ahead
「……で、何でお前ら全員俺の部屋まで来た訳?」
あの後、比企達4人が訪れたのは花村の自室だった。
先程第8部隊は任務を終え帰ってきた為、休みたいというのが花村の本音だったが、事態が事態であり時は刻一刻と争うのだ。
なら仕方ないと、コンビニで買ってきた弁当を片手に部屋に集まった比企、斎藤、南條、アマンテスは質問を投げかける。
「まず、粒子型高速光線砲ってなんだい?花村クン」
「あ?そんなの名前の通りだよ」
そう花村はぶっきらぼうに返すが、科学について素人である4人にそれが理解出来るはずもない。故にアマンテスが不服そうにこうツッコみを入れる。
「それだけで分かるか、この阿呆」
「うるっせーな、このクソガキ。まぁ簡単に説明すると、だ」
アマンテスの悪態を避けてもぐもぐと食べていたコロッケを飲み込んで、花村は説明する。
「ただの光線と言いたい所だが、中身は電子と粒子を掛け合わせたモンってのに近い」
そもそも、電子は素粒子によって構成されている。本来ならば、それを光線として叩き出す前に分解してしまう。
だが敢えてそれを逆手に取り、分解された粒子を電子の波形を設定し、強制的に叩き出す事で初めて光線になるのが大雑把な論だ。
「簡単に言えば、荷電粒子砲だよ。少し前まではオカルトだったが、実用性を考えないなら今でも出来るっちゃ出来る」
しかしここで花村は、「だが」と続ける。そしてそれを止める者はどこにもいない。
その粒子型高速光線砲が荷電粒子砲なのは分かったが、あくまで荷電粒子法は実用性を考えないならばと花村は言った。詰まる所、掛け合わせる何かが必要とされるのだ。
「だが光線を安定させて飛ばすならな、荷電粒子は磁場がキモになる。難しい事は省略するが、多分そいつは磁石を入れた金属板を使ってたはずだぜ。しかも特殊性の」
荷電粒子を目的の対消滅に至らしめるには、他にも運動エネルギーを必要とするなど、複雑な過程が多く存在する。
それを1つ1つ対処出来たかは知らないが、所詮超能力と言われれば、自然の摂理など簡単に捻じ曲げられる。そして花村はもう1つの謎について推測した。
「で。拳銃の弾が効かないのは憶測だが、空気の回旋が妥当だろうな」
「空気の回旋?」
「わざと空気中の窒素やそういった成分を1枚の盾にして、攻撃を食らうと思ったその時に僅かに重力と空気の回旋を起こして、対象物とぶつけちまうっていう論理だ」
「だとすれば、相手は超能力を使うというより魔術師の様な者だとでもいうのか?」
確かに影踏の素姓を聞き、今の説明を受けただけだと見てくれは魔術師だろう。
だがもうこれでは超能力者は魔術師同様、ある種の超人錬成だ。
世間で俗に噂されるサイコキネシスや透視能力よりも、圧倒的に汎用性が高く、こういった戦闘のような荒事にさえ利用出来てしまう。しかし南條はアマンテスにある事を指摘する。
「いや、違うよアマンテスクン。花村クンが最終的に言いたいのは、それをどこかで作動させる何かがあるっていう話だ」
「どういう事だ?」
「確かに話を聞けば、超能力者イコール超人。しかしそうであってそうじゃないのは、その力を使用する為のコンピューター」
南條が言いたい事はつまりはこうだ。
魔術は霊気や術者自身の魔力を込めて、魔術と成されるが、超能力にはそれがない。要はその根源となるきっかけはどこにあるかという話なのだ。
「これは僕の予想だけど、相手はその能力具現化において魔力の様な気ではなく、多大な演算能力を使用しなければならない。それこそスーパーコンピューター以上の」
でなければ、そんな超人技など出来るはずもない。否、例えスーパーコンピューターが何台あったとしても、処理はまず難しい。
「だとしたら、それは人間の脳じゃなくて、脳味噌とコンピューターに繋げた方が早いって話だろう?」
「そういう訳よ、大体分かったか?」
「ああ、疲れた中説明ありがとう」
南條の解説もあってか、花村の解説の後はすんなりと話が進んだ。南條の憶測に花村が肯定すれば本題は終了。それを一旦、比企が礼を言う形で締めくくる。
だが、今のはあくまで前座に過ぎない。本題はここから先の事である。それを花村はこう促す。
「そりゃーどーも。但しトリックが分かったとしてソイツと戦う時、どう相手すんだよ?」
「決まっている、叩き斬るのみだ」
.




