第3話 コロシアムでの出来事
なにはともあれ、俺と美名と飛蒼は寮に帰ってきていた。
今日の時間割はデータ端末渡しのあとは始業式だけだったので、昼からは主に1年生のための今日与えられたキャラクターの調整時間となっている。
本当は学校で調整を行いたかったのだが、五組の教室まで飛蒼を呼びに行くと、何やら五組の女子達が飛蒼の周りに餌を求めるハイエナのように群れていたため、飛蒼と合流できたときにはほとんどの場所が''チーム'' の連中達によって使用されており、しょうがなく学校以外で唯一バトルのシステムが整っている寮に帰ってきた、というわけだ。
寮は男女別なので、一旦俺達男子二人と美名は別れて、別々の寮へ入った。
この学校の寮は私立高校だからか、あらゆる施設が充実していて、そのような施設は男女別の部屋がある居住棟とは別の、男女共同棟にある。
その中の一つ、世界中何処の高校を探してもここにしか存在しないであろうこの学校ならではの施設が、今から向かう、通称''コロシアム'' と呼ばれているところである。
基本的にここの校舎や寮ともに部屋のつくりは一般的な学校よりも決闘用に広くなっている。
しかしこの''コロシアム'' は、そもそも最初から決闘する場として造られているため存外に広い。
本当は、毎度お馴染み東京ドーム○個分とかで広さを表したいのだが、それほどではない。
いっても、一学校。
それほどの面積はない。
身近で言えば、少し広めの体育館が円形になっており、客席と屋根が付いていると思ってもらったらいい。
飛蒼と一緒にそのコロシアムへ向かっている途中、丁度そのコロシアム前の通路で美名と合流した。
美名の格好は制服姿のまま。
俺と飛蒼はジャージ姿に着替えていた。
そうこうしてるうちにコロシアムの入口まで来た。
実は俺は初めて入る。
しかし、入ろうとドアを開けようとすると、中から声が聞こえてくる。
「うーん、誰か先客がいるみたいだね……まさかこっちも取られていたとは……」
お前のせいなんだけどな……。
お前がイケメンだからなんだけどな……。
しかし、飛蒼は残念がっているが俺はそうは思わない。
ここにいる三人は、まだ実戦経験は無いものの学年六位の力を誇る俺、さらに美名もさっき飛蒼を待っているときに聞いたのだが主人公級の使い手らしい……(何のキャラクターかは教えてくれなかった……意地悪だ……)、さらに、十文字飛蒼もなかなか強いということを聞いている。
この学校のルール、
~揉め事があれば、決闘にて決着を~
に、法れば、この三人の力をもってしてコロシアムを今いる連中から奪えるのではないか?
常識で考えれば早い者勝ちなんだけど……。
ここじゃそんなこと知ったこっちゃない。
そこまで考えた俺は、コロシアムの入口に再度手をかけた。
「ちょっ、ちょっ、ちょっ、何してんの!?」
「いや……乗り込んでいこうかなと……だって、俺ら三人なら勝てるっしょ?」
「でも、けーちはまだ実戦経験がないじゃないか……」
「そーだよ、圭ちゃん! 無謀すぎるよ!」
なんかすごい非難の嵐を浴びた俺は、そのまま扉を
開けた……。
「おーい!! 何で開けちゃってくれはりますの!?」
「美名……日本語が話せてないぜ?」
「私の日本語が理解できないあんたに言われたくないわ!」
まったく……何を言ってるんだか……やれやれ……。
といった感じで、俺はコロシアムのほうへ向き直る。
飛蒼も一緒に言い争っている二人から目線を外し、俺と同じ方向へ目を向ける。
ちなみに美名は俺を睨み続けている。
全然怖くねーけど。
「……というか、あの子は……」
コロシアム内部のほうへ目を向けた飛蒼が、ある一人の少女を指さしながら固まっている。
「飛蒼、あの子のこと知ってるのか? つぇーのか?」
このコロシアムには、パッと見ただけでも二十人はいる。
大半どーでもいいのだが、その中でたった一人だけ目立っている女の子がいる。
それが飛蒼の言っている''あの子'' である。
そして、美名もようやく目を向けたと思いきや「あっ…………」と言って、固まっている。
もしや、そんなに強いやつなのか……そーなるともちろん俺が一番危ない。
「強い……ことには、強いんだけど……」
何か含みのある言い方である。
強さで驚いているので無いとしたら、いったい何に驚いているんだ?
と、思っていると俺の心を読んだように美名がその答えを発する。
「ミナ……あの子は……有栖川海南……」
「有栖川……海南」
俺は今、この学校で俺にとって最も危険だと言われた敵の名前を繰り返した。
今回で4回目の投稿となります
ただ、今回は前3話と比べると、少なかったので
次回の更新は、明日、12月22日の予定とします
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