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Will I change the Fate?  作者: 織坂一
2. Fate to disappear
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 影踏の一言と同時に、浮かび上がるのは光球の様なもの。これこそ先程地面を抉った手品とやらなのは一目瞭然。


 隙を与える事もなく、銀色の小さな板が空中に舞うと2つの光球から光線が発射され、それは斎藤の首元と脇腹を掠める。



「――ッ!」

「斎藤さん!」



 間一髪で斎藤は身を捩ってこれを回避するも、それこそ奇跡に近い。そして斎藤はこの時、ある事を予測する。


 攻撃(アレ)を食らえば、恐らく弾丸が撃ち込まれたかの様に射抜かれる。最悪良くても火傷を負う事に違いはない。


 そして何より影踏は斎藤(じぶん)よりも、母禮に対し敵対心を向けているのは確か。だからこそ守らなければならないのだが、今の一撃で母禮と僅かな距離が空いた。


 一方、母禮が斎藤に手を伸ばした瞬間に、今度は母禮をめがけて、幾つもの光線が光球から降り注ぐ。



「避けろ!沈姫ッ!」



 斎藤は叫ぶが、それよりも早く光線が母禮の身体を射抜いた。それこそ母禮が動くよりも速く、幾つもの光線がそのまま母禮の肩と足を焼く。



「なッ……?」


「沈姫ッ!」



 速度としてはそれこそ一瞬。否、恐らく本気を出せばそれこそ光の速度の如く、アレは自分らを射抜いた。


 斎藤は叫び、同時に懐にある拳銃を抜くが、射程距離から遠く離れていた。しかしそれでも撃ち方によれば距離の誤魔化しが多少は効く。故に、影踏がが1歩踏み出した瞬間に引き金を引いた。


 パァンッ、という乾いた音と共に、聞こえたのは薬莢がコロコロと落ちた音だった。



(捉えた!)



 今確実に斎藤は、影踏の眉骨を射抜いた。それだけの感触はあった。しかしよく見れば、地面を転がっていたのは、薬莢ではなく弾丸。


 それに思わず斎藤は目を見開くが、影踏は驚く素ぶりさえ見せずに、淡々と呟く。



「残念、俺は()()()()特化しているからな。伊達にそう破られるような手段は選ばない」



 斎藤は思わず目を疑う。確実に隙だらけである瞬間を狙ったのに、何故両手で塞ぐ事も無く攻撃を避けているのかと。



「アンタは一体何を……」



 人間離れの所業に、もう呆気に取られるしかない。それに対し影踏は一匙の慈悲でもくれてやると言わんばかりにこう返す。



粒子型(りゅうしがた)高速(こうそく)光線砲(こうせんほう)、と言っても理解できないか。じゃあ、さようなら。次会う時はきっと決戦の日だ」



 そして影踏は、もう1歩地面を踏んだだけでで斎藤の横に並び、斎藤の後ろで倒れていた母禮を抱える。



「ま……ッ!」



 思わず斎藤は「待て」と言い掛けるが既に遅い。影踏がもう1歩足を進めた瞬間には、既に20メートルは離れている。

 


「待て……」


 


 あまりにもこの短い間に度重なる驚きばかりが斎藤の動きを止めてしまった。


 本来であれば仕留め切れていたのに、寧ろ返り討ちにあったどころか、様々な謎だけを残して2人は既にこの場を去っている。


 母禮(かのじょ)だけは守るのだと。そう誓ったはずなのに、彼女は既に自分の隣にいない。


 その残酷すぎる現実が、あの時の出来事を思い返させる。



「だからアンタが貴女が俺の心を殺すというのなら喜んで死のう」



 待て、まだ斎藤所以(おれ)は死んじゃいない――そう言って地面に爪を立てる。



「貴女が俺の免罪符になるというのなら、喜んで受け入れよう」



 待ってくれ、斎藤所以(おれ)の唯一の贖罪を奪わないでくれ――と歯を食いしばる。



「俺は貴女を守り抜いて死ぬ」



 母禮(あなた)が側にいないなら、もう斎藤所以(おれ)には存在理由はない――そう、空虚が全身を駆け抜ける。故に彼は声を上げた。



「沈姫ィイイイいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」



 然してその虚しい叫びは、暗がりを見せつつある空に掻き消えただけだった。




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