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Will I change the Fate?  作者: 織坂一
Overnight war
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equivocalness-2




「しまっ――」



 立て続けに迫る連続攻撃。回避を見誤り衝撃波を食らってはノーバウンドで吹き飛ばされ、更には地面から顕われた鎖で拘束されてしまう。


 鎖は巻きつくアマンテスの身体に徐々に圧を掛け、いよいよ右腕が軋み折られる。



「ぐァアアアあああああああああああああ!」



 アマンテスの盛大な悲痛を他所に、影踏は腕時計に目をやる。今、戦いを開始して丁度3分が経過していた。


 序盤不利だった状況を敢て作り、今やこうして欧州一の魔術結社の長と互角に戦っている影踏。しかし噂よりも大した事などないと鼻で笑いながら、影踏はこう言った。



「今、戦い始めて丁度3分だ。お前は5分で終わらせると言ったが、惨めすぎるな。どう?これが科学と魔術の本領だ」



 結局、世界で指折りの魔術師だろうと、空想に空想をぶつけようとアマンテス(かれ)は軍神の足元にも及ばない。それが今こうして図となっている。



「詰まる所、現実と非現実の曖昧なバランスこそが丁度いい。日本で言う太極が1番いい例と言っても構わない。さて……どう潰すか」


「ッ……!」



 不吉な笑みと、勝手に進められるアマンテスの処遇。それを聞いた瞬間、アマンテスの中を迸ったのは単純にとある疑問と怒りだった。



(死ぬのか?)



 胸中で苦渋を噛みしめながら、アマンテスは呟く。



(このまま何も守れぬまま、欧州に残してきた民の元に帰る事なく俺は死ぬのか?)



 今自分は敵に拘束されている身。動く事も出来なければ、そもそも利き腕である右腕さえ使えない体たらく。しかしそうであっても、それだけは絶対に望まない。


 そもそも『生命の樹』にもイギリスやフランスなどの欧州出身の魔術師が所属しているのだ。


 今は敵同士と言え、全て終わった後で彼らを残して死ぬのはどうしても嫌だった。だからこそアマンテスは考える。この曖昧なバランスの弱点を。



(必ず答えはあるはずだ)



 そう苦渋を噛んで思考を巡らせた今、ある事を思い出した。そう、あの時南條の言っていた演算方法についてだ。


 超能力使用の演算方法は、複雑すぎる故に人間1人の脳では賄えないという絶対的な弱点がある。


 それだけでも脳に掛かる負荷は相当なものだろうし、そもそも魔術のノーリスクで術式を発動出来る訳ではない。


 正しい知識、魔力の放出量、そして最も大事とされるのは術式を出しても耐えられる精神力。これが必須な上、系統の違う魔術を連続して出す事もまた上級者の魔術師しか出来ない事。


 更には時と場合に応じて術式を組まなければ、魔術など発動させても何の意味もない。



(だとしたら、今のこいつは精神的にも身体的にも限界を迎えるその瀬戸際のはず)



 そうアマンテスは考えた。だが真意を掴む為の材料が足りない。


 そして何より、先程見えた紫電。


 恐らく方角からしてみれば、新撰組本部近辺なのは確かで、事実アマンテスが新撰組の本部を出たときに、花村と別れていた。


 これらの状況から、もう花村がもう1人の幹部――つまり樹戸を相手にしているという事は、先程の南條の情報から読みとれる。


 アマンテスは花村がサイボーグだという事は知らないが、それでも花村が呆気なくやられる様な人間ではないだろうという確信はしていた。


 例えそれが武力兵団であろうと、何であろうと、生身の人間であれば花村(かれ)に対抗するのは無理だろう――なんて根拠のない確信さえも、この窮地では湧き出てくる。




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