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青き春の幻想曲  作者: 東雲 出雲
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プロローグ

今回から始まりました、青き春の幻想曲!

まずはプロローグということで短めにまとめてあります!

長々と説明するのもあれなんで、まずは本編を見てください!

どうぞ!

僕の名前は桜庭 朔。


僕…僕たちは今まさに合格発表という受験の最終関門を終えたばかりである中学三年生…いや、中学の卒業式も無事に終え、あと一か月もすれば入学式なのだからもう高校一年生というべきなのかな?


そんなわけで、無事に念願であった難関校、西京都星華学園を無事に合格したのだった。


「三人とも無事に受かってて本当によかったわね」


綾姉がそういって僕たちに語りかけた。


綾姉は僕と同じ小学校、中学校出身で委員会などの関係で僕とは面識が深かった。


親同士が仲がいいというのもあり、小さいころからよく遊んでもらったのもかんけいあるのかな?


綾姉は僕の家庭教師として受験勉強も教えてくれた、僕の大切な人…。


「いやー、俺と朔はともかく、まさか北本まで受かってるとは思いませんでしたよ」

「むっ!それどういう意味よ!?」


突然、口げんかを始めたこの二人も、僕と同じ西京都星華学園の入試に見事合格した僕の幼馴染と悪友ともいえる親友である。


「あら?そんなことはないんじゃない?奈美ちゃんも必死に勉強したんですもんね?」

「そうですよ!ボクより或が受かったことの方が驚きだよ!」

「なんだと―!」

「二人ともやめなよ、せっかく三人で受かったのに…」


火花を散らせる二人を僕はため息交じりになだめる。


佐々木 或、先に言った通り僕の悪友とも呼べる親友である。


もう一人のボクっ娘が、北本 奈美、僕の幼馴染で二人とも小学校からの付き合いである。


ちなみに言っておくが、奈美はれっきとした女の子である。



「ふふふ、奈美ちゃんと或君は本当に仲がいいのね」

「「どこがですか!?」」



二人一緒に突っ込む。


―本当にこういうとこだけ見てたら仲がいいんだけどな―


僕はついため息をこぼす。


「昔から言うじゃない?喧嘩するほど仲がいいって」

「喧嘩じゃありませんよ!或の戯言にボクが付き合わされてるだけです!」

「戯言とはなんだ!この男女…ぐふっ!」

「サイテー!!」



或の言葉がすべて出る前に奈美の拳が或をとらえていた。



「もう…二人ともいい加減にしなよ」



僕もそろそろ疲れてきた。



「ふふふ、まあいいじゃない?二人とも合格していて受かれているのよ」



睦まじそうに様子を見ている綾姉。


僕はそんな綾姉を見てドキッとして顔が赤くなってしまう。


―今日こそ綾姉に気持ちを告げるんだ!―



そう…今日は合格発表という一大事な日であり、僕が綾姉に気持ちを告げると決めていた大事な日でもある。



―この後、或と奈美と別れた後…綾姉と二人っきりになったところで僕は綾姉に…―



そう考えていた時、綾姉の携帯電話が鳴った。



「あら?誰かしら?」



綾姉は携帯電話をすっと取り出し、僕たちから少し離れてから携帯電話を耳に当てる


その間も、或と奈美の口喧嘩は途絶えることがなかった。


 しばらくして、綾姉が電話を終えて戻ってきた。



「今の電話、もしかして彼氏さんからとかですか?」



 奈美が冷やかすように尋ねた。



「あれ?どうしてそう思うの?」

「電話してる時の綾夏さんの顔、すっごく嬉しそうでしたから」

「ふふふ、流石女の子ね…あたりよ」

「やっぱり!どんな人なんですか!?」

「え!?綾夏さん恋人がいるんですか!?」

「…」



 或と奈美は興味津々に綾姉に次々と質問を投げかける中、僕は一人だけ頭が真っ白になっていた。



―綾姉には恋人がいる…―



「まぁ、綾夏さんみたいな美人になら恋人ぐらいいますよね」

「あら、美人だなんて嬉しいわ」

「…」



