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伯爵家の五男ですが、公爵家に当主になりました。  作者: highvall


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第79話

 ヘルベルトが先導し、兵舎の外に出る。ヘルベルトはどこから持ってきたのかわからないが、肩に樽を一つ担いでいる。

 エーリッヒは魔法使いの騎士だし、クルトはオーラを使う騎士だから簡単な武力の決闘はルールが難しい。

 となると……腕相撲とかが無難になるのかな? あの樽は腕相撲をするための台座として持ってきたのかもしれない。


 兵舎の外では兵士や農民たちがなんだなんだといった感じでこちらを見つめている。

 ヘルベルトは広場に出ると、中央に肩に担いでいた樽を下ろす。


「さてと。それではエーリッヒとクルトの決闘を執り行う。立会人は儂ヘルベルトが勤め、決闘方式は伝統の飲み比べにて決する」


 え?


 樽の周りをヘルベルト、エーリッヒとクルトで囲んでおり対峙ている。


「構いません」

「分かりましたヘルベルト殿」


 ヘルベルトは両者が了承したことを確認すると、樽の蓋をたたき割る。

 そこには、なみなみと水面を揺らすワインが溢れていた。

 これまたどこから拾ってきたのかわからない木製のジョッキをヘルベルトは二人に差し出す。


 二人は受け取ったジョッキを樽の中に入れ、ワインを掬う。


「エーリッヒ殿。主君のため勝たせていただきます」

「勝ってから言ってもらいましょうか」


 二人はジョッキをこつんと合わせると、それが始まりの合図だったようで二人は勢いよくジョッキのワインを飲み干す。

 既に周りには騒ぎを聞きつけて多くの観衆が見守っている。

 お互いにまず1杯目ということもあり二人はけろっとした様子だ。


「2杯目!」


 ヘルベルトがそう宣言すると、先ほどと同じようにワインを掬いジョッキを軽くぶつけてからまた飲み始める。

 どうやら、宣言とジョッキを合わせるところまでがセットのようだ。

 結構ワインだって度数それなりにあると思うんだが……あのペースで大丈夫か?

 俺の心配を余所に3杯目4杯目とどんどん回数をこなしている。


「10杯目!」


 ヘルベルトがそう宣言すると、二人はヘロヘロになりながら動作を繰り返す。

 俺は少し離れたところで様子を眺めていたが、二人の周りには人だかりができており謎の熱狂に包まれている。


「エーリッヒ殿……しんどそうですが?」

「ふっ。まだまだ……これからですよ」


 二人は改めてジョッキを合わせてから一気に飲み干す。その顔は両者ともに既に真っ赤で勝負の終わりが近いのが見て取れる。

 二人が飲み干すと同時に周囲から歓声が沸き起こる。


「11杯目!」


 その宣言と共に、ワインを掬おうとした二人だが、ふらっと傾きそのまま地面に倒れ伏す。

 ヘルベルトは、少し間をおいてから立ち上がらない二人を見て駆け寄る。

 まぁ二人とも意識飛んでそうだな……。

 そんなことを考えていると、確認を終えたヘルベルトが周囲に宣伝する。


「両者ともに11杯目を飲めなかったことにより、この決闘は引き分けとする! この決定に異議のある者は儂に申し立てよ!」


 観衆は拍手と熱狂をもって、その決定を受け入れる。


 まぁとりあえず兵舎の方に運び込んで寝かすしかないかと思い、二人の下に足を運ぶ。

 彼らに近づいて分かったのだが、俺から死角になる位置にヴェルナーが酔いつぶれて倒れているのを発見した。

 帰ってこないなと思ってたけど、なにやってんだこいつ……。


 あれ……ってかどっちにしてもこいつらはこんな状況でもう書類仕事できないし……もしかして俺が頑張らないといけないのか?


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