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Will I change the Fate?  作者: 織坂一
2. Fate to disappear
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 呆れた様な態度を取る遊佐と、無言になる斎藤。場の空気と共に急に態度が豹変した2人へ母禮は質問を投げかけた。



「あの人、とは?」


「ウチの情報課のリーダーでありながら、国際指名手配犯の南條(なんじょう)筑紫(つくし)。自身で完成させたプロテクトサイバーという特殊な回線を生み出した天才でさ」



 母禮はこの南條という男の名前を聞いた事はないが、この南條筑紫という男はある方面ではかなりの有名人である。


 彼の華々しい犯罪歴(れきし)で最も新しいのが、7年前の某大手金融機関のデータ漏洩事件。


 ある日某大手金融機関で、顧客名簿から顧客の契約内容、挙句にはその銀行のHPをアクセスした全員の端末やパソコンの機密情報が全て抜かれた。


 しかしこの事件は、この金融機関の情報部に盗聴器が仕掛けられていた為、その盗聴器を仕掛けた業者に罪状を科せられた。


 だがそれは南條が自ら作ったフェイク。彼はこの金融機関のありとあらゆるデータをクラッキングし、更にはウィルスで一般人のデータすら巻き上げた。


 それだけでなく、彼自身幼い頃からハッキングをし、更にはダークウェブでさえ取引を行ったという。そんな彼が21歳にして手にした金額は軽く30億を超えている。


 だが、その後あの某大手金融機関の顧客データに南條の名前があり、そこから怪しいと睨んだ新撰組の情報課によって、南條は今までの華々しい犯罪歴を取り上げられた訳だ。


 しかし彼はハッキング能力だけでなく、機材のシステム全般のメンテナンスからデータ隠蔽の能力が高い事もあり、裏で新撰組に引き取られた。



「独自の回線を世界中のネットワークに常に組みこんで、更には外部からは一切データを傍受させないナンシーシステムなんてものも生み出してる」



 ネットワーク上に回線を繋ぐ事は、そう珍しい事ではない。だがこのナンシーシステムはその規模と安全性に関しては汎用性が高すぎたのだ。


 だからこそ新撰組の情報部は総数で40名しか所属していないのに、犯罪検挙率は警察機構の中でトップを誇っている。ここまでくればある種の天才なのだろう。


 母禮はその規模の大きさに唖然とするが、しかしそれにしても何故かそんな大物に対し諦めの意を含む2人がいる。否、これは新撰組の隊員全員の総意である。



「多分この世で起きた事件の情報なんて常に掴んでるんじゃないかな?ネトゲやソシャゲばっかせずに仕事をちゃんとしてれば」



 思い出すのも辛いのか、大きな溜息を吐く遊佐。確かに彼は優秀だが、普段の仕事への執着がない。故にありとあらゆるズルをし尽くすのだ。


 その為、触れてはならないグレーな部分にも足を踏み込むのが仇となって、現場を任される隊員は時々危険な任務に追われてしまう。


 母禮にはその深刻さが理解出来ない故に、ただ苦笑するだけに思いとどまった。



「……凄い人なのか、それともダメ人間なのか……」


「多分後者だと思う。けれど今頃は土方さんから敵勢力監視指示(ラストチェック)の指示が行ったんじゃないかな?」


「だろうな。だとしたら決戦は……」


「早くて、後3日。妥当な所じゃ5日後がヤマだと思う」


「待て、遊佐さん!その怪我をたった5日で治る訳がないだろう!」


 

 南條がこの後、本当に東京スカイツリーこそが『生命の樹』(かれら)の本拠地なのかについての割り出しは、既に遊佐が予想した通り出されていた。


 だがそれを抑えるのは斎藤達であるのだが、新撰組内で精鋭揃いの第1部隊が壊滅状態とは相当な痛手。しかしだからと遊佐は、自分も戦列に加わるという。


 それを聞いて母禮は身を乗り出すが、遊佐は母禮の額を叩く。



「誰に対して物言ってんの?僕は新選組の第1部隊の隊長だよ?怪我なんてただのハンデ。今まで負けた事なんてないし、そこにいる所以さんと同じぐらい……いや、それ以上かな?それだけ強いんだからさ」


「遊佐さん……」



 などと言葉を交わしていれば、コンコンとノック音が部屋に響き、面会終了時間の報告を受けると、母禮は遊佐に手を振りながら言った。



「では、またな。遊佐さん」


「うん、じゃあね」



 そのまま病室を後にすると、同時に斎藤はどこか影を落としたままな状態が続いた母禮へ「大丈夫か?」と声をかける。すると母禮は力無い笑みだけを返す。



「うん、多分平気。少しでも私達にも救いがあるんだって思ったら落ち着いた」


「そうか……」


「そういえば」



 遊佐の病室を出てから、病院の正面玄関に向かう中で1つ疑問に思う事があった。というよりも出来てしまったものがある。



「新選組では確か、第1部隊から第3部隊までが相当な実力だと聞いたけれど、斎藤さんは結局遊佐さんより強いの?」



 ふとした質問だが、確かにこれは怪しく不透明な部分である。


 隊員の間での噂では、遊佐こそ最強だが、斎藤はその寝首を欠ける残虐性があると評されていた。それに対し、斎藤は淡々と答える。



「どうだろうな、だが経験では恐らく俺が上だろう。遊佐は確かに天才だが、俺よりも歳が上な事もあって新選組一の剣腕だと噂される。巷の噂によれば、昔は剣道道場で免許皆伝を取ったとかなんだとか……」


「え?遊佐さんって斎藤さんより歳が上なの?」


「ああ、俺が18で遊佐は確か22のはずだ」




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