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Will I change the Fate?  作者: 織坂一
Overnight war
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Two people who were full of science-2




そう樹戸が呟いた瞬間、宙を舞う粉が突然発火し爆発した。そしてたちまち煙がこの場を包んでいく。


 粉が爆発したその刹那、視覚阻害を防ぐ為に身を守っていた花村は微かにこの現象の正体を口にした。



「シンクロトロン……!?」



 シンクロトロンとは、謂わば加速器の事である。


 粒子の加速に合わせ、磁場と加速電場の周波数をコントロールする加速器が主とされる。ただこのシンクロトロンだけでは、こういった爆発を起こす事はまずない。



「原理はそれだが、()()()()は高エネルギー同士での爆破というのが正解かな。何せアルミウムを磁場に置き換え、超高速で粉塵を加速化させたのだから」



 要は樹戸が撒いたのはただのアルミニウム。だがそれを彼は一瞬にして磁石へ置き換え、何もないこの一帯の粒子を誘導して爆発させたというのが種。


 続いて風船が割れる様な、甲高い耳触りな音が響くと、花村の皮膚に火の粉が付着し発火し始める。


 これは今のシンクロントンの理屈ではなく、粒子の爆破によって消費された粉末を更に分解し火種として振り撒いた。こうとなればもうこれは火災の域で、この異様さに思わず花村は息を呑む。



「ッ!」


「おやまぁ、大変なご様子で」



 続いて爆風の中から脚が飛び出てきては、そのまま花村の身は後方へと吹き飛ばされた。樹戸の脚と花村の身体は触れていないのにだ。


 これ以上樹戸から追撃はなかったが、軽く数メートル吹き飛ばされた後、巨体を起こして花村は考察する。


 南條の言っていた通り、超能力使用において、向こうは多大な演算能力を使用する事となる。今起きたこれらの不条理を正気に正すには、それだけの事をしなければならない。


 それをただ1人の人間の脳で補う事は普通ではありえないし、出来るはずもない。だとしたらこの男も高杉影踏と同じく外部からのスプリクトで補っているという考えに基づいた。


 そう、今の蹴りさえもそうだ。足は身体に一切触れていないというのに、190もある大男を倒したのだ。だとしたら、普通の格闘術であるはずはない。故に花村の憶測はこうだ。



「今、お前身体に()を張ったな?空気と摩擦を相殺させて、相手にぶつけた上で念動力でふっ飛ばすとは……全く、怖いねぇ」


「それを一発食らっただけで理解する君も相当頭が切れる……いや、科学に長けているのか」



 花村はこの超常現象をその身に食らう中で、まるで手品とも言える攻撃の1つ1つを完全に理解している。


 影踏の粒子型高速光線砲の時もそうだが、花村自身科学や超能力に於いての分野には長けている。だが、そんな理解よりもっと恐ろしい事があるのだ。



「まぁな。ただよ、お前。どこで演算している?」



 そう、ただ理解する事よりも、理解した上でそれらを具現化する方が余程恐ろしい。ましてや今の攻撃手段から見て、一瞬のラグなどない。


 一見何気ない問いかけだが、解答によっては恐ろしさしか感じさせない。珍しく樹戸は一瞬目を見開いた後にくすり、と小さく笑う。



「無論、自分の脳でだよ。少しだけ外部からのスプリクトをしているがね、ほぼ9割8分は自前だ」



 樹戸の解答に思わず花村は、冗談じゃないと固唾を呑んだ。


 ただこれら全てを一瞬で理解するだけでも普通は苦労するどころの話ではない。先程のシンクロトロンも念動力を利用した衝撃も、本来なら機具などを用いるもの。


 なのに機具の1つさえ使う事無く、これら全ての反則技を自前で顕現するなど、未知の化物。そしてそんな未知の化物である科学の結晶はこう続ける。



「私は元々とある研究の被検体だったのだが、研究者として独り立ちする頃に丁度趣向を変えたんだ。まぁ、こういう事を起こすのにも何百、何千、何億の演算が必要となるからね、少し神経を活性化させるブツにも頼ったが」


「まさか神経(ナーヴ)促進剤(プラス)、か……?」



 花村が言う神経促進剤(ナーヴプラス)とは、人間が神経を伝い脳に情報を送るスピードを早める薬剤の事。しかしそれは決して合法ではなく、脱法ドラッグに近い。


 それらの薬剤の摂取をしても尚、まだ脳が動く事もまた異常。まさかとは思ってはいたが、樹戸は花村が想像していた予想の遥か上を行っている。


 恐らく、同じ超能力者である影踏でもこうはいかない。それは事実で、先程の「私の場合は」という言葉がその証拠だ。




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