~選ばれたのは、異世界での家畜でした~
「誰だ、お前」
鋭い言葉といっしょに向けられたのはまぎれもない殺意。つまり剣でした。
ヘイナイスボーイ!あとそこにいるナイスミドル!誰だと聞かれれば答えましょう。
ぽっちゃりマシュマロ天使な林檎さんですよ。あ、林檎って名前なんです。珍しいでしょ?御年18歳!18禁も解禁されます。そして見よ、このマシュマロボディ!もっちりもちもち肌!どこを揉んでも柔らかい!しかも今ならお供の可愛い子豚ちゃんまでついてくる!
「ブヒッ」
非常食にぴったりですね!
「ブヒッ!?」
「だから助けてくださいお願いします神様仏様ヤ○ザ様ぁ!」
「そんな道理が通ると思ってんのか」
「デスヨネー」
思うにここは協会ですね。
おっかしいなー
さっきまで自分の部屋にいたはずなのになー
夜中水飲みに台所に行ったらゴキ○○が出たからびっくりしてすっこけただけなのになー
それにしても誰だろうこのイケメンなナイスボーイは…右腕包帯でぐるぐるだけど。
「どうやって入ってきた」
「どうやってというか自分でもよくわからなくて……このキュートな豚ちゃんのせいですかね」
「いっしょに焼き豚になるか?」
「すみません冗談です!豚ですから焼かないでください!」
え、なんでちょっと微妙な顔するんですか。子豚ちゃんもなんでそんな目で見るの?
「ブヒィ………」
気にすんなよ、お前は充分良い女だぜ、みたいな声出されても。
「いや言ってねえだろ」
「え、なんで今思ってることわかったんですか?まさか…エスp「全部声に出てるぞ」申し訳ありませんでした!」
もうだめだ。五体投地して全力で土下座する。なんでだ?私の人生に何があった?
「丁度良い。入れるか」
「え、何を!?どこにですか!?」
ぐいっとつかまれて無理矢理歩かされる。待って待って林檎さん心の準備が追い付いてない。
「どう入ったかは知らねえが、ここはケプル神を祭る聖堂だ。悪魔か聖職者以外は入れるわけがねえ」
「セイショクシャデス」
「つまりお前は悪魔ってわけだ」
林檎さんの意見ガン無視!
「じゃあな。」
連れてかれた先には大きな黒い穴があった。
間違いなくこの高さから落ちたら死ぬ。
「ま、待って!お願いします!怪しい者じゃないです!!」
「じゃあな」
ドン、と背中を押される。あぁあグッバイ私の人生。ウェルカム来世の私。すまない、子豚ちゃん。
「一生恨んでやるこの包帯野郎!!!!」
眼をつぶる。せめて痛くありませんように、…って。
「痛い!なんかめっちゃどつかれてる!痛い痛い痛いです!」
穴の底から何かがキャッチ&リリースしてる!
「おい、包帯野郎って」
「ぎゃあああ殺されるううう」
「うるせえ。」
「っンぐ!」
全力で口を押えます。変なこと言ったらまた穴に落とされる…!
「あの穴に入れても死なないってことはあれか…こいつが……それにしてもすげえ顔してんな…」
あの、早く何か言ってくれませんかね。息ができないので。
「いいか。よく聞け」
うんうん。聞いてます。
「これからお前はこの世界の家畜になれ」
デブに人権はないんですか!?