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Will I change the Fate?  作者: 織坂一
Overnight war
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impact-3




(待ってろ)


 北千住まであと少し。徐々にバイクのスピードは速度が上がる中で、前方にはちらほらと人影が見え始める。



「まさか……もう『生命の樹』の構成員がすぐそこに!?」



 そう、忘れてはならない『生命の樹』に所属する構成員の存在である。


 嫌な程に不安となるのが圧倒的な戦力の差で、実力こそ劣っても数が異様なのだ。流石に所属人数の5000人はいないだろうが、それでも数だけならば新撰組側の何十倍もある。


 しかし土方はそれに怯える事もなく、はっきりと母禮へとこう告げた。



「だったら、ちゃんと捕まってろ」


「?」



 土方の言う事が理解出来ぬまま、言われた通りにしっかりと捕まっていれば、バイクはそのまま人混みの中を突っ込んでいく。


 当然威嚇である事自明。だが、相手もそれを見越した上でか、この人混みを越えたその先に銃撃隊がこちらに銃を向けていた。しかし土方は背中に立て掛けておいた重厚な何かを銃撃隊へと向けた。


 母禮自身それが何なのかは暗がりで理解出来なかったが、明らかに土方が背後に隠していたものは銃火器の類のものだとは分かっていた。


 その母禮の勘は正しく、重厚な黒い銃火器へ重い引き金へと指を掛ければ、ガチ、と不吉な音が響くと同時に母禮は口にした。



「な、なんだそれは!」


「アメリカで最新式のガトリングガンをサブマシンガン近くのサイズに縮めたヤツだ。いいか?俺が撃ったら、アマンテスの奴がお前を上に上げる合図だ。ここは俺が囮になってやる」



 そんな最新式の銃火器がある事自体母禮は初耳だが、今はそんな事には驚いていられない。土方は片手でハンドルを切りながら静かに片手でライフル肩に担いだ。


 そして数秒置いた瞬間に、銃口を定めては乱射する。それと同時に空を飛んでいたアマンテスが一瞬降下し、母禮の腕を掴んだ。



「土方さん!」



 そのままアマンテスが母禮を引き上げた瞬間、母禮は自然と土方の名を呼んでいた。すると土方もその声に応えるように、一瞬こちらを見ては頬笑みを返した。


 そう、彼もまた託したのだ。母禮に自身の全てを。


 土方が高杉をどうこうする事は、自分の役目ではないと無論土方は分かっている。それは数時間前に母禮にどちらの世界を選ぶかを問い掛けた時だ。


 本来なら逃げる事も出来る。だが、何を犠牲にしようと仲間を守り、高杉の事も救うと言った。その母禮の決意に嘘はないが、そんな事など1人で出来るはずもない。


 だからこそ土方は新撰組の隊長代理として、母禮のその意志の半分を継いだのだ。何より、それこそ土方の守りたいものと合致していたのだから。


 そして宙を急いで飛行する途中、2キロ程飛行した所で、矢がこちらへと迫る。



「どうやら俺の案内はここまでだ」



 たった一言だけアマンテスはそう言うと、輪ゴムを弾くかの様に母禮の身体を遠くへと弾かせる。


 そして宙から地面へ落下するアマンテスの下に待ち受けるのは、恐らく50人近くいるであろう|魔術師達



「アマンテス!死ぬなよ!」


「ふん」



 母禮の忠告に、鼻を鳴らして答えるアマンテスだが母禮の安全性を優先した為、先程放たれた梓弓が左脇を掠った。


 しかしそれでも杖を顕現させては宣戦布告をする。欧州一の魔術師として。そして何より彼らの始祖である存在として。



「かかってこい、俺の子供(どうほう)達。相手なら俺1人で十分だ」

   





「これを使うといい」



 母禮が新撰組本部を抜ける途中、斎藤へ苦言を呈した後に追い掛けてきた樹戸に3枚のメダルと、同じく3枚の磁石板を渡された。


 用途は急いで為に雑だったが、あくまでこの東京スカイツリーに来るまでの補助の為らしい。


 それも正面や他の入り口は、まず突破などする事は出来ないからだ。入口を塞ぐ構成員を一々相手にしていたらキリがない。


 だからこそ入口を使わずに、恐らく高杉がいるであろう階に行ける移動手段という訳だ。


 しかもアマンテスが上手く弾いてくれたおかげで、自力で行く手間も少しは省けた。母禮の身体が落下する最中にメダルと磁石板を飛ばす。


 瞬間、真っ直ぐと紫電が走ればグンッと一気に母禮の身体が更に上へと引き上げられ、横へと視線を写せば、丁度最上階の高杉の自室近く。



「――ッ!」



 そして持っていた傾国の女を思い切り窓へと振りかざし、スカイツリー内へと突破する。ガラスの割れる中、何とか部屋の近くに流れ込めたが、これはほぼ奇跡と言ってもいい。


 無論、この時の超能力の演算は樹戸に頼り、演算を済ませた。室内へと入れば辺りを見回し、部屋の外へ出ては高杉のいるであろう彼の自室へと走り出す。


 先程案内された記憶だけを頼りに、母禮は高杉の自室へと向かう。無論彼はそこにいる訳だが、決して約束などしていない。


 否、もしかしたら再会と言った意味では約束通りかもしれない。だがどうしても先程交わした約束はあまりにも無情すぎる。


 だからこそ1度巡り合ったあの場所へ――そう思い部屋のドアを開けるその刹那だった。



「ようやく来たか」


 

 意を決した強く重い一言。一方高杉も、今の轟音を聞いて自室の入り口を見遣る。



「成程な、樹戸さんの力も借りてここまで来たってか」



 まさか自身の右腕が助力する事は計算外であった故に、小さく自嘲交じりに苦笑する。だがそれでも高杉は、如何なる理由があるにせよ、この場に乗りこんでくるのは母禮だけだと確信している。


 そして、いよいよ決戦場となる部屋の扉が開かれる。



「よう、よく来たなお嬢さん……否、大鳥沈姫。この俺様の前に立つ意味は分かってるよな?」



 先程の気軽さなどどこにもなく、はっきりと強い意志の取れる重い声とたった1つの問い掛け。勿論母禮は目の前に立つ高杉を見据え、同じく意を決してこう言い放つ。



「当然だ。()がここに立っている理由は――……」



 そう、理由などただ1つ。これこそ大鳥母禮…否、大鳥沈姫が辿り着き、自身の意思で切り開いたたった1つの真実(こたえ)



「高杉灯影……貴方を救う為だ!覚悟しろ!」




.

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