 僕はしばらく何も考えることができず、ただ三人の話を聞いていた。



「おい、朔?」

「…」

「朔…?」

「…」

「どうかしたの?朔ちゃん?」

「…え?」



 三人に呼びかけられてようやく自我を取り戻すが、未だに事実を受け入れられていない自分がいた。



「じゃあ、そういうことだから私はこれで失礼するわね?」



 そういって、綾姉は僕たちと別れた。


 どうやらこれからその彼氏と会う約束をしていたらしい。



「さて…それじゃあ俺たちはこれからどうする?」

「うーん、受験も終わったことだしどこかに遊びに行く?」

「ごめん、僕…帰るよ」

「「え?」」



 そういって僕は放心状態のまま家に向かって歩き始めた。


 そんな僕の様子を見て、或と奈美はただ唖然としていた。


 家に向かってしばらく歩いたところで…。



「おーい!朔ー!」



 奈美があわてて僕の後を追いかけていた。



「どうしたの?或と遊びに行くんじゃなかったの?」

「或と二人で遊びに行ってもつまらないからさ、今日は帰ることにしたんだ!だから一緒に帰ろう?」

「…うん」



 正直、あんまり気乗りはしなかったけど、ここで断るのもせっかく追いかけてきてくれた奈美にも悪いと思ったので、そのまま二人で帰ることにした。



「それにしても、念願だった星華学園に三人で受かってて本当によかったね!」

「うん、そうだね…」



 そのあとも、奈美はいろいろと話しかけてきたけど、僕はただ生返事を返すだけだった。



「ねぇ、朔…?」

「…なに?」

「朔って…もしかして、綾夏さんのこと好きだったの?」

「…!」

「やっぱり…」



 どうやら、奈美には見透かされていたらしい。



「どうしてわかったの?」

「綾夏さんに恋人がいるって話を聞いてから…朔の様子が変だったから…」

「奈美にはかなわないな…」



 それから、僕は胸の内に秘めていたことを全て奈美に話した。


 綾姉の思い、綾姉との思いで、そして…今日、綾姉に告白しようと考えていたこと。


 奈美なら全て受け止めてくれると信じていたから、奈美ならこのことを二人だけの秘密として守ってくれると信じていたから。


 僕は奈美に全てを打ち明けた。


 僕が話している間、奈美は一言も発せずにただ黙って僕の話を聞いてくれていた。


 それから、しばらくの沈黙が続き、その沈黙を破るように奈美がようやく口を開いた。



「ねぇ、朔…?」

「…なに?」

「これからさ、ボクも朔のこと朔ちゃんって呼んでもいい?」

「…え?」



 あまりに唐突なことだったので僕は軽い放心状態に陥った。


 僕の周りの人で、僕のことをちゃんずけで呼ぶのは綾姉だけだった。


 そのことを、奈美は知っていた。


 そのうえで、なぜ奈美がこんなことを言い出すのか正直僕には意味がわからなかった。


 でも…



「…うん、いいよ」



 何故か僕は自然とそれを認めていた。


 僕自身、よくわからなかったけど、奈美がわけもなくそんなことをするやつじゃないという思いがあったからなのかもしれない。



「ありがとう、朔ちゃん」



 奈美は少し顔を紅潮させながら改めて僕の名前を呼んだ。


 僕も少し違和感があったけど慣れれば違和感もなくなると思い、そのまま返事を返した。



「さっ、帰ろう!」



 奈美はそういって僕の手を取って走り始めた。


 僕はそのまま奈美に引っ張られるように走った。


 その時に、夕日に映し出された二人の影は、新しい生活への期待と、どこか寂しさを含んでいて…僕にはそれがとても不思議で今でもその時の感覚をよく覚えている…。



プロローグ END


いかがでしたでしょうか?

今回の作品は、完全に主人公に主観を持ってきている作品となりますので、主人公の気持ちの描写はたくさん書いていますが、他のキャラの描写が少ないため、気持ちの予想が大変かもしれませんが、そこも楽しみの一つとして見てもらえればと思っています!

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