表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵家の五男ですが、公爵家に当主になりました。  作者: highvall


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/60

第56話

 俺たちは公爵領都まで戻ってきていた。

 なんだかんだ、砦での戦争や捕虜交換などの敵方との交渉や、東部の村の視察などで大分時間がかかっており、久方ぶりのホームだ。


 ちなみに、村の人々に金貨を見せたが、あれをそのまま渡したわけではない。

 金貨をまるごと与えると、過剰だし、誰かが独占しても良くない。

 彼らにとって必要なのは家を建て直す資材や、食料だ。

 あの村だけを優遇するわけにもいかないため、一旦持ち帰り、金羊商会に依頼するなどして、東部の被害にあった村を中心に配分するつもりだ。


 まぁそれでも、宝石なども換金するとなると結構な額は残るだろうが。


 領都の城に戻ると、レイラを筆頭に使用人や城の守りについていた兵たちが出迎えをしてくれる。


「ただいま」

「おかえりなさい」


 レイラの顔を見ると、帰ってきたなと実感できる。

 俺たちは無事を確かめるように、抱きしめ合った。



 さすがに、疲れていたこともあり書類仕事などはあったが、とりあえず今日は休むことになった。

 俺はレイラと私室でゴロゴロと過ごしていた。

 ちなみにオプションで膝枕付きだ。


 レイラには俺の愚痴話を聞いてもらっていた。


「大変でしたね」

「あぁ……思っていたより騎士というのを甘く見ていた。とりあえず、今回は勝てたが次はどうなるか……今回喪った兵を補充する意味も込めて募集をかけて増強したいし、することがいっぱいだ」


 今回は敵の油断や、みんなの努力のおかげでなんとかなったが、次があるとするなら敵に油断はないだろう。


 防衛戦は領内に敵の侵攻を許すため軍事的には敵の動向を察知しやすく、砦などでの防衛戦は数的不利を誤魔化せる面がある。

 だが、これは軍事的な面で、統治的な目線で見ると侵攻を防ぐことができないのは弱いという目で見られ、経済的にも侵攻経路上にある村などはどうしたって略奪などを受ける。侵攻する側が基本的には主導権を握っている。


 今回稼いだ時間で、内政改革と軍隊の増強、領民たちの信頼の確保をどんどん進めていきたい。

 やることがいっぱいだな……。


「無理しないでくださいね?」


 レイラは心配そうにこちらの顔をのぞき込んでくる。

 俺は安心させるようにレイラの頬を撫でる。


「大丈夫だよ」


 なんというか、彼女の心配そうな顔を見ると頑張ろうって気持ちが湧いてくるから不思議だ。


 俺はあることを思い出し、レイラの膝枕は名残惜しいが上体を起こす。

 ポケットをまさぐると、目当ての物の感触を掴む。

 それを取り出して、レイラに差し出す。


「これは……指輪ですか?」

「あぁ」


 賠償金の木箱の中に2対の宝石の指輪が入っており、それをくすねてきていた。

 ちなみに、俺たちは結婚しているが結婚指輪はしていなかった。

 前世の感覚からすると、政略結婚ではあるが指輪がないのもなんとなく寂しさを覚えていたから、ちょうど手に入ったしレイラにプレゼントしようと思っていた。


「食べ物じゃないんですね?」

「……ケホ。ケホッ!」


 俺はレイラの発言に思わず吹いてしまった。

 まぁ……そう言われてみれば確かに、いっつも甘いものばっかり贈っていたな。

 そう考えると、こういう形に残る贈り物は初めてかもしれない。


「冗談です。とてもうれしいです」

「喜んでもらえて良かった」


 俺はなんとか立て直し、返事をすることができた。

 レイラは俺の前に指を差し出してきた。


「つけてもらえますか?」

「……もちろん」


 俺は彼女の手を取り、左手薬指に指輪をはめる。

 なんか、ちょっと緊張するが、サイズがあっていたようで良かった。


「……似合っていますか?」

「とっても」


 そう褒めると、レイラは嬉しそうにほほ笑んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