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Will I change the Fate?  作者: 織坂一
2. Fate to disappear
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meddling-2




「何……?」


 今の一言に対し眉を顰め、声を低くする土方にアマンテスはこう告げる。



「もう、この瞬間にも…だ。奴らは魔術・科学両方の道を使い、世界を動かそうとしている。所属人数は5000人と人数のみ圧倒的だけならまだしも、異端者が数人いるだけでも組織自体は変わるのだ」



 アマンテスの言う通り、確かに『生命の樹』は武力だけにならず、魔術師や科学者の出入りさえ認めている事は、既に世間に明かされている。


 (アマンテス)に依頼が来たのも、恐らく魔術師絡みだと土方は推測する。何せ母禮から聞いた話の通り、彼はある種、現代の魔術の始祖とも言えよう存在なのだから。


 一通りのアマンテスの忠告を聞き終えれば、土方は再びアマンテスを一瞥する。



「それについては否定はしねぇよ。ただ、テメェも新撰組(こっち)に協力するって形でいいんだな?」


「ああ。もし俺をペテン師と呼ぶなら、欧州全土から全魔術師を派遣しても構わん」


「ハッ、そりゃぁ心強いモンで」



 アマンテスのあまりにも堂々と真正面から構える姿勢に対し、それを土方は鼻で笑う。だがアマンテスはそれに嫌な顔など1つせずに、低い声でこう返した。



「だから教えて貰おうか、その作戦というものを」





 完璧に配置された隊列は、東京タワーの近くの駐車場の辺りでバスを盾にし、第1部隊が既に包囲済みであった。


 今回は重要作戦である為、剣客隊だけでなく銃撃隊も戦線に控え、遊佐は突入の合図を慎重に見計らっていた。


 現在時刻は午前4時24分。命令であった4時30分までは東京タワーの外で待機しているのだが、遊佐はこの時薄々何かがおかしいと勘づいていた。


 この時間なら無人なのは当然。だがここには『生命の樹』の隠れ蓑である以上、施設内は一部改良が施されているのは報告されている。


 なら何故外に部外者がいるというのに、内部のにはそれに気付かないのか。


 あまりにも無知を装うその姿勢が、どうしても遊佐の中で落ちない。疑惑が膨らんでいく中、刻一刻と、作戦決行時間を待つ。


 そして、午前4時30分。作戦は開始される。



「突入!」



 入口を破壊した後、1階にある出入り口を完全に封鎖しては各階へと登っていく。


 ここは2階に水族館を備え、水族館のすぐ横には大型エレベーターがある。そこから第1展望台、更に上にあるのが最上展望台。狙いは第1と最上階までの範囲だと予測し、そのまま階段を駆け上がるが、どこにも証拠となりそうな物がない。


 それも当然。だから各階を細かに捜索するが、報告にあったはずの建造物の改造の痕跡さえ見つからないのだ。



「隊長、現在ここ1階から最上階までは特に何もないとの報告が」


「なら、第1展望台から最上階までに別の仕掛けがないか探して」


「はッ」



 遊佐の言う「仕掛け」とは、爆弾などの爆発物や危険物の事である。


 もし隠れ部屋や実験の痕跡があれば、それらは証拠となってしまう。運良く見つからなかったとしても、自身の身を脅かすなら排除するのは当然の事だ。



「遊佐隊長!」



 一方、このやり取りの後に無線で連絡が入り、無線機を取ればチッ、チッ、チッという不吉な音がノイズと共に僅かに混じっているのを遊佐は聞き逃さなかった。


 ()られた――遊佐の予想は見事的中したのを悟ると、無線機に向かって、遊佐は大声で指令を出す。



「全隊員に告ぐ!!すぐさまここから撤退し――」



 と彼が指令を出したと同時に、この東京から、東京タワーが消滅した。





「東京の方はどうにかなったようですね、樹戸さん」



 一方、京都の比叡山延暦寺の鳥居の中での事。ここで配備されていた警備員と僧侶らがあたり一面血の海の中に沈んでいた。


 血の溜まりを踏みながら、屍を蹴り飛ばす長身の女は、無線機で定期連絡を入れていた。



「日本の霊脈の一部の解放……果たして、これには一体何の意味があったんでしょうね?」



 先程、この女は樹戸の名前を口に出し、現に彼女は同じ幹部である樹戸に対し、任務の完了を報告している。そう、彼女もまたかの『生命の樹』に於いての幹部かつ女狼。


 しかし女の問い掛けに樹戸は説明などしなかった。小さな嘆息と共に、ただ手短にこう返す。



「仕方ないだろう。灯影の持つ“アレ”と生命装置を、この国全てに影響させる為には必要な事なのだ」


「成程。で、もう全て制圧したという事で構わないんですか?」


「ああ。二条城、金閣寺、比叡山延暦寺と京都の3つの霊脈は確保した。残るは東京。後は何事もなくこちらに帰って来てくれれば何も問題はない」


「了解しました」



 ピッ、と通信を切ると、女は血溜まりの中を意気揚々と歩きながら、不気味な程まで口角を上げる。



「こっから迷走が始まるってかぁ?ハリー、ハリー、ハリー!全てぶっ殺すまで楽しみで堪らねぇよぉッ!」



 嬉々とした声音と裏腹に吐き出された汚れた言葉は京都の空に消え、一方東京にある新選組本部では戦慄が走っていた。



「只今のニュースで、午前4時半頃……2時間前です。先程、東京タワーが爆発されたとのニュースが――……」



 このニュースを新撰組本部で見ていた、土方とアマンテスは言葉を失う。目を見開く土方の傍らでアマンテスは眉を顰めて低く言った。



「……早めにと俺も先手を打ったが、向こうが更に先に先手を打っていたとはな」



 日本で前代未聞の大ニュースが全国に流れると同時に、時代も傾き始めた。



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