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Will I change the Fate?  作者: 織坂一
Overnight war
75/102

triumphal return




 時刻は午前2時35分。


 そろそろ濃かった夜闇が除々に蒼に変わる頃、根城の勝手な行動から始まったこの戦争は始まって既に1時間は過ぎていた。


 そんな中、高杉灯影は自室でお気に入りの椅子に座りながら、ただただ時が経つのを待っている中で、夜中にして部屋の外はとても騒がしい。何せ首領を除いた構成員3人が不在なのだから。


 すると、部屋のドアを強く叩く様子に、高杉は苛立ちを覚えながら「どうした?」と入室許可を出す。


 入室許可から0.何秒と錯覚させてしまう程、ドアはすぐに開いた。すると慌てた様子の偵察班が息を切らしているが、対する高杉は未だ落ち着いた様子のままでこう投げかける。



「勝手にドア叩いて入ってくんじゃねーよ。……んで?何の用だ?」


「只今、ようやく外の連中と連絡が取れました!」


「ああ……」



 恐らくは1時間前に出した、幹部への出撃命令の事だろう。しかし、興味なさげに高杉は半分流しながら続く報告を聞く。



「根城様は新選組本拠地近くで死体となって発見。特に目立った外傷もないようで、樹戸様は新選組と交戦後回収、影踏様は郊外の花園神社での爆発に巻き込まれたとの情報です!」


「それで?」


「は?」



 思わず呆気ない声を漏らす偵察班だが、それ以上に高杉の声音の方が呆気ない。だが差があるとすれば、この時高杉の声音には若干苛立ちも含まれている。


 そしてその鋭い目つきに、怒りの色を混ぜながら偵察班を睨んではこう返す。



「それだけしか話はねーのかって話だよ。今はあいつらの様子が重要なんじゃねー、新選組の様子を見て来いって俺様は言ってんだ。分かるか?」



 氷の様に冷たい眼差しで、偵察班の部下を睨めば部下は恐怖に怯えたのか直立したままだ。その様子にいよいよ高杉は溜息を吐く。



「もういい、今は新撰組の動きとこちらの勢力を固めろ。恐らく向こうは朝方にでも攻めてくる。さっさと配置しな」


「はっ、はい!」



 指示を受けた部下は、そのまま足早に高杉の部屋を立ち去った。バタン、と閉まるドアの奥で高杉は思案する。


 恐らく根城のは樹戸によって仕留められた。これは樹戸に「殺せ」とは命じていないが、樹戸ならば必ずこうすると分かっている。


 何せ高杉も、命令に逆らえば殺すと予めに予告はした。だから別段根城を今ここで失おうと、正直興味もなければ、どうでもいい話。だが、それ以上こみ上げる困惑はあった。



(それにしても樹戸さんと影踏がやられるとはな……かなりの痛手だぜ、こりゃー……だが、向こうも向こうで痛手を負ったのは確かだ)



 なら――と胸中で呟くと自室から出て、そのままガラス張りの廊下を渡る。暫く歩き続けた先にとある部屋の前で静止する。



 ここは樹戸が密かに設計した、彼の研究所の一部だ。しかしここでは彼の演算補助のスーパーコンピュータしか設置しておらず、部屋の鍵は勿論樹戸しか持っていない。


 だからこそいくら高杉でも鍵が無い以上は、入室は出来ないのだが、今はそんな悠長な事を言っていられる暇はない。



「ちっ、開けるのも面倒だな」


 

 苛立ち交じりに舌打ちをすると左足を軸にしては、そのまま思い切り右足で部屋のロックを蹴り破った。その為警告音が鳴るが、その警告装置さえ手で叩き壊しては奥に進む。


 これも樹戸自身が上手く部屋をカモフラージュしていた為、鍵の設計を重視していないからこその奇跡とも言っていい。だが、そうだとしても普通は破れない。


 一方高杉は急いでそこにあったパソコンに電源を入れては操作し、そこでUSBケーブルを差込む。そして自身のスマートフォンに樹戸の研究データを転送し、暗証番号を入れてはロックさせる。


 今高杉がしたのは、樹戸の超能力の演算方法の奪取だ。普通なら影踏の様にスプリクトが必要となる為、今そのスプリクトを使えるのがこれしかなかった。



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