していた。2人が諦めて帰ろうとしたところ、求人要項が学年連絡の掲示欄に紛れて1つ貼ってあった。
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求人絶賛募集中!!
どの学年からでも応募できる!!
1日ただ座って作業するだけで、3万Dの高収入!!
成果によっては増額も可能!!
交通費、食事、ボーナス、全て付いてきます!!
楽しい仲間たちがサポートします!!
詳しくは職員室まで!!!
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「サンディ、これは怪しすぎる。やめておこう。」
「‥えっ‥、あ、そうね‥。」
マロンがサンディのほうを向くと少しハッとした様子でこちらを見て苦笑いをした。
「でも、、なぜこんな怪しい求人が学校に‥」
その時近くを中年女性の先生が通りかかった。
「あの、先生!この求人見てください。この内容、怪しすぎます。誰かがイタズラで貼ったかもしれないんです。すぐに外して他の生徒の目に写らないようにしてください。」
「あら、そうなのね。分かったわ。後で外しておくから、もう教室に戻りなさい。授業が始まるわよ。」
気がつくともう始業5分前になっていた。
「よろしくお願いします」
マロンは先生にそういうと、サンディの手を引っ張って教室に向かった。
サンディと分かれて教室に入ると、みんなはもう席について机に向かっていた。
黒板を見ると
「午後の授業と放課後学習は急用のため、自習とする。『神々と我々リス族の関係』について原稿用紙10枚以上で説明とそれに関する意見を述べること。帰る前に紐で綴って教卓に必ず提出すること。1人でも提出しなければ、連帯責任とする。」
その下には美しい筆記体でクリーチャー・グリーグと書かれていた。
「マロン!早く席に着いて課題に取り組んでちょうだい!今日こそみんなで早く帰りたいの!」
クラスの女子がキツい口調でマロンに言った。
「分かったよ。今やるから。」
マロンはそういうと自分の席に着いて課題に取り掛かった。




